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きりふせ

真田信伊さなだのぶただ


真田幸隆の子にして、真田正幸の弟にあたる。

真田家の分家に当たり、本家と同じく色んな主家に変えていった。最終的に徳川家に属しながらも、真田家の本家には助力をしていたという。

蒲生家についた時には、蒲生騒動によって、後に家康から甲斐5000石を与えられる。真田信幸程ではないが、割と長生き。



◇      ◇


「良いのか?」


兼続は尋ねた。

話し合ってはないのだが、義昌から申し出た。


「ウチからの兵8百で、新発田城の救援に向かった方が良いですぞ。兼続殿」


安田城の兵士達に、これから新発田城を助けに行く……というのは、あまりに兵士達には無茶過ぎる。

正幸と勝頼なら救援が出来るのは確実だが、迅速かつ人命を失わずにさせたいのなら、兼続も同行するのは理に適っている。


「私と千坂殿で安田城を守ろう」

「兼続殿。ここは我々にお任せください」

「…………分かった。この安田城を任せます」


そして、

正幸、勝頼、兼続が……落城寸前の新発田城に向けて進軍する。兼続が向かっている事と、安田城が助かった事は新発田城内にも伝わり、士気の回復にも繋がっていた。


……そーいう軍略の話よりも、義昌としては


「千坂殿。上杉家って大変なんです?謙信殿は大分酒豪って聞いてますが」

「殿は凄い酒豪でしてね~……親衛隊をやってた身として、それが戦以上で」


兼続から派遣された、千坂との交流を楽しんでいた。

初対面ながらすぐに思った事がある。


”俺達、似た者同士だろ”


「信玄様も似たところあったな。……懐かしいな。戦好きだよな。……戦費嵩んでね~。木曽家が大変だった時あるな~。功が少ないとアレ、金が頼りになって~。戦に強くて、頭が回る正幸達が羨ましくもあった」

「分かります分かります。私、謙信様を護ってる役だったんですけど。謙信様、ホント動き回るし、そんで強いから……『千坂って奴はいる?』とか、他の家臣から陰口が言われたりですねぇ。外交や商売とか……戦うための資金調達頑張ってるんですけどね。猪武者さん達」


有名所の武将達とは違い。

その傘の下にいるせいで、イマイチ、パッとしない武将が現れるのも事実である。

そして、それは他にもいるということだ。



◇       ◇



「わ~~~!!家康様!お待ちを!!ホント!待ってください!!何卒!!」

「ならんわ!!マジで何してんの!?お前の”兄貴”!!」


新発田城は正幸と勝頼の活躍によって、最上家を倒し、さらには制圧を成功させた。

この戦い。あまりにも徳川家が大勝し、上杉家の領土の大半を奪い取った。もちろん、家康は新発田城に急行。


「正幸ぃぃっ!!」

「家康様。自ら救援して頂き、ありがとうございます。ちなみにですが、伊達家と最上家がこちらに向かっております。当主自ら、新発田城の防衛をお願いします」

「うおおおーーーいぃぃっっ!!」


今度は伊達と最上が協力し、新発田城に侵攻してきた。

さすがにそれを正幸と勝頼で対峙するには難しい。しかし、家康が救援しに来た(注意してきた)ことで軽く野戦の展開になるも


「家康本体と戦うのはマズイ。被害が大きくなる」


最上と伊達は撤退。その最中にて


「じゃ、家康から逃げるぞ~!」

「だな」


真田正幸と武田勝頼、新発田城から撤退を開始する。新発田城にいた武将、兼続も含めて護送している。


「おーーーい!!正幸いぃぃぃっ!!!」


最上・伊達の警戒はもちろんだが、当然ヤバイのは春日山城で待機している織田家の軍団である。正幸と義昌に事情を説明させるようにしたいが……。分かった上で正幸が逃げやがった。

ここに来て、小勢と大勢では進軍する速度が大きく異なり、家康が叫んだ時には正幸と勝頼は柏崎城の近くまで来ていたという。


信伊のぶただ!!なぜ兄の正幸を止めなかった!」

「止めましたけど、無理でした!!」

「もういい!お前!!真田の事ばかり考えておるだろ!!なら、お前は安田城にいる木曽義昌を儂の元まで呼んで来い!!儂は春日山城と飯山城の間で、織田家と話し合うから!!正幸とはその後、直接儂から話す!上田城で待っていろと伝えろ!!」

