250:帝国に終末を告げる自□の女神像《ずっと放っていた転送の魔法を余波で砕かれ続けたダンジョンコアの気持ちを一行で答えよw》
混沌の濁流が俺を包む、押し潰し、崩落させ、捻り切り、爆ぜさせ、ごちゃぐちゃ無茶苦茶、法則も理も何も無い、上下左右、感覚すら時間すら忘却されてしまったような曖昧な混沌が俺を包む。
それでも、それがなんだと言うのだ、俺がこの程度で、殺られる訳がない。
──目を開ける。
ただ、それだけで俺を包む混沌がそれを容易く上回る魔力によりに消し潰され、俺を包んでいた混沌は周囲を漂う、
周囲を漂う混沌の残滓を俺は腕の一凪で散らす。
腕を一凪した、その瞬間を狙ってたかのように今は先程の力を微塵も感じさせない龍の神が俺の懐に入り込む、 ……そうか、そうまでなっても未だ諦めないのか、 ……無謀とは笑わない。
───トン、
俺の腹に、力など入ってない龍神のタックルが繰り出される、それを受け俺は問う
「まだやるのか?」
その俺の問に龍神は震えながらも笑みを浮かべ返答する。
「当た、り前だ……」
そう言いながら不格好ながら片腕を胸に、もう片方の腕を胸下に構える龍神。
ならば、──俺はそれに答えるだけだ。
龍神の背後に瞬間的に回り込み、俺は龍神の背中を、ぽん、と押した。
その一押しに龍神の体は黒い光に一瞬包まれ、
──崩れ落ちるように大地へ倒れ込んだ
「さすがに、この状態だ、魔力や神力を根刮ぎ喰らえば、気絶くらいならしてくれるか。」
さて、どうするか。
このまま、殺すか、それとも”テイム”するか。
そんな白々しい事を考える素振りをする俺は、苦笑いを浮かべ、この龍の神さまが目を覚ますのを待つ事にした。
────そう、ようは途中から俺はこの龍の神さまを気に入ってしまった、端からテイムする気満々だったのだ、それでも尚も”殺す”という選択が頭にチラつくのは、 俺の弱さが故だろうなぁ……。
……魔力、神力が零な為に自然再生すら儘ならない龍の神さまに、手を当て魔力を込める、そして【回復魔法Lv8】《全回》で体の欠損を全て治す。
後は数分もせずとも自然に目が覚めるだろう。
さて、
「戦闘中何度か飛んでくるこの”転送”の魔法はなんなんだ……」
三階層にまだ生きてるなんか居んのかと思っても居ねぇし、発生場所察知してみたら、このダンジョンの最下層だし、
「あの性格のコアが俺を排除したいなんて事は無さそう何だが……? ダメだ分からん、一回向こうの思考に乗ってみるのも手か?」
ぶつぶつと考えてはいるが、結局の所、智核や明華に聞けば早い話しなんだが、なぁ……。
2人とも忙しいだろうしな、"ジョブLv"の新規調整に、やる事沢山だろうし、なにより2人が何も言って来ないって事は俺はどっちの選択をしても良いって事、なんだろうな……。
龍の神さまに【創造】で出した糸を縫って適当に作った服を被せながら、胡座をかき、あぁそうだ、と思い出したお楽しみの【自己情報】確認でもするかなぁ、と考える、が、どうせ《テイマー》のレベルも上がるかも何だからその後いっぺんに確認しよ、と思い直し、スマホで時刻を確認する。
「うーん、午後14時24分。」
まだ一、二、階層は攻略出来そうな時間帯だよなぁ、4時には帰る計算だし、三層はきり悪いよなぁ……、 ん、もう少し攻略して行くか、 ……んや、龍の神さまの目覚める時間によってはこのまま帰りの時間になりそうではあるけど。
「ふん〜ふ〜ふふ♪」
しかし、今日も中々楽しい一日だ、一日一日がここ最近充実している、皆と、智核と、常世と会ってから、”また”楽しいと、幸せだと思えるようになってしまった。
「俺は幸せだぞ、何が俺は”幸せを謳歌してはいけないゴミだ”────ざまぁみろ、ばーぁか。」
ふふ、この世に居ない奴に悪態を吐いても虚しい、だけか、しかし、どうしても”小さな鳥の囀り”が聞こえるとこうして悪態を吐きたくなってしまうようになってしまった。
俺がこんなんだからかな、まだ、いまだに”ピィ”がこの根暗が、と励ますように鳴いてくれる。
「──大丈夫、大丈夫だから、まだ守るなんて口にするのすら憚られるけど、俺は大丈夫。」
だから、こんな小動物霊とも言えない姿で此処に留まるのは止めなさい、いい加減飛び立って、俺にピィの生まれ変わりの姿を見せてくれ。
”俺に魔が差してしまう前に”
「────汝はそのような小さな霊とも言えぬ残滓すら認識してしまえるのだな、否、執着の為せる知覚か?」
「やぁ、起きたね龍神さま、 あと今愛が重いぞって遠回しに言わなかった?」
「まだ言っておらぬ。」
言ってんのと変わらんのよなぁ……
251:試練を与える龍
理不尽の権化その者じゃ!!!!!!!!




