第五階層”腐死籠堕園” 【 3 】
魔法をぶっぱなし、名も知らぬ邪龍を消し飛ばして気分爽快スッキリンな気分で、
───気が落ちそうな程暗い景色の続く場所を歩く
「暗い、とてつもなく暗い、一人で歩いてたら多分気を病んでたぞ、俺……。」
「そうか? どうも汝様が環境によって気落ちしてる場面は想像しずらいな、なんなら鼻歌交じりでステップをしてる方が想像し易い。」
「そんな可憐じゃあるまいし……」
「? 汝様の女か? 驚愕だな、汝様が自分の女を家に置かないのは、それとも用事でもあったのか?」
……亜樹からどんな風に思われてるか、少し分かった気がする、そして否定出来ないのが悲しみ。
ごめんね、おばあちゃん、おじいちゃん、俺はとんでもない女スキーに育ってしもうたよ……ヨヨヨ。
「可憐は弟子だよ、特に”何かの”って決まった教えはしてないけどな。」
「ほぉ、汝様の弟子か、それは気になるな、強いか?」
亜樹の質問にあー、と考える。
可憐なー、最近、てかここずっと成長がめぐるましいんだよなぁ、でも亜樹と殺り合えるレベルか、と言われると……、
間違いなく地上の名だたる組織の幹部連中を一蹴出来る程だから”強い”とは言えるんだが、亜樹達規格外と比べると……なぁ……。
ああ、でも。
「亜樹が油断してたらワンチャン狙えるくらいには強いぞ、ウチの弟子は。」
「今、その可能性は師匠たる汝様に潰されたがな。」
「しまった。」
「しかし、ふふ、そうか、神と分類される己から勝ち星を狙えるのか、その弟子は。 興味が湧いた。」
ふふふふ、と愉快そうに笑う亜樹を見ながら思う、やはりドラゴン系のヤツらは戦闘狂なのだな、と。
しかし、”しまった。” とは言ったものの、多分亜樹は可憐を目の前にしたら油断すると思うな。
だって、可憐の長所は”戦闘時の刹那の瞬間の上がり幅”だしな、攻撃力が”百ちょい”のヤツがいきなり攻撃力が”数兆”まで跳ね上がるんだ、ありゃビックリするわ。
ただ、その戦闘時に一気に解放するスタイルのせいで奈那やミヨに、卍■! って吹き込まれてたのは焦った。
残●の太刀てか、似たような事出来るだろうけどやめなさいっての。
そもそもキミの武器は大剣てか巨剣でしょ、太刀じゃなく。
「────様、──汝様」
「はっ…!?」
「どうした、汝様、何故か光の無き眼で虚空を見詰めていたぞ。」
「んや、少し愛すべき馬鹿のやらかしの数々を思い浮かべて、な。」
「……大変なのだな。」
「……まぁ、世界遺産を灰にした時は、大変だったな……。」
即行魔法で戻して、隠匿してやったが、可憐、破壊力高過ぎるんだよ、しかも加減をよくミスるし。
こんど可憐に破壊範囲を圧縮する術を教えないとな、……圧縮した破壊力を解き放つ、とかしそうだからたっぷりと時間を設けて、まぁ今は百合の修羅場だからちゃちゃ入れんがな、クケケケ。困れ困れ。
「……何とも邪悪な笑い、しかし何故だ、所々から感じられる苦労の気配、可愛い仕返しをしてるようにしか感じられない。」
「はぁ、可憐の話はやめよ、悪口になっちまう。」
「汝様は陰口嫌いそうだな、分かった。」
可憐は可憐で一生懸命なだけだもんな、後先一切合切考えず問題を増やして俺に泣き付いてくるだけで。
────さて、お客さんだ。
「どうやら様子見兼戦力集めは終わったらしい。」
「そのようだな。」
腐った血肉、腐骨、で形成された大地が盛り上がる。
そしてそれらを突き破り、砕き現れたのは、先程消滅させた邪龍だ────それらが無数。
そして血肉や腐骨が積み重なって山のように見えてたモノが、動き出す。
「”邪龍オスネスト”、”腐敗の山骨龍ラジャサス”、”血肉を啜る奇龍ボロネボ”、”九大邪龍”と呼ばれるもの達の内三匹だな。」
「九大邪龍さんの内三匹、コピペされたような量が居るんですけど。」
あと鑑定しないと邪龍以外どれがどれだか分からん。
「存在だけ本来のヤツらより上げて、コピペしたのだろう。」
それでいいのか、九大邪龍の扱い……




