里の初めての
あの後、気絶から戻った長のグローリーさんに、数人、人を紹介してもらった。
条件は手先が器用なことと力がある程度あること、そして魔法の属性が火と土に傾いている人。
理由は鍛冶をしてもらうため。
そう思考を纏め、集まってもらった五人を見る。
一人目は、半獣半精種のおじさん。すこしあざとい猫耳とムキムキの筋肉が特徴だ、名前はライネスさん。
二人目は、半獣半地種のおじいさん、おじいちゃんとゆう年齢には見えない人だ、見た目はショタかな?ムキムキだけど。ちなみに半地てのは、大地族と言われる、ラノベで言うドワーフの事だな。そのハーフだから”半地”な。名前はミスケルさん。
三人目は、半精半獣種のお姉さん、褐色肌の姉御と呼びたくなる人だな、名前はメイベルさん。
四人目は、半地半魔のおじさん、見た目は親方ァ!て呼びたくなる見た目なんだけど、酒が好きな魔法の先生みたい。似合わないよね~? て笑ったキサラちゃんに拳骨が下ろされた、今のはキサラちゃんが悪い。名前はラプシスさん。
五人目は、半精半地の無口な少女、思い浮かべる時に無口が先にくるくらい無口、ほんと喋んない、だけど一番、鍛冶の才能がある。名前はソーラちゃん。
この五人が鍛冶を覚えたいと立候補してくれた五人。
「よろしくお願いいたしますね。」
「ああ、こっちこそよろしくな、商人のあんちゃん。」
「ああ無知で手間をかけてしまうけど、どうか頼むよ。」
ライネスさんとメイベルさんが率先して挨拶を返してくれる。
それに続き、ミスケルさんとラプシスさんが後ろから歩いて挨拶してくれる。
「しっかし、お兄さんって一応商人? なんだよね? 商人てそんな万能職なの? イテェ!?」
「やめろ気色悪いおまえ、俺と同い年だろミスケル。」
「好き好んで歳食ってる変わりもんと一緒にしないでよね!? てかタンコブ出来てない!? この自称魔法先生マジで職業詐欺だよ!! イタイ!!」
年齢が同世代てことに訂正を入れない辺り、年齢はほんとに一緒なんだろうな。てかミスケルさんが歳とってないように見えるのは土精とも言われる由縁の血かな?
「ふふっ、仲がよろしいのですね?」
「何処がッ!?」
「まぁ、長い付き合いだしな。」
「ふふ、それはそれは、さて、このままやり取りを見ているのもいいですけど、それはまたの機会にしましょうか。」
俺がそう言えば、どこか緩んでいた空気から、絞め過ぎず、そして緩め過ぎずの空気に変わり、五人の目がこちらを見据える。
「皆さんには、事前に聞いていた通り、この里の鍛冶をしてもらいます。質問は。」
俺がそう聞けばミスケルさんが初めに手を上げた、ふふ、そんな教師に質問するんじゃないんだから口で言ってくれればいいものを。
「鍛冶をする設備がうちの里にはない、そしてその設備を作る知識も材料もだ。そこんところはどうするつもりかな?」
「簡単です、私が魔法で創りましょう、見ていて知っているでしょう?」
「……すまないね、全てを任せるのに、自分達では言い辛いから君から言って貰うように誘導した、すまない。質問は僕からはもうない。」
「ええ、構いませんよ。」
獣人は誇り高く、嘘を嫌うと聞く、その血を継いでいるミスケルさんには、こう言う役割は向いてないね、いやこの里の人全員が向いてないか、でも何時かはその役割も必要となる、これもどうにかしなきゃな。
「私からもいいかな、商人様。」
次はメイベルさんからの質問だ。
「ええ、どうぞ。」
「私達、素人が本当に刀剣類を作れるようになるのかい? 自慢じゃないが知識もない私達だよ?」
「それに関しては断言しましょう、あなた達が交渉していた帝国の鍛冶屋より上質で強いモノを作れるようになるでしょう、すぐにね。」
「商人様ほどの人が断言するなら、そうなんだろうね。」
メイベルさんは俺から、その言葉が聞きたかったのだろう、納得した顔で、メイベルさんは一歩下がった。
これで皆が帝国のモノより上質で強いモノを作れるようにならなきゃ、俺は嘘つきとなるわけだ、そうなれば俺の信用はなきモノとなるだろう、俺に引っ付いて回る三人からの信用も。
ふふっ、メイベルさんは意外と強かみたいだ。
「………」
「おや。」
これは意外な子からの質問だ、無表情無口の少女が手を上げている。
「ではソーラさん。」
「…………。」
「………?」
「…………神様、の役に立つ?」
か、神様……?
「う、うん? この里の人…てか神様?」
あ、もしかしてここのダンジョンコアのあの女神像の事かな?
だとしたら、多分、子供の成長だって言って喜ぶんじゃないかな?
「うん、多分喜ぶよ。」
「……………そう。」
「これで質問はないですか?」
五人を見渡すけど、無さそう。
「よし、なら始めましょう。」
俺は指を鳴らし、鍛冶の出来る場所を作り上げた、智核から聞いた、異世界の最新鍛冶設備を、俺と明華と創楽で魔改造した設備を。
驚く五人を尻目に中に入り俺は言う。
「行きましょう、皆さん。」
言葉を失う五人に笑みを浮かべそう言った。




