閑話:リェンファVS白夜
今月はお休みを貰うつもりでしたが、時間の合間でなんとか書けたので少し投稿デース、来月はお盆休みが、あるといいな……。投稿出来たらします(未定)
珍しく月末投稿出来ないかも知れませぬ……(震え声)
依頼の詳細の内容を話し、帰路へと着こうとした時、リェンファが待った、を掛ける。
「……?」
「ワタシの報酬、ワタシが決めてもいいカ?」
この時点で、俺は何を報酬に強請られるかの察しがついた、……が。
蝉の鳴く声と、熱されたアスファルトの大地が夏を主張する、クソ熱い風に髪を靡かれ、
リェンファ、姉弟子と───対峙する。
姉弟子は、チャイナ服と呼ばれる衣服に身を包み、大変眼福な素肌を晒しながら、ぐっぐっぐっ。とその大きな胸を強調させながら背伸びをする。
「まぁ、闘え。までは予想出来たけど、まさか前報酬を要求されるとは。」
軽く呟く俺の言葉は、容易く流された。
いいんだけど、さ
「んじゃ、やるネ。」
そう言い姉弟子は構えを取る。
俺も、構えを、とは姉弟子が待ってくれるはずも無く、半歩引き、俺の頭部が刹那前まであった場所に鋭い蹴りが放たれた。
空気を裂き、鎌鼬のような現象が俺を襲う、それを体を頭が地面へ着きそうな程反らし、避ける。
そしてバク宙の要領で反撃の蹴りを放つが、脚は既に引っ込められ、当たらず。
だが、距離は取れた。
「いきなりかよ。」
そう文句を垂れる俺に容赦なく繰り出される拳打、手刀、脚撃。
会話での惑わしは失敗。っと。
俺はさっさと武器を1つ捨て、次の武器を使う。
姉弟子の動きをよく観る。
そして放たれた打つような拳打、に見せ掛けた貫手を掴み、潰す。
「ッィ"」
「捕ま──」
掴まえた、そう言おうとした口が思わず止まる、無茶するなぁ……
掴まえてたリェンファの手が急激に萎み、抜ける。
これは血の流動、武道の達人ともなれば力を操る、なんて芸当をする人も居るけど、まさか血の動く力を操るなんてね、痛いじゃ済まないはずなんだけど。
血が戻った手を鞭のように撓ならせ、姉弟子が振るう、それを先んじて観ていた俺は体を捻り、線のような斬撃を避ける。
鞭のようにさせた腕で放つ斬撃は地面に亀裂を作り、背後にあった大厄災以降放置された廃墟を斜めに斬る破壊を見せた。
コレでまだ気による身体強化もしてないんだから、エグい技量してるよなぁ、と感服する。
そんな俺にやっと姉弟子が話し掛けてくれた。
「チッ、小手調べ言うても今のワタシの身体能力でやる小手調べヨ、それを容易く流すカ、普通。」
「あっはっはー。 だって【先観の魔眼】つかってるもーん、これで避けれなきゃおばあちゃんに怒られちゃうよ。」
不満げに口を尖らせ言う姉弟子に、俺は”片目の黄金の瞳”を強調させるように片目を瞑り、そう返す。
「ワタシの小手調べは”未来観の魔眼”持ちも容易く葬てきたネ、少し自信無くすヨ。」
そう目に影を落とす姉弟子、
を思考の片隅に、俺はふーむ、と考える、確かに最初の手合わせの時も今も尋常じゃない”速さ”だったな、と。
あの速さ、武道の技量で音速を若干超える速さで動きに加え、変則的な一撃一撃。