「は、はい!!」


家康にキレられているこの男。元武田家臣であり、真田家の血縁者に当たる人物。

真田信伊さなだのぶただ。その人である……。真田家の中では随分と、目立たない人物であるが、優秀な人物には違いない。ただ、真田家は他が強すぎるのが原因だ。


「義昌殿に会いに行くか……久しぶりだな。憶えておるかな?」


にしても、今回の侵攻は凄いな。兄貴も一枚噛んでいるんだろうけど、あの人がこんなにも戦上手とは……まぁ、勝頼様が補佐してんだろうけど。

徳川家になってから一度も会ってなかったなぁ~。



◇         ◇



ドオォンッ


「どーいうことか説明して頂こう、家康殿」


織田信忠。

そして、後ろに控えるのは織田家の豪傑。

柴田勝家、滝川一益、前田利家。


「その事についてなのですがねぇ」


徳川家康。

そして、後ろに控えるのは徳川家の豪傑。

本多忠勝、榊原康政、



「こうなるとは思わずに、ですね。我々、徳川家と織田家は婚姻関係は変わらずです」


外交で下手に出れば、殺される。

元々、上杉家への侵攻は織田家側からの方針。織田信忠の功績に加えるためのものであり、そいつを横から……むしろ、斜め後ろから奪った感じに


「確か名は木曽義昌だったか?徳川方の上杉軍の攻略担当は……見事にやってくれるなぁ。その男の首はせめてくれないか」


徳川家がこのような狡いマネをする……とは、100%思っていない。家康が信長の前では、ペコペコとしていても、腹黒いのは柴田勝家や滝川一益には察せられている。

身代わりとも言える話に、すぐに待ったをかけたのは榊原であった。


「お待ちくだされ。勝家殿。確かに木曽義昌が、我が徳川家の上杉攻略を任された者。それを織田家の者達が処分を言い渡すのは、同盟関係のヒビだけでなく、織田家の信用にも関わりますぞ」

「ふん!本当ならば、家康殿を大殿の前に呼ぶ必要があるぞ!」

「父上は今、対毛利との戦いの準備。早急に面会というわけには行かない……。しかし、家康殿。私、信忠はもう、織田家の家督を継いだ者。私に対するちゃんとした説明を頂きたい」


な~~~んも、考えてないんですけど~~。

マジで勝手にやってくれてんだよなぁ~~。

そりゃあ、上杉家攻略を任せたけれど。アレがこんなにも大金星を挙げるなんてな~~。

上杉家の領土の半分くらい、割譲して場を収めるか~?

いや、でも。徳川家としても、これだけの領土をタダで手放すのはな~。報告によれば、上杉景勝と直江兼続などの武将が徳川家に就いたそうだし。なんもしてない織田家に領地経営をさせんのも、どうなんだろうな~~。



「そうですな」


家康は表情を変えてはいないが、とんでもないくらいに思考を働かせ、信長との関係性。……それから、信忠との関係を考慮しつつ。上杉家の領土や人材を鑑みて


「元上杉家の本城、春日山城を織田家に渡したのであれば、十分でしょう」

「なっ!?」

「確かに私達の方が城を多くとり、最終的に多くの上杉家臣は徳川家へ……」

「き、貴様等が勝手に横から掻っ攫ったであろうが!!」


勝家が激怒し、槍を振るおうとすれば、家康の護衛としていた本多忠勝も槍を向ける。その最中でも家康は言葉を続けた。


「上杉家の攻略は、関東の雄である北条家へ攻め込むための足掛かり。さほど脅威ではございませんが、最上や伊達と隣接してから、北条と渡り合うのは織田家もよく知る包囲網に成りかねない」

「むっ」


織田家だからこそ、包囲網の恐ろしさを良く知っている。今の織田家は天下を統べる財力と兵力、石高を持っているが。中国の毛利や関東の北条、四国の長曾我部と囲まれた状況。信忠にそれを打破する器があるかどうか……。口を噤んでしまっている、勝家と一益。


「春日山城さえ確保できていれば、北条家の箕輪や国峯に攻め込めるのは確かだが」

「利家!!お前!そんな言い訳を真に受けるな!!春日山城付近の小城の割譲は要求だ!!」

「そこも譲れないですなぁ。私達、徳川家はこれより、木曽義昌を中心に最上攻めを任せようと思う(今、考えた)。最上からの侵攻、侵略において、春日山城の小城を織田家の者になると、ちょっと対応できないかと。織田家も春日山城でしっかり軍備や法整備などをしたいでしょう」

「ぐぬぬぬぬ」

「安心なされ。勝家殿。私達、徳川の本体も北からの脅威がなくなり、これで北条と激突できる。織田家の力を見せてくだされ」


上手く言われたもんだが……。北条との戦いに集中したい織田家からすれば、小勢の勢力を徳川の武家に丸投げするのは悪くない話。信長や羽柴秀吉などは、西国に軍を向けている状況。こちらは指示通り、地盤を固めて、侵略する。

時がくれば、信長が畿内から大軍勢で関東を攻め込む……その際に円滑な準備をしろとの命令を、家康も掴んでいること。



◇       ◇


徳川家と織田家の騒動があったというのに、安田城では


「「わははははは」」


木曽義昌と千坂景親が意気投合しているところであり、その様子を見ていた真田信伊は


「憶えてくれているとは、嬉しいですぞ!義昌殿!!」

「正幸に振り回されるの、大変だろう!分かるよ!俺、すげぇ、分かる!」

「兄にしろ、上司にしろ。ホントに自分勝手な人達に付き従うのは大変ですよ」

「そのくせ、容易く領民を簡単に言い包めるんだから、イヤだよねぇ~」


2人の仲に入り込み、意気投合して、3人で飲み交わすのであった。


……この2人が後に、木曽義昌にとっては、重要な2人になるとはまだ誰も思ってなどいなかった。






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