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俺が理不尽です  作者: セロリM
足の引っ張り相い・試練を与える迷惑宮
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閑話 変わったモノ

 



 この世界は、あの大厄災以降、ほぼすべてのモノが様変わりした。


 例えば、暴力の在り方、大厄災前は数の力が例外を除き、正義とされていたが、大厄災以降は絶対の個が正義とされる世界になった。


 海は地球生物の支配から、モンスター蠢く魔境へ。


 山は木の匂いを感じられる大自然から、入ってしまえば帰還は不可能とされる地域に。


 宇宙に向かう通り道、または自由に飛んでいた空は大きな羽を広げる生物の支配領土に。


 しかし、そんな在り方から、人類はまたもや覆してみせた。


 海を何分割と結界で区切ることで、なんとか昔のように自由に航れるように。


 山の頂上までとは行かずとも、周辺の地域を帰還不可能から、難しいまでに解き明かし。


 無抵抗に殺られるしかなかった空での戦いを、抵抗できるモノへと。


 分かり難くも、確かに人類は前進している。



 その一つとして、この空を飛ぶ丸い船のようなモノも前進の功績の結晶とも言える。


 空での飛行を、魔法、科学の力で飛行機の時代から、遥かに向上させたのが、この”機空戦艦きくうせんかん”。


 内部は広さは驚きの、大型船の倍の広さ。


 そして移動方法は、魔力で作った抵抗力のベクトル操作や、空理機、推進力により、即座に360度の旋回の自由、最大速度はマッハ11.3。


 その驚異の移動速度と、空での自由。


 さらには空の驚異への対策として、戦闘を開始できるように、機空戦艦の上には、足場として活用できるだけの空間を展開できる方式が敷き詰められている。


 そして搭載されている対空兵器。


 この全てが揃い、やっと空の移動が可能となっていた。


 と聞けば、空は危険極まりないと思うが、冒険者達にとっては、まだマシになっている、と思えるのが現状だった。


 未知の領域、息の出来ない空域、自由の効かない水の中。


 そんな所で戦闘をするのに比べれば、戦闘の出来る環境が展開されるこの”機空戦艦”はマシだと言えた。


 それもこの”機空戦艦”は冒険者ランクCにならないと、操縦士や荷物の管理職員、職員以外は乗れないモノ。


 言ってしまえば乗ってる乗員はの殆んどが強者と言ってもいいヤツらばかり、町で素人守りながら”暴走期”を迎えるより、遥かにいい、どころか、こちらがいい! と思える程だった。


 それに、死の危険は多いとしても、空の関わるクエストは報酬が多い。


 そんな理由で”機空戦艦”に乗るモノは多い、物質の運搬、人材の派遣、外国からの帰還、理由は様々だが、とにかく今の移動の主流は機空戦艦だ。







 まぁ、多いと来たら、それ相応に問題も多いのだが。








 機空戦艦に乗る乗員がある一つの集団に注目する、理由は簡単、あまりにも怪しかったからだ。


 明らかに国籍が異なる集団が、また裏の家業を生業とする者達の独特な雰囲気を纏わせ、一点に固まってる光景は、怪しい以外の言葉が出ない程だった。


 周りから見る者達の脳内に、各国からのスパイ、の文字が横切る、その原因の一つは、この機空戦艦の向かう先にもあった。


 この機空戦艦の着陸予定の地は、ギルドの総本山と呼ばれる場所だ。


 冬に起きた”暴走期”、そしてその間に起きた各国のスパイの足の引っ張りによって受けた被害は無かったとは言えど、それは結果論。


 もしもの一つでも手違いがあれば、軽く千は死んでいた、それを憶えて、その国の者に嫌がらせや差別をするとまではいかないが、警戒心の一つや二つ抱く。


 機空戦艦の内部に、微かに重たい雰囲気が立ち込める。





───”機空戦艦”は問題も希望も運びながら、今日も空を飛ぶ。





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