観えていても”身体が追い付かないのだろうな”受けれてもあの威力なら、受けイコール、死だ。
なら避けるしかないんだろうが……キツイよなぁ。
そう思考を終わらせ、姉弟子に口を開く。
「泣き落とし?」
ボッッ、と音の壁を破壊し放たれる正拳突きを指で受け止める。
「そこは素直に引掛かるのが漢ヨ。」
「あーらら、闘い始めて初のダメージだ。」
ま、友達感覚の姉弟子に言われても痛くも痒くもないけどね、ヒットはしたけど。
中指を丸め、デコピンを拳を引こうとしてる姉弟子へ放つ。
額にデコピンの撃をくらい仰け反る姉弟子、
────が、タダで食らった訳ではないとばかりに俺の首へ繰り出される脚撃、鉄骨位ならへし折りそうな威力の脚撃を首を反らし避け、足を突き出し、姉弟子を蹴り飛ばす。
蹴り飛ばし吹っ飛んだ姉弟子が空中で猫のように体制を整え、アスファルトに指を突き立て──
────表面を捲り上げた。
「あっはー、ホーント、無茶苦茶するなぁ姉弟子。」
目眩しだろう”気の察知”を乱す為に気が滅茶苦茶に込められたアスファルトを眺め、俺は笑うしかない。
まぁ、普通の”未来観系統の魔眼”にはコレが正攻法なんだろうけど、
未来観の魔眼は未来を観ると言われるが、その実発動にも観るにも”気”が必要、ステータスに乗ってるMPじゃなくて、自然の気が、
そして、ランクにもよるけど大概の未来観の魔眼は、不自然に邪気を込めた気などで未来を絞れなくするの事が可能、ようは正確な未来が観えなくする事が出来る、
そして未来観から予測に成り下がった魔眼ならば、未来観の魔眼の時よりも、格段に対処が楽になる。
こんなの〘魔眼狩り〙の連中でもなきゃ知らない情報だろうに、ホント、闘いの事になると勉強熱心なのはあの師範の孫娘だと痛感するよ。
────が、残念、俺の今の魔眼は【スキル】なんだよ。
「だから普通に観えてる。」
アスファルトを砕き進む衝撃を踏み潰し、飛んでくる刃を踏み砕いた勢いで巻き上がるアスファルトの破片で防ぐ。
次に感じたのは圧倒的な破壊の一、目に見えたのは桃色の気を焔のように纏う拳──
「ハッ! マジか、纏うか? 普通邪気を!」
邪気、”自然の気”とは性質が全く違う同じエネルギー、生命の根幹を支えるソレは、怨、念、呪い、詛、それら負の意思が混ざる事により、正常とは異なる性質となる。
邪気と呼ばれるソレは、本来の”気”が活性や癒し、正常の性質を持つとされるなら、邪気は真逆。
衰弱や癒しの否定、異常などの性質を持つ。
纏えば身体を活性化させ強化する自然の気、邪気は纏ってしまえば纏った身体の全てが弱る、込めれば込める程、弱り──死に至る。
だから本来なら傷をつけ、その傷口を悪化させるなどの使用をするために武器に纏わせるのが基本、やっても殴る瞬間に拳に乗せるくらいだ。
誰も呪いなどに使われる邪気を、身体に纏わせるなんて事はしない、いい事などほぼないから、だが。
姉弟子は、俺の目に観える全てに異常を起こすように、躊躇なく纏った。
常人なら見るだけで気が狂うだろう程禍々しい呪いを……!
