帰宅間際の交差
「へぇ」
この距離まで威力を減少させず届いた魔法に思わず感心の声が漏れる。
人間視点での強者と分類されるヤツらのレベルが40〜60だと智核達から聞いていたから、地上じゃあのゴミ屑位のヤツは滅多にいないんじゃないか、そう思ってたけど。
ああ、見渡せば結構居るのな、それに。
今の魔法を放ったヤツの存在は──102、ゲームで言う所の”セカンド職業”それが”埋められてない”からステータスはそれなり、だけど、その分スキルのLvが軒並み高水準で纏まってる。
流石、覚醒してる──”魔王”
それに、過去をパッと見、このたいそうな名前の付けられた”神域魔法”とかに関与してないみたいだし、新婚旅行? ならあの国でもいいかもな。
なんて加速した思考でごちゃごちゃ考えていると、亜樹が飛んできた魔法、”赤紫色の雷”を睨み、次の瞬間
───跡形もなく魔法を消失させた。
「魔力を魔力で破壊、さすが理不尽の権化と呼ばれる龍種、お見事」
「この程度の埃を払った程度で褒められると釈然とせぬが、汝様の場合本当に褒めてるんだな……、その相手の目線での実力評価、あまりやり過ぎると敵が要らぬ希望を持つぞ、折っておきたいならば、もう少し超越者目線で語ってもいいと己は思うぞ。」
「そうか、……うん。気を付ける」
この程度で希望持てるのか、安い希望だ。
けど、それで調子付かれても面倒な場合もあるのもまた事実、気を付けよ。
「···」
チラリと此方に魔法を放って来た魔王を観る、ありゃ冷や汗だらだら、風邪ひかんといいけど。
「んじゃ今日の所は帰るかー」
「うむ、ちなみにだが己は汝様について行っていいのだよな? さすがにここまで来て放置されたら泣き喚くからな?」
「心配しなくても連れてくよ、心情的にも、家内の圧的にも·····」
まさかペット枠としての長みたいな責任感? が常世に芽生えてるとは……、お前は俺の嫁件娘であってペット、では、ない筈…なんだけどなぁ……。
「……?」
「取り敢えず、帰ろうか。」
俺はある結界を、円形に14枚張り巡らせ
転移門を足元に開いて元の世界に帰る。
次来る時はもう少しちゃんとしたシュチュエーションがいいなぁ、なんて考えながら。
黒い装飾が散りばめられた玉座に腰を座らせ、銀色に薄暗く輝きを放つ髪を持つ、燃えるような赤色の瞳の主は天に顔を向け、疲れたように、緊張が解けたように、腰を深く落とす。
耐魔力を備える鉱石を惜しげも無く使われた壁、その壁を消失させ”開いた大穴”を見ながら。
「あれはぁ〜♪ なんなんだろうねぇ〜〜♪」
黒い布を纏う小さき者は冷や汗を流しながら、震える体を押さえ付け、元気に見えるように振る舞う。
「一応、本気、だったんだけどなぁ♪
───まさか一睨みで魔力を破壊するなんて、それもボクの魔法をだよ? そんなの神と名の着く者共でも不可能なのに、·····ボク自信無くなっちゃうなぁ♪」
魔王様ァ〜!? と同胞達が騒がしく玉座に向かってくる声を聞き、小さき魔王は”いつものように”小生意気そうな表情を浮かべる
「まったく、ざぁこな同胞が多くて王たるボクの苦労は増えるばかりだねぇ〜♪ ま、みんなざぁこだからつよつよなボクが頑張らなきゃ、ね···☆」
心細そうな、だけど確かな王威を持って小さき魔王は呟く、自分を鼓舞するように。
気まぐれ異世界編、一旦終了でーす。
次は白夜家の日常を挟み、閑話を挟み、ダンジョン攻略に戻る事になりますねー、多分……、一応ストーリーの下書きはあるのですが、これもやらなきゃアレも説明パート入れたいなどの思考が邪魔してごちゃごちゃになってしまうのですよね……、キャラクター達がやらなそうな事はキャラがブレてしまうのでやらせたくないですし、また掲示板の話もー、なんて考えてると……、んじゃ自爆しまーふ、では!(愚痴を打ち切る為の唐突な自爆)




