第六階層”四神戦暴域” 【 1 】
門を潜り、第六階層への門へ手を掛け、開ける
──前に気になった事を一つ亜樹に尋ねる
「亜樹さんや」
「うむ?」
「この、なんだろ階層前にある看板に書かれてるのなんだろ。」
毎回門を開ける前にあるから気になってはいたんだが、今回は……四神戦暴域、よんしんせんぼうじょう……? あ、鑑定掛けれる、えーと、シジン・センボウイキ、か。はへぇ〜
俺がそう読むんだ、と一人納得してると亜樹が答えてくれた。
「それは母様が決めてる階層事の題名だな、一応その題名に寄り添ったモンスターを配置してるようだぞ。」
「はぇ〜、新鮮、他のダンジョンも調査とかで潜るけどこんなの無かったしな、なるほどこうゆうのもあるのね。」
しかし、四神か。
このダンジョンの出現モンスター的に無いと思ったけど、龍以外のモンスターも出てくるのかな?
「出てこないと思うぞ?」
「ですよね。」
分かってました、と思いながら門へ手を伸ばし、少し嫌な予感がした為、そ〜と門を何時でも閉めれるように開け、覗き見
パタン。
と直ぐに閉じた。
「どうかしたか、汝様?」
「うん、凄く雨のち炎のち土砂のち暴風です、服ぐちゃぐちゃになっちゃう。」
「なるほど把握した。」
しかし四神ってそうゆう意味かよ、……てかよく見積っても龍神は無理があるだろ、あの”四体”は
龍王の位を四段階に分けて、
下から下級、中級、上級、最上級として、強いは強いけど、普通に最上級止まりだろ。
………、あいや、俺が間違ってんのか。
進化途中の亜樹を基準にしたけど、亜樹がおかしいだけで、あの四体は十分”龍神”級なのか、そうなのか。(不安から来る自問自答)
「……用心してもう少しギア、上げた方が良きか?」
「出たな汝様の謎警戒心、──己と宇宙破壊レベルの戦闘を繰り広げたのだ、今更惑星破壊レベルに用心も警戒も無用……ハッ! 油断せぬ、油断せぬぞ。」
───こう、俺がそれもそうだな、って納得してから相方が壊れると困るものがあるな、よし、戻ってこーい亜樹やーい。
取り敢えずぐしょ濡れも土まみれもチリチリ髪の毛になるのも暴風で髪を巻き上げられるのも嫌なので結界を貼って行くことにした。
俺は普通にどの攻撃にも対応出来るように体を覆うように丸型の結界を
「しかし、金平糖型の結界とは、亜樹、オヌシチャレンジャーじゃのう。」
亜樹は自分の体を覆うように金平糖型の結界を
「うむ、コレで近寄って磨り潰して来る。」
一瞬俺の常識が”あの巨体を?” と囁くが、普通に出来るだろうな、と考える。
俺の”見える”に限った目線の先には”全体”の1割にも満たないだろう”大地を概念として司る龍神”
その全体の大きさはこの巨大な惑星を半分を覆う程、と言えばどれ程のものか、ぼんやりとだが分かるだろう、
────その上で俺は思う、普通に結界で磨り潰す事は容易だろうな、と。
だって、亜樹は格闘や剣技とかで今日目立ってるけど、本来の戦闘スタイルは”魔法使い型”
──ようは魔力特化だ、え、マジ? と俺でも思うけど魔力特化だ!
ここ数時間で剣も伸び出したけど、ウチの従魔、成長早過ぎん?
取り敢えず、結界を高速回転させて磨り潰すのくらい、亜樹の魔力量からしたら簡単だろうな、と考える。
だから俺は
「そっか、程々? にな?」
それだけ言った、てか磨り潰すのに程々もなにもないだろ、俺よ……。
「うむ!」
うん、元気なお返事。
そんなやり取りを、龍の背の上でしていたからだろう、俺達を突き上げるように生えた石の山剣に吹き飛ばされた。
勿論結界を貼っていたからそれはもう上空に打ち上げられた、まぁ、のんびりタイムも終わりとして、やりますか。
「俺は炎かな。」
「なら己は大地だ、───己と汝様の会話に横槍ならぬ横剣を入れ腐りよって、上下関係を叩き刻んでやろう。」
そう亜樹は底冷えるような声で言うと、
板のような結界を宙に張り、それを足場として蹴ると光の矢のような速さで大地を司る龍神へ向かって行った
あ、パッツリ割れたな、大地
血飛沫の代わりか、金色の魔力が俺の方まで伝わって来た。
「さて、サボってたつもりは無いけど、俺もやるか。」
───黒刃、機腕。
”大地を司る龍神”
──”大土地主バスディア”
その全長は大陸と見間違う程、その背中には毎秒事に隆起し、波打つような剣山と、一度認識してしまえば狂気に陥る程の魔力が渦巻いている。
しかし、それは全体の一部ですらなく、この巨大な半生物が”龍”だと知るも者も少ない、
その為、この半生物は移動する地災と記され、各地に厄災を退けようと、あらゆる種族は祈る、神よ、と。