邪気の籠った拳をノーガードで胴体に受け、そのあまりにも重過ぎる拳の一撃により俺の体が真横へ吹き飛ばされる。
体重が軽い軽くない関係なく、軽く数メートル吹き飛ばされ、十分な距離を取れたあたりで片足を地面へ擦るように着地する。
着地した次の瞬間、俺の足元には蜘蛛の巣のような亀裂がビシッと走りアスファルトの奥部分が粉砕したような音が聞こえた、コレが姉弟子の拳の重さ威力。
全威力を地面に押し付けなければ、少しは痛かっただろう威力。
「──ははっ。」
コレは油断か? 余裕をこき過ぎたか。 なんでもいいか、いい、いいね、いいな。
中々楽しい、楽しいじゃないか。
武術家って連中は本当に良い実戦経験をくれる。
「────《炎焰》」
なんとも最近感じる事の多い炎の熱を感じた、間髪入れずか、容赦ないね、当たり前ちゃあ当たり前だが。
迫る赤く染まった鉄塊を眺めながら今度はどう流すか、その事を少し考える。
今回の闘い、てか殺し合い? は”何でもあり”。そう”なんでも”だ、煽り、魔術、魔法、スキル、呪い、なんでも、本当になんでも。
だからこそ、俺は悩む、どう闘おうか、どう対処しようかに。
急に言われた闘いだが、なんだかんだ乗り気なのだ俺は、……瞬殺などする気もない、闘うならとことん、趣味が悪く見えるだろうが、それでも
──どうでもいい。
姉弟子が望んで、俺が受けた。
誰の文句も聞く耳持たず、よし。 決めた。
迫る赤く染まった鉄塊を、素手で握り止める。
眉を微かに動かし、「まあだよナ」とでも言いたげの姉弟子、俺が【火耐性】の【スキル】を持ってる事くらい分かってる、とでも言いたげだ──が。
「 甘めぇんじゃねぇの? 」
俺は意図して悪辣に笑う、
刹那の間に硬直を演じ、鉄塊の内部に仕込んだ刃で俺の膂力で固定された鉄塊を引き裂きながら俺を斬ろうとしていた姉弟子の顔が失敗した、と歪む、そして即座に鉄塊内部にある刃を引き抜き離脱しようとしたが、欲張ったな?
「冷ッァ!?」
掴んだ拍子に”邪気”を篭め、”熱”によって熱せられ、赤く染った鉄塊に異常を引き起こしてやった。
熱から起こせる異常は多々に渡るが、俺が起こした異常は”熱からの冷”への事象を無視した転化、この現象は異常だろ? ま、結構曖昧な異常でも起こせるから邪気は使い勝手いいな、その分取り扱いにも注意が必要だがな。
って、嘘ぉ。
冷たさに一瞬硬直した姉弟子、しかしその硬直も本当に一瞬。 次の瞬間姉弟子は背を向けた、回し蹴り、裏拳、などの二択だと少し考えたが、別の可能性もあるな、なんて考えた矢先に1番無いだろうと俺が省いた可能性、そう冷たくし、この刹那の時で冷たいでは無く握ったら凍る、まで温度が下がった鉄塊に隠されていた”刃”だった。
凍った腕を、熱を持った治癒の術を発動させながらの鉄塊を鞘に見立てた抜刀術──
ゾッとする程の妖しい冷気を放つ薄い刃が動脈を断とうと迫る。
……ステータスの暴力に任せて受ける、それもいいが、なんか、なんか……違う。
避ける流す、も。 芸がない、……なら。
──真剣白刃取り
二本指で挟むように刃を受け止める
「喰らっとけヨ……ッ!!」
「クハハッ、イキらせて貰う為にそうはいかんなぁ姉弟子?」
「チッ……!!」
姉弟子の舌打ちと合わせて俺は蹴りを見舞う、片手は鉄塊、もう片手は二本指で刃を挟んでる為、両手塞がってるからな。
見舞った蹴りは、やはり両手が塞がってるから出せる攻撃が蹴りだけだと読まれていたようで、容易く受け流された。
「ま、その一瞬でいいや。」
片手の刃を挟み砕き、片手の鉄塊を投げ付ける。
鉄塊に触れるのが先程の件で嫌ったのか、蹴り返しては来なかった。
ちなみに律儀に俺が魔法やスキルを使わないのは分かってるようだった、さっきから俺……読まれっぱなしだな? やっぱり戦闘センスがないのかなぁー。
……何時も一方的だったから、とポジティブに捉えとくか。
「【身体強化】」
俺の蹴りを受け流す為に少し後ろへぶっ飛んだ姉弟子が【スキル】を使った、メジャーなスキルの【身体強化】だ。
