第八階層 憤焉幕終土 BOSS戦前
熱い、身が焼ける、肺が熱を孕む、まるで大釜で茹でられるような、そんな熱さ。
そんな熱さを、宇宙規模を破壊する炎を生身で受けても大丈夫だった俺が感じる。
魂への干渉を可能とする業火、地獄の炎。
種類が一緒でも、込められたエネルギー量が桁違いすぎる。 この階層を覆う炎が撒き散らす火の粉一つ一つが本来の宇宙程度なら”容易く焼却する程のエネルギー”がこもっている。
「座するだけで世界程度終わらせる超存在か。」
中々強そうな相手を用意したな、急造とは思えないくらいに。
少しこうゆう強者との戦闘は誰の影響を受けたのか楽しみだと感じる自分が存在する。
クツクツと喉を鳴らし、笑みを浮かべると、横から亜樹の視線を感じる。
「汝様の戦闘狂も筋金入りだな。」
そう可愛いものを見る様な視線で言う亜樹、てか、 す、筋金入りかぁ……
俺の、常識ライフは、1削れた
…おい誰だ、今無いもの削れてもマイナスになるだけだろとか心無いことゆったヤツ、事実でもまあまあ…、そこ…そこ、多分……傷付くんだからな!
《【スキル】【傷無しの心臓】を手に入れました。》
【スキル】使ってでの速攻で傷つかない証明、俺でなきゃ見逃しちゃうね………
「……ま、まぁ? 家には戦闘大好きの鬼さんが居るから、その影響かな!」
「成程、王鬼殿の影響か。」
「ごめんなさい多分元からその気はあったと思います嘘言いました。」
許して〜と小柄な亜樹を抱き上げスリスリと頬を擦り付ける。
る……? やべ、最近俺の自制が暴走気味な気がする、考えるより先に体が動いてしまう……!
「許しても何も憤怒などしていない、何よりその様な冗談可愛いものだ。 それよりも汝様、もうスリスリとはしてくれぬのか……?」
か、か、か。可愛いィ〜!!
この後、ボス戦前とは思えない程めっっちゃめちゃスリスリした。
凄く、いい匂いがしました。
☆☆☆
俺は空をも突き抜ける巨大な城を見上げ、思わず呟く。
「わぁすげっ、魔王城みたい。」
この環境にも馬鹿やってる前から馴れ、そろそろ行こっか、となり。 景色を2人で眺めながら歩き、付き、遠目から見た時も馬鹿な感想を言ったが、まさか付いてからも言う事になるとは。
ま、思わず馬鹿な感想しか出ないくらい、圧巻な巨城だって事だな。
「魔王城みたいでは無く、魔王城なのだろうな、この城に座するアレの意味する所。」
「特に考えないようにしてたけど、やっぱりそうゆうことかな?」
まあまあな接点であるあるかなー、と流してはいたけど。
て事はアレか、こりゃ出て来るのは”龍”だけど”原罪の魔”でもあるのか。
「そうゆう事だと己は思う。」
「向こうにも似たようなヤツがあるのは知ってたけど、感覚的にはコッチの方がヤバめだな。」
当たり前か、コッチのは想像や祈りである程度ブレしまう、が狡猾で正直な厄介者。
ダンジョンでのコレは純粋な”強さ”での厄災者。
土俵が違う。
「──んで、多分だけど、そんな厄災者に俺はタイマンを望まれてる、って事でおっけかな。」
「乗る必要は無いと思うが……」
俺の表情を見た亜樹が”そんな馬鹿な所も愛おしい”とでも言いたげな目で無表情の顔に微かな笑みを浮かべる。
「乗るのだろう? ●ース。」
「アイツ、親父を馬鹿にしやがって……
…って誰が某人気漫画の主人公の兄だよ。 てか妙に漫画の智識豊富だな亜樹。」
「己が母は実行出来るタイプの厨二だからな。 参考資料は積極的に流れてくる。」
なるほど、智核タイプか。
《そろそろ訴訟を起こして旦那様の人権勝ち取るべきですね。 末路は工ロ漫画のセッで黙らせる無敵系主人公ですけど、構いませんね?》
べ、弁護人よんで良いスっか……?
《イエス。いいですよ。では受難さんで。》
その人、俺を積極性を直に説いてくるタイプの人なんです、しかも確実に不利になる証言するスパイですよね……? 更に言うと他の嫁さん全員智核さんの側ですよね?
《ご理解が早い旦那様で智核はとても幸福です。》
よし、今から仕事の邪魔しに行きますね。 直接交渉です。
分身? を新たに一端末創り、あの危険な嫁さんに直接交渉を仕掛けに行く、少し戦闘から思考が逸れるけど、構わん! 俺出来ればまだそんなヤリ●ンに成りたくない!
「己はセッ、で解決しようとする辺り、もう遅いと思うが、己としては望む所なので黙っていようと思う。」
……言い返せない!
☆★★
【──────────】
ソレは魔の王冠、煉獄界を統べる至高の王。
原初が創りし八界に産まれ堕ちし者。
黄金の輪は濁り、その紅眼は地獄を見据え、嘲笑う口は悪の王。
力が全てのこの世界の王たるソレはどの炎よりも燃え盛る憤怒を権能とし、世界を無間へ沈める。
【───────────】
原典を模したソレは力の塊、原典を超越した力を注がれ完成した力の権化。
千を超える宇宙を注がれ、器は成った。
原典のソレとは比較にならない三界の権能。
《悪魔》は《悪神》へ
《魔人》は《魔神》へ
《龍》は《龍の神》へと。
三姿の最高の存在が一つとして存在する超越の怪物へと成った。
吾は憤怒の魔神、凡ゆる存在の王冠、力の権現なり。




