呆気ない最期
泣き喚くゴミ屑を見下ろし、胸の内にある憂鬱とした気分を吐き出すように俺は少し息を漏らす。
「…ハァ。」
帝国と、聞いたからもしかしたら”隠れ地の里”と因縁がある帝国かと思ったが、それは外れだった。
だけど、胸糞悪いレベルならこの”帝国”は同レベル。
俺は不思議だった、智核達、異世界組に前情報としてある程度の話は聞いていたが、どうやって智核達ダンジョンを、それも”一存在多重宇宙を内包する”智核達を俺達の世界に落とした、移動させたのか、そこまでは深く踏み込んで聞いてなかった
何故なら実際に現地に行って、観てみるつもりだったからだ。
──どんな理由で。
──どんな経緯で。
──どんな方法で。
それら全てを観るつもりだった、過去くらいなら俺の目なら容易く視えるから、たとえ隠匿されていようとも
今回は、”イレギュラー”、偶然の巡り合わせで異世界に来た、ほんの下見、のつもりだったんだけどなぁ……
”出来れば”隠れ地の里の事を解決出来れば、なんて出来心。
───だけど、逆に今回はコレで良かった。
皆には”狼狽える姿”なんて見せたくないからな
はぁ、まさかダンジョンを”落とす”に、こんな下らない理由で、しかもこんな”方法”だとは、な。
ダンジョンとはこの異世界では、太古から存在し、”無限財宝の宝物庫”と称されてる場所みたいだ
だが、俺はこう考えていた”いくらダンジョンから出るモンスターの肉で飢えには困らないとはいえど、ダンジョン以外の食い扶持は用意しているモノだと”
これがまず最初から間違いだった、”先ず、この異世界は、星の誕生から飢えに困らなかったのだ、そうこの世界を創った女神が、ついでの感覚、異常とも言える過保護と絶妙な視点の違いで飢えを起こさないように、この星の生物が、自分の娘達にモンスターと言う食材を創る機能を与えていたから”
だから経ったの一度も困らなかった、そして食材があるのは古代からの当然だった。
ダンジョンに入らなくても、森や野原に湧く食材、あって当然のモノ。
────だから、”一日”位その食材が世界から消えようとも、生きていける。
その一日をこれまでの備蓄で乗り越えるだけで
”人知を超えた神々の道具が手に入る永劫の栄光を手に入る”
──そう考えてしまった、何百、何千と思考を重ねた叡智で、そう結論付けてしまった。
これが一つの間違え。
もう二つ目の間違えは、───自分達の技術を過信し過ぎた。
”ダンジョンという無機物”とダンジョンの中に生成される”人知を超えた神々の道具”だけをこの異世界に、残せる。
素材・食料が再度”湧く”前に、それらを回収出来る、と。
人類種がこれまで培った偉大なる叡智と、技術があれば、成し遂げられる”絶対”に、と。
””この星の要らない”生命、亜人種”一兆と四十億超えの命と魂、苦痛と大海のような血を消費した──神域魔法””なら、確実にこの偉業を為せる、そう間違った根拠と確信を持って殺りやがった。
くだらない、くだらない、くだらない。
胸が焼け落ちそうになる、余計なモノを観た、感情を入れ込み過ぎた。
思考の底に沈んでいたら目の前のゴミ屑の最後の肉片が喰われた所だった。
あぁ、殺してしまった。
「───もっと苦しませればよかった。」
俺が思わずそう呟くと、目の前で皇帝がナニカに喰われていても動けもしなかった腑抜け共が、ゾッとしたような表情を浮かべ、あらんかぎりの恐怖と絶望がごちゃ混ぜになった顔で俺を仰ぎ見る
「汝様、己が掃除をしようか、そろそろ虫ケラの分際に汝様の御姿を記憶させとくにも嫌気が差してきた所だ。」
「重い重い重い───、なんてね、いいよ、ほっといてくれ、今は」
空を見上げる、少しでもこの憂鬱とした気持ちを晴らしたいから。
少し目を閉じ、嫁達の姿を思い浮かべ《呼びましたか? 呼びましたね?》·····空気の読めない嫁が空気を読んで来たな(複雑な心境)
《空気の嫁ないですね?》
「なんちゅーしょうもないギャグを」
あ、もしかしてこのセンス俺譲り…?
…ふふっ、少し元気が出た。
「何時もありがとな。」
《旦那様のお嫁さんですから、このくらい今晩も沢山愛して頂けるだけでよろしいですよ。》
んじゃ加減なく。
《加減はして下さい(切実)》
「ははっ」
「むう…」
んや、どうした亜樹、無表情でムクれて、可愛らしいだけだぞ?