瞬間強化や強化器官を絞った強化じゃないなら、倍率は低いから安心、とは姉弟子ならならいな。
気を扱う人達は、まず【スキル】の使い方から違うからな、それが気を扱う人達のなかでも頂きに位置する姉弟子なら尚更。
炸裂音と空気の揺れと共に姉弟子が俺の背後に回った。
瞬間、刹那、どれが正解とも付かない”速さ”
移動する前に放ったであろう拳圧が遅れてやって来たのを姉弟子から目を離さないように軽く散らす、また炸裂音、今度は移動による炸裂音ではなく拳圧を散らした事による炸裂音。
さて、これで音が潰された。
視線は巻き上げられたアスファルトに。
足踏みでまたアスファルト砕いたか、
「はぁ、これなら未来観じゃなくていいな。」
邪気で対策されてるしな、観えない事も無い、が。 ゴリ押しって気分でも無いし、ちゃちゃっと普通の目に切り替える。
にしても、廃墟てか廃墟の町を選んで正解だったな……
普通にこの規模の戦闘してたら、今から放たれるであろう《崩拳》で木っ端微塵、廃墟量産確定だったな。
豪ッッ!!!! とアスファルトを崩し、”桃色の気”を纏った拳圧が飛んでくる。
その規模は視線の先全てが”桃色の気”に包まれる程のモノ、普段なら被害がヤバ過ぎるから叩き潰す規模の破壊の拳砲。
が、ここは別に壊れちゃ困る物もない。
指を揃え、手刀の形を取り、桃色の気を斜めに斬り払う。
二つに分かたれた桃色の気が俺の背後の廃墟と化した街を破壊しながら突き進み、背後で大きな爆発が発生した。
「着弾式だったか、……器用な事するなぁ」
焦げ臭い熱風を背に、迫り来る姉弟子を視線に入れて置く、次にどんな攻撃をしてくるかを見るために。
姉弟子が両腕に桃色に揺らめく気を、竜巻のように纏いながら迫る、1歩、1歩とんでもない速度で加速しながら。
俺がこんな呑気に思考できるのも【光速思考】まで【スキル】を引き上げてるから、でなければ姿は普通に目で追えても思考まではキツかっただろう。
それだけ今の姉弟子は”速い”
桃色の残光を引きながら俺の周囲を駆ける姉弟子、目で追い、気配も追う、どちらか一つでもズレさせられないように、精密に。
目を増やして360度見てもいいけど、それは手札の1つとして隠して置く。
俺の気配察知が後ろ右斜めからの気弾を感知。
ふーん? 弱いけど普通なら致命傷になりえる威力か、なら防いでおこうか。
振り返りながら脚を振り上げ、烈風を引き起こす鋭い風圧は斬撃へ、桃色の気弾を斬る
そして繋げるように脚を振り下ろし、体勢を下段にし視覚外へ潜り込み拳を握っていた姉弟子へ踵落としを見舞う。
アスファルトを砕き割り、その中心で俺と姉弟子は睨み合いながら笑みを浮かべる。
互いに言葉は交わさず、次の攻撃へ移る。
俺は姉弟子を叩き潰そうと振り下ろした脚へ更に力を込め、───ながら指へ気を篭める。
そして俺の力と拮抗できない、そう見るや否や、潰される一瞬の抵抗をする為に、両腕で防いでいたのを片腕に切り替え、片方の手を手刀へ。
潰される前に俺の脚を斬り落とすつもりなのだろう、──が、
「今回は一手遅い。」
───指弾、当たったした瞬間、炸裂する気の指弾。
それは姉弟子の姿勢を崩す。
このまま脚を振り下ろす……事はしない、なぜならこの程度の炸裂なら姉弟子は構わず手刀を放つであろうからだ。
姉弟子の技量、力、速さ、それら総てを総評しても俺の薄皮も引き裂けやしないだろうが、当てられたらステータスでは勝っていても、ステータスが勝ってなければ負けていたも同然だと俺は思う、
だから負け星を一つでも作る気の無い俺は、一つの被弾も無いようにする。(但しそれも気分による。)
人差し指で放った指弾で、体勢が崩れた姉弟子へ、中指での指弾を姉弟子の腹へ放ち吹き飛ばす。
「………ッ!!」
吹き飛び、体勢を戻せない姉弟子へ追撃を掛ける、1歩の跳躍、地面ギリギリを飛びながら迫り、姉弟子の顔面を掴む。
そして───アスファルトへ叩き付ける。
頭部を地面に叩き付けたには軽い感触、ああ、こりゃあ叩き付けられる前に姉弟子、地面を粉々にしたな?
