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俺が理不尽です  作者: セロリM
ダンジョン問題

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310/380

その形は家族に見える。

 




───ある娘達の話をしよう。




 ある里、そこは多数の人間がいることを世間と定義するなら、世間とは程遠い場所にあった。


 そのため、そこに住む皆は身内で、心優しい、そんな清いもので構成された里であった。


 しかし、何事も例外がある。


 これも一つの例外。


 里に、生まれたある二人の若者がいた、その二人は里にとって、身内から産まれた大切な宝達、里の皆は大層可愛がった、だが別に特段珍しい事ではその里にとってない、誰かが産まれれば、皆は大層可愛がるし、宝物のように扱う、いくら産まれる人数が多いとしても。


 しかし、その二人は勘違いをしてしまった、種族の特長からか頭が良かった二人は、物語の"王"と呼ばれる存在を里にある数少ない書物から読んでしまったからか、自分達はその王と呼ばれるものに近い血統だと勘違いしてしまったのだ、その勘違いの原因はその年に産まれた子供が少なかったことにもあるだろう。

 里の総出の可愛がりはその二人の勘違いを増長させてしまった、いや、普通はこうなることはあまりないだろう、しかし、元の気質からか、そうなってしまった。

 そしてその二人は大層我が儘に育った。


 気付ける筈の勘違いを自分以外に"無関心"とゆう最悪の形で気付かずままに。


 16年、その二人は互いをこの里を統べるモノを当然とゆう思考のまま、同格と思い込んでる二人で番った。


 そして一人の子供を作った。


 その二人から産まれた、一人の子供は二人の子供とは思えない程にあまりにも賢過ぎた。

 そして子供は三歳にて悟った、自分達家族は嫌われていると、それもそうだろうと、子供は納得してしまう。

 周りの家族とはあまりにも違う子供の親の態度、それは里で”なんとか”盗み見た書物と呼ばれるもので読んだ、奴隷とゆうモノに対する、王の態度であった。


 あまりにも横暴で傲慢で不遜。


 そんな二人から産まれた子供は、親が用意した少ない世話係のような態度の人達にしか接して貰わなかったためか、里の者達からは他の子供達のようには接して貰えなかった。


 子供は幼いながら納得してしまう、いや。それは子供なりの諦めだったのかもしれない。


 里からは距離を置かれ、自分にしか興味がない二人の親は、一人の子供を見ない。


 そんな時、里の中でも、可愛がられる夫婦が、嫌われ者の二人の態度、そして正当な怒りによって、喧嘩になった、その喧嘩は里の者達の止めの言葉では到底止められず、ついには暴力へと突入した。


 止められない喧嘩は、里の者達にも被害を出し、それを悔いた可愛がられる夫婦は和解しようと、いやせめて互いに忘れようと言葉を投げた、しかし、その言葉の返答は可愛がられた夫婦の妻の死によって返答された。


 もう、止められなかった、怒り狂った残った男の手によって、それを成した二人の勘違い王は殺され、その過程によって負った傷によって男も死んだ。


 残ったのは可愛がられた夫婦の、親からしか理解されない程の才能をもつ子供と、勘違い王の嫌われ者夫婦の子供だけであった。


 それを不憫に思った里の長は言う、儂が引き取る、と。


 しかし周囲の目を一番理解出来たのは、里の長でも、目を向けていた者達でもなかった。

 一番理解できたのは、勘違い王の嫌われ者夫婦の子供であった。

 子供はその場から走り出した、習った事すらない筈の魔法を使い。


 誰もが唖然と対応が遅れる中、一人の子供が飛び出した、それはなんの因果か、残されたもう独りの子供であった。


 ただの体捌きで魔法に追い付く子供は、もう独りの子供の手を握り言った、もう独りの子供から拒絶の言葉が飛び出す前に。


 “ねぇ! ボクと一緒に独りになろう! 悲しくも肉親を失った哀れなボク達! 寄り添うには最適だよ!”


 あまりにもあっけらんと言う子供の顔は、その声とは裏腹に、物語っていた、独りにしないで。と


 子供は思う、この子を独りにしてしまった責任は自分だと。


 それは勘違いだった。

 しかし、その勘違いは責任とゆう重みによって、独りの子供をその場に留まらせた。


 それから一人と独りは、里の筈ら際に住み着いた、まるで傷を舐め会うように、二人だけで。


 里の者達は理解した、あの子達を二人きりにしてしまったのは、自分達だと、しかしなんと声を掛ければいいのか、分からなかった。


 この苦悩は、何年も続き、いつの間にか二人はひとりを拾い、三人になっていた。


 その時にも、里の者達は何も出来なかった、二人に手を差しのべられなかった自分達が、いまさらひとりに手を差しのべていいのか、あの二人からひとりを、考え考え、里の者達はひっそりとその三人を手助けをする事しか出来なかった。






 賢い一人の少女は言う、我に家族と口にする権利などないと。


 天才の独りの少女は言う、誰かを縛り続けるボクが家族などと、言える分けないだろう、と。


 幼いひとりの少女は言う、寂しいと、愛してると言って欲しいと、家族になりたいと、しかし異物の自分が願うにはあまりにも烏滸がましい願いだと。










 だからそれら一切を知らんの一言斬り伏せれる理不尽は言う。


───俺達の娘になれ。と


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