「今のやり取りに入り込めなかったのが悔しいのだ。」
「世界の声として職権乱用みたいな事をしてる智核の声を聞き取れたのかよ、すげぇな。」
アレはその当人にしか聞こえない声なんだがな。
「むぅ、やはり番と言う立場は強い、己はまだその領域には届かぬ、少し歯痒いなんて感情初めてだぞ。」
……こうもドストレートに好意を寄せられると、少しムズ痒いモノがあるな、いや俺よ、今はこの問題は置いとけ、どうせ帰る時亜樹も家に着いてくるんだ、そん時に考えろ、少なくとも今こんなくだらない場所で考えていい問題じゃないだろ。
ただ、言葉は返そう
落ち込む、ってよりは考え込む亜樹の頭に手を乗せて、髪を解くように撫で、言う
「ありがとう、亜樹、お前が居てくれて助かった。」
「……っ、う、うむ、お、己は汝様の従僕だから、な、当たり前と言うヤツだ、……ただ、そのもう少し撫でてくれ……」
照れ、可愛いかよ。家の嫁達にはあまりない属性だな、何時も大概頭を撫でるなんてスキンシップとれば速攻寝床行きだからなぁ……新鮮。
よしよし、と。
さて、そろそろ時間だ、帰るかな今日の所は、だけどな。
それと、今度来る時は”隠れ地の里”で奴隷として出された人達の魔力残滓でも観てこないと、
────この星、思った以上にデケェわ、よくコレで物理法則機能してるな。 ってレベル。
そんな”デカさの星”だから帝国なんて名が付く国なんて腐る程ある、だから見つけようとすれば時間をかければ見つけれるけど、一旦帰るなら手間を減らせれるなら減らそう、って魂胆だ。
てなわけで、帰ろう、正直”皇帝なんとか”の死に様を観察とかで時間を使い過ぎたな。
んじゃあ帰りますか、と瓦礫の上から腰を起こした、
────その瞬間、”遥か彼方”そう言えるだろう距離からの魔法が”俺”を襲った
ステータス───
名前:【グラセフ・セスティフ・ミーツ】
・年齢【86】
・性別【男性】
・種族:【人間種】
・存在【51】
●職業:<剣帝>
・HP:-/-
・MP(魔力総量) :(3)153/153
・気:-
《装備効果ありの【気】の数値》:-
・力:(2)+(職業補正+1)×(Lv補正51倍)=153
《装備効果ありの【力】の数値》:474(+210%up)
・防:(3)×(Lv補正51倍)=153
《装備効果ありの【防】の数値》:175(+15%up)
・器:(1)+(職業補正+2)×(Lv補正51倍)=153
《装備効果ありの【器】の数値》:153
・知:(1)×(Lv補正51倍)=51
《装備効果ありの【知】の数値》:51
・速:(2)×(Lv補正51倍)=102
《装備効果ありの【速】の数値》:132(+30%up)
・運:46【|固定《装備による変動のみ可能》】
《装備効果ありの【運】の数値》:46
─【所有スキル:一覧】
・【火耐性Lv2】
・【帝剣術Lv3】
・【皇圧Lv4】
・【床上手Lv2】
・【微毒耐性Lv3】
・【政治Lv3】
・【統率Lv4】
・【身体強化Lv1】
・【基礎魔法Lv1】
─【所有ユニークスキル:一覧】
・【皇帝の庭】
・【器用な者】
─【所有称号:一覧】〔:【黒血帝】:【102代目セスティフ帝国皇帝】:【蛮皇】〕
─【現在装備してる装備:一覧】
【セスティフの皇冠(魔法耐性Lv5・魔法攻撃力10%up)】
【黄金羊のマント(防御力10%up)】
【皇帝の威服(防御力5%up・攻撃力10%up)】
【皇帝の篭手(攻撃力50%up)】
【皇帝の靴(速さ30%up)】
【皇宝・ルーンペイン(攻撃力150%up)】
【皇宝・ルウネイヤの冒涜(敵性攻撃を一度完全無効化)】
【皇宝・魔窟(無機物の収納限界値100%/55.6%)】
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ユニークスキル──
・【皇帝の庭】
効果:皇帝グラセフが所有する”物”への絶対的な支配権、この支配は皇帝グラセフよりLv100離れていようとも適用される。
・【器用な者】
効果:ある程度の器用な者になれる。