《力流・散》源流では数多にある基礎の一つ、《流し》の──その派生、
《流し》が相手から受けた打撃などの衝撃を地面に”流す”技なら
《力流・散》は”力の流れ”を操り、意図的に拡散する技。
主に人体へダメージ蓄積の為に使われる技だが、今回は俺が放った指弾の力を姉弟子の力と合わせて、巧く地面へ押し付け、細かく衝撃を浸透させ粉々、それこそサラサラに砕いたんだろう。
首を断頭しようとギロチンのように左右から迫る脚刀を首を反らす事で避けながらそう考える
「まったく、器用なこって。」
「脳死で出来るようになるくらいにハ、ウチのババアから叩き込まれたから、ナッ!!」
アスファルトへ手を沈ませ、俺に熱しドロドロとなった赤いアスファルトの破片(?)を飛ばしながら答えてくれる姉弟子。
てか【火耐性】なら、石溶ならどうだ? って抜かりないし殺意高ぇな、この姉弟子、あの師範にしてこの弟子ありだよ。
そして固形じゃなく、ドロドロになった熱せられた物質なら、生半可な普通の【火耐性】なら貫通できる推測が当たってるのがなんとも……
ま、俺【火耐性】じゃなくて【火無効】なので、ドロドロになっていようと石の熱を無視したダメージしか入らんけど、そもそもを言ったらあり過ぎて困るから考えるのをやめにして、避けよ。
当たるのはなんかダサイと思うし。
「その表情からしテ、避けたガ効かないカ。」
「ご明察。」
軽口を交わしながらも攻撃の手は止むことなく、巨大な刃を袖から取り出した姉弟子の斬撃を避け、刃をへし折り、蹴り合いをする。
上段からの首狩り、と見せ掛けた払い打ち、を逆に蹴り抜き、戻し、突き蹴り。
──を《流し》で軽減され、反撃の回転を加えた姉弟子の拳《旋拳》を腹で受ける。……と見せ掛け受けた螺旋の威力を利用し宙で回転、しながら蹴る。
殴る蹴る斬る砕く避ける流す砕く殴る流す打つ放つ。
一つ一つが致命的な破壊を齎す威力の攻防
「 《空打ち》ィ!!!!!! 」
所々に差し込まれる姉弟子の源流を《武技》へ昇華させた技。
元から高い威力を誇る技と呼べる源流の打撃術を、姉弟子の技量が垣間見えるLv.8の【武術スキル】補正、それ乗せる為に《武技》へ昇華させるのはいい作戦なのだろう。
なによりその使える物はなんでも使うの姿勢は俺の大の好きとなる所だ。
本来なら空気を伝い、皮膚を打つ、牽制よりも高い程度の《空打ち》も、姉弟子の技量、【武術】スキルの高さが合わされば、空間を走る衝撃拳となる。
最悪この威力の衝撃を肉、骨の防御を無視し直接触れてないのに走る衝撃は内部も外部もぐちゃぐちゃにするだろう、逃げ場もない、なにせ空間を走る衝撃だからな。
放射上に打つ性質上、背後に回れば無傷で済むかもだが、《空打ち》は牽制技、……必殺技に昇華されてるけども、……その性質上向かい合ってないと打たない。
だが、この距離なら懐に入り、逸らせる、まだ打ち衝撃が拡がる寸前の今なら。
一定の速度をキープしてる俺でも入り込み、逸らせる。
そんな思考を光速でしていると、ニッヤァァ、と嗤みを浮かべる姉弟子が、
「《空打ち》ィイ!!!!!!」
──────くっそッ、おもしれぇじゃねぇかよ!!
