第五階層”腐死籠堕園” 【 2 】
不愉快な嗤い声が、結界を通し聞こえてくる。
「アイツ嗤えたんだな、おりゃビックリだよ。」
「いや、アレは邪龍としての行動に倣っているだけだ、アレ自信の感情では無い。」
「あー、そうかありゃ邪龍か、」
ダンジョンのモンスターにしては珍しい挙動だと思ったけど、そうか、オリジナルの行動ごと模したヤツか。
このモンスター。
「母上様、汝様の力の上がり幅に追い付く為、既存の龍の情報をそのまま模し創り出したな、」
「あー、もしかして元あった階層潰して、最後の階層に戦力集中させたりしてない?」
昨日より確実にこのダンジョン、階層の数、減ってるんだけど……。
「しているだろうな、そうでもし無ければ汝様には試練は疎か、障害とすら認識されんと思ったのだろう。」
なんか、焦らっせたみたいで、悪い事したかな?
なんて思いながらも攻略は、止める気はさらさらないけども。
「なるほど、この階層は繋ぎみたいなモノ?」
「ああ、汝様の思考した通りだ、元あった階層を資源として吸収し最後の階層創りに注ぎ込む為に、それまでの時間稼ぎとして即決で創り、主題に合った種類の龍を存在だけ階層難易度に釣り合わせた間に合わせ、繋ぎだろう、その証拠にこの階層に存在する龍は、どれもこれも母上から貰った知識にあるヤツらだ。」
一聞いたら十くらい答えてくれるやん、普通にありがたいけど。
でもそうか、なんか、大分悪い事したなぁ、大昔からコツコツ一生懸命考えて創って出来た階層だろうに、いや、二回目だけど攻略は止める気さらさらないんだけどね。
でもそうゆう罪悪感は少し抱いてしまう。
────ゲラ ゲラ ゲラ
ゲラ ゲラゲラ
それはそれとして、いや、面倒になって思考を放棄した訳ではないよ? ホントホント。
なんて誰に言い訳してるのか、いや常時俺の思考を覗いてる嫁達にだな。
────ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ
あー、あー""
「クソうるせぇ、しかも妙に癪に障る。」
「行動そのモノが邪悪とされた龍だからな、アレは、嗤い方、そこに込められた模造された感情は愉悦、生命を弄り殺し、貪るアレとは模造とは言えども、汝様とは相容れぬのだろう、多分で悪いが、己はそう推測する。」
「なるほど、同じ邪悪と分類される同士でも、馬が合わないからか。」
無関係の一般人を殺しても、不愉快と感じても、愉快とはならんしな、俺は、ならないだけだけど。
「邪悪…、か。」
「ンだよ、その”そう思うならそうなんだろうな、君の中では”とでも言いたげな顔は」
「はぁ、こればかりはどうにもならんだろうな、その線引は本人次第だ。」
「妙な納得のされ方で嫌だぞ俺は、普通になんかあるなら言ってくれ。」
「……分かった、では言わせて貰う。」
なんか、妙に間を置かれたな、少し緊張するぞ、あと言われ過ぎると多分泣くぞ? 俺、情けない話だが。
「──その癖だかなんだか知らんが、自分を貶める言い方をやめよ、汝様の過去に何があったのか、などは聞かん、知りたければ過去でも覗き見るからな、しかし、己が好いた汝様がそう自分を貶めると、己は嫌な気持ちになる。」
────、まったくの正論だな。
好きな人、愛してる人が、自分を貶めるような言い方をしてれば、俺でも嫌だと思うだろう、そんな事分かりきってるのに、……嫌な思いさせたか。
”これも”反省しよう。
そうだな、俺はエロいくらいがちょうどいいのかもな、嫁さん全員に言われるけど。
無意識だから口からポロッと出る、なんて言い訳並べずに、直そうか、このマイナス思考。
「ごめん、気をつけるよ。」
「……そうしてくれ、何も声を掛けてやれんのは、…どうも苦手だ。」
亜樹はそう言いながら剣を、未だに嗤う邪龍へと振るった。
斬、と擬音が付きそうな斬撃が邪龍の胴体、首ごと縦に両断し、勢いを殺さずそのまま地平へと消えて行った
「代わりにそのマイナスな発言以外なら、なんでも承ろう、出来れば抱かせろとか、そのような系統が良い。」
「たぶん、十割俺が原因だけどさ、その俺をえろ大魔神にしようとする計画、もしかして全員共通の目標なの?」
俺が、てか俺のマイナス思考を別へシフトさせようとした結果なんだろうけど、エロじゃなきゃダメだったのだろうか…!?
「うむ、汝様には気軽に女を手篭めにする大胆な男になって欲しい、さらに独占欲やその他もろもろ強くなって欲しい、が己ら”白夜の嫁連盟国家最高議会”の総意だ。」
「始めて聞くんだけどその組織…!? 責任者は智核か創楽、どっちだ!?」
「奈月だ。」
「まさかの人!?」
え、え? 奈月はちょっと男の娘好きーの嫁だと思ってたんだけど!?
「なんでWhy!?」
「奈月は言っていたぞ、夜の生活、女としての幸せ、環境、愛情、どれにも文句無いくらいか少し胃もたれを起こすくらいには満足している、と。
しかし、それと同時に汝様の、”俺以外の好きな、本当に心から好きな人が出来れば潔く、私達の幸せの為に身を引く”その精神が────堪らなくぶっ殺したい。
…と。」
「そこまで!?」
「なんなら強引に引き止め、ベットで堕とすくらいの気概でいて欲しい、てか独占欲のままに蹂躙されたい、と!」
「願望入ってません!? あの男の娘好きーのドマゾ!!」
「コレに”そうだな”との総意で結成されたのが”白夜の嫁連盟国家最高議会”だ、ちなみに他にも色々、それは色々あるみたいだ。」
「帰ってから人が夕食を娘と作ってる間に色々話し過ぎではありません!?」
「最終的に、”少し頭悪い官能創作に出て来るエ口男”くらいのヤリ■ン的なエ口さを兼ね備えた、今の愛情重め汝様にしよう、と結論着いたぞ。」
「人が知らぬ間に!?」
「……諦めも、時には肝心だぞ汝様…」
「そっかー、とはならんのよ?」
────ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ
「このタイミングで再生完了して嗤われると悪意を感じるんだが……!?」
「本来なら、そんな攻撃効かんぞ、と嗤う場面なんだが、タイミングが悪かったな、否、再生遅いアレが悪い、龍種の面汚が。」
「シレッと再生タイミングを謀った癖にとんでもない言い様だな!? 言っとくけど剣術のLv.7にもなれば不死殺しの術があるの知ってるんだからな!?」
「…チッ、皆が言ってた通り、嫁の感情や戦闘に関しては鋭いな。」
褒められてる? 貶されてる?
────ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!
「オメェはうるせぇよ!!」
魔法で消し飛ばした、なんかスッキリしました。




