ひとりと一人と独り
俺達は揃って三人娘の家の前に来た、
「てか普通、里三周も追っかけまわすかなぁ…。」
「ノー、あれは逃げる旦那様が悪いのです」
「だってなんか怖かったんだよ、主に後ろの女性衆が。」
鬼の形相だったもんなぁ……。
「ふっ、そう言ってやるものではない、愛しの我がキミよ、奴らも色々あるのさ、……婚期とか婚期とか婚期とか、な。」
「全部婚期提供、てか気にする程か? みんな若いままだろ?」
そう、この里の人達はエルフの寿命と、獣人の頑丈さ、ドワーフの肝臓の強さ、などなど色んな種族の強み、いいところを総取りをしてるためか、自分で老けようと思わなければ死ぬまで若いままなのだ。
老けようと思って老けれるのは精霊種族とも言われるエルフの特性かな?
「それとこれとは別なのだよ、我がキミ。」
「イエス。親に婚期を心配される、周りが続々と番う、色々あるのですよ。」
「なるほどなぁ~、こりゃ迂闊に足を踏み入れたら怖そうだ。」
婚期、これは何処でもある話で容易く解決できることは稀な問題、少なくとも俺にはどうしようもないな。
「あと我らが煽った。」
「イエス。一人の辛さを一億年分を人間の認識に照らし合わせ二人で語って来ました。」
「元凶! 諸悪の元凶が身内にいた!!」
そんなやり取りをしていると、サラちゃんがドアを開け、飛び付いて来た。
それを抱き止める。
「お兄ちゃん! お姉さん! お帰りなのです!」
「…ん、あぁ。サラちゃん。」
「っ!待っててくださいね!? 今日はサラがご飯を作るのですよ!」
とたたた、と早走りで家に入るサラちゃん。
「ふむ、聞く気が、いや聞きたくない、か。」
「イエス。ですが仕方がありません、まだサラちゃんは10代、いえ、10代にもなってないのですから。」
「う、うーん、こうゆう経験は初めてでどう言葉から入ったらいいか、いまいち分からんなぁ。」
さて、どうしたものか。
「取りあえず入るか。」
「だな、あれこれ抜きにしてもサラちゃんの手料理は楽しみだからな。」
「イエス。ですね」
家の中に入る。
「あ! お兄さん! 」
「よ、キサラちゃん、いい筋肉してるな、ないすマッスル。」
「お兄さん……僕の事、取りあえず筋肉とか褒めとけばいいと思ってない? しかもなんか筋肉褒める時だけ妙に手慣れてる気がする。」
「…キサラちゃん、が、喜ばない、だと…?」
「脳筋扱いし過ぎだよ!?」
キサラちゃんは普通、かな?
「ご飯が出来ましたよー!」
「お、ありがとうサラちゃん、運ぶの手伝うよ。」
「イエス、小さな体で大量のご飯を運ぶ姿に愛らしさは覚えますが、無理はいけません。」
「折角の手料理が溢れてはもったいないから、ね?」
「えへへへ、ありがとうです!」
ご飯を運ぶのにミヨちゃんキサラちゃん、が加わり、運び終え、俺達は手を合わせ食事を始めた。
「うん! 美味しい!」
「えへへへ~!」
「イエス、上手になりましたね? サラちゃん。」
「ありがとう! チサネお姉さん! お姉さん達が教えてくれたおかげだよ!」
「ふふっ、サラ、君の努力の実りものでもあるさ。」
「えへへへ~」
「……おいしい。」
「うん! サラほんと美味しいよ!」
こう賑やかに食事の時間は過ぎていった。
さて。
「ミヨちゃん、キサラちゃん、サラちゃん。」
「あ、あ! サラお兄ちゃんに久しぶりに一緒にお風呂に入りたいです…!」
やめよ…っ、洗ってあげただけで一緒には入ってない!事実無根だっ!
て、ふざける場面じゃないか。
「サラちゃん。」
「あ、あ…えへ? す、少し待っててくだ、さいね? お茶碗を洗って、こないと。」
「…サラッ……!」
「み、ミヨねぇ……?」
「聞きなさい。」
「き、聞いてるよ……、サラ、ちゃんと聞いてるもん…」
「ね、ねぇ二人とも、落ち着こ? ぼ、ぼくこの雰囲気苦手かな~? なんて、あはは?」
ふぅ。
「サラちゃん、ありがとう、ここしばらくお世話になったね。二人も。」
「……っ」
「へへへ~、ぼくは何もしてないからなー?」
「……盟友は友達、……気にする必要はない。」
「ありがとう。この里でのやることが一通り終わったから俺達は一先ず帰ろうと思う。」
「イヤです。」
「サラ…!!!」
「イヤなのです。」
ナニかを叫ぼうとするサラちゃんの無意識に合わせ、俺は声を挟む
「やっ…!「それで相談なんだけど。ミヨちゃん、キサラちゃん、サラちゃん。」と…?」
安心させるように笑みを浮かべる。
「俺の養子、義理の娘にならないか?」
驚きで目を見開く三人に、俺は笑みを浮かべながら言った。