《空打ち》で揺らし走らせた衝撃を、隠してた切り札【瞬間強化】で一気に五段上げた身体能力で、追撃の《空打ち》で、走ってた衝撃を散らしやがったっ
姉弟子の真背後以外、全て《空打ち》の衝撃拳範囲内、姉弟子の懐も、だ。
肉体が持たない! なんて状況を無くすメリットとしてある《武技》の性質。 《武技》を撃った本人の受けるダメージや反動を軽減効果なんて知ってたのかよ姉弟子……!!
ちなみに【スキルLv.】が高ければこの性質の恩恵も高まる、だから、姉弟子はこの空間を走る衝撃内でも、俺に追撃が可能、って訳だ。
「───ハッ、やらせるかってな。 《空打ち》」
なら俺も《空打ち》を撃てばいいって話よな。
蹴り抜くように放った《空打ち》は姉弟子の拳で放った《空打ち》より上の威力で空間を駆け巡り、姉弟子の《空打ち》を押し返し
───姉弟子を打ち抜いた。
膝から崩れ落ちる姉弟子……を油断せず近寄らず眺める。
「……?」
…………あれ? 姉弟子、どうせやられたフリとか力尽きたフリとかだと思ったけど、マジで起き上がってこないんだが。
恐る恐る姉弟子へ近寄る俺。
「力尽きたフリ、にしては長いよ? 姉弟子……?」
あれ、やっぱり意識はあるぞ。
「…………ァ"〜糞ガ。 弟弟子のような体力オバケと一緒にするなヨ…………。 気も魔力も空ぽヨ……。」
あ、【瞬間強化】で魔力も気も使い果たしたのね……そこに追い討ちの《空打ち》そりゃ倒れるわ…
「……勝負あり、ってことで、いいかな?」
「…………乙女の口から参た言わせたいカ、…………冗談ネ、そんな困た顔するナ、勝負あり、でいいネ。
──今日の所は、ナ。 女だからと変な手加減したラゴネてやたガ、弟弟子はその辺分かてるからナ、潔く認めるヨ、今日はナ。」
「潔くって言ってる割りに2度も今日はって念押が入ってるあたり悔しそう……」
てか薄々勘づいてたけど、やっぱりこの報酬の前払い、前半と後半にわかれてたのね……?
「12月憶えとくといいネ……!! 次は絶対吠え面かかせてやるネ……!! 次いでに魔法やスキルをもと使わせてやるネ…………ッ!!」
「あっはっはー、楽しみにしとくよ、姉弟子。」
────《武技・戦技》
色々ある性質の一つ、反動軽減と自己ダメージ軽減。
繰り出した《武技・戦技》の反動や、応用する際に発生するダメージを軽減する性質、概念に近いもの。
使う《武技・戦技》の元となる【スキルLv.】が高ければ高い程、軽減の効果は高くなる。
【スキルLv.5】もあれば半減くらいに軽減の効果は高くなる、ちなみにLv.1上がる事に軽減効果は徐々にではなく、跳ね上がって高くなる。Lv.8もあればダメージは軽減、ステータスの防御合わせてゼロと言っていい。
────裏話。
元々はこのダメージ軽減を利用するのは主人公の白夜が初の予定だった、必要のない理不尽様が悪い。
──────☆
皆様、今回もお読み下さり有り難く思います! な、なんか投稿出来ない筈が楽しくてちょこちょこ書いていたら投稿今月も出来ました! 皆様の応援のおかげです!
もし宜しければ、とイイネ乞食をしようと思っていたのですが、やめときます……。
こう……! 義務では無いのですが話数が少ないと申し訳なさが何故か勝ってしまっていつもの様に言葉が纏まりません……、なので来月、来月書けたら…………書けるかなぁ…………。
なんだかモヤモヤした変な事を垂れ書きする前に、会話を切ります! では! また9……10月!
お読み下さり有難う御座いました!!




