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斜め上の竜騎士  作者: ぴっぴ
第1章 竜騎士候補生
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第4話 サバイバル訓練

「ワハハハ~!! 寒い! 寒いぞ~! これは絶好の鍋日和! 最高の一日に成りそうだぁ~!」


「ウルセ~!! 毎朝、毎朝! 大声出すんじゃね~!!」


「おっと失礼、今日は絶好の鍋日和なので、多少興奮してしまった様だ」


 男子寮恒例のシュガーによる起床の挨拶である、今回の候補生はシュガーの朝の吠え声のお陰で遅刻ゼロと言う輝かしい記録を打ち立てていた。


 戦闘教官を蹴り飛ばし、医務室送りにしたせいで今回の候補生の授業は大幅に変更された。戦闘訓練を行う教官のなり手が居なかったのだ。そこで仕方なく戦闘訓練では無い訓練が急遽行われる事になった、それは一般にはサバイバル訓練と言われるものだった。


 そしてサバイバル訓練に連れてこられた候補生達、ここはサバイバル訓練に使用する森、比較的安全であまり魔物が出ない所だった。


「さて、君達は今日からサバイバル訓練に入って貰う。今回は始めてのサバイバル訓練なので非常に簡単な訓練だ、君達5人が協力してこの森の中で1週間生き抜くだけの単純な訓練だ」


「「「「「はい、教官」」」」」」


 今回はサバイバル訓練の初回なので、非常に楽な訓練だった。まず5人で強力して生活できる、そして森と言う資源が沢山ある環境、そしてただ生きてれば良いという簡単な課題。初期の訓練なので非常に簡単な事だった。


「え~、全然簡単そうじゃないんですけど~」

「ナイフ1本でどうやって1週間暮らすんだ?」


「これでもマシな方だってさ、最終試験なんかは、一人で100キロ先まで移動しながらのサバイバル訓練とかも有るらしいぞ」

「絶対無理だよね、その試験」


 今回の訓練は竜騎士が戦場ではぐれて、生き延びる事を目的とした訓練なのだ。何も知らない未経験者では飢え死にする様な環境でも竜騎士は生き延びなければ成らない、帝国全土で100名しか居ない竜騎士は勝手に死ぬことは許されないのだった。


「ハハハハ、最高~! キャンプをしてる様で楽しいな! こんなので給料貰えるとか最高だぜ」


「何一人で喜んでるのよ! あなたMじゃないの」


「失礼な、僕はシュガーだからSに決まってるじゃないか」


「・・・・・・まあ良いや、シュガーはサバイバルに自信が有る様だな。指揮を執れるか?」


「指揮? 指揮なら貴族のミラーか騎士団長の長男のジョナサンが良いんじゃないのか」


「「僕らには無理だ、サバイバルをした事が無い、精々キャンプ程度しか出来ないな」」


 普通の兵士なら貴族の生まれや、偉い親の威光を傘に来て高飛車に振舞う所ろなのだが、彼等竜騎士候補生は非常に聡明で質が高かった。見栄を張るより訓練の成功を見据えて一番成功する可能性の高いシュガーに賭けたのだ、まあ成功するかどうかはやってみないと分からないのだが。


「そうか、じゃあ僕がやろうじゃないか。僕はサバイバルが得意なんだよ、水と空気が有れば生きて行けると思うんだ」


 いきなり人里離れた森の中に放置された竜騎士候補生達、彼等はまだサバイバルテクニックを習っていなかったのだ。本来なら1年生の終わりの時期にする訓練だったはずなのに、何故か無茶な時期に無茶な訓練をする事になって途方にくれていたのだった。だが何時もは問題児のシュガーにはサバイバルの経験が有る様で、一人だけ何故か途方もなく元気だった。


「良し! それでは家を造ろう、皆で木を切れば直ぐに出来るよ」


「え~、先ず水と食料だろ。寝るのはそこら辺に寝れば良いだろ」


「ふふふ、甘い! 地面に寝ると虫に刺されたり、体温を奪われたりして大変な事になるんだ。次の日からの活動に支障が出るんだ、だから先ずは十分な睡眠が取れる家を造る事をお薦めするよ」


「お~、シュガーにしては何だか説得力が有るな」


「ふふふ、経験済みだからね。因みに森の中で食べ物を見つけるのも得意なのさ」


「お前さん一体どんな生活して来たんだ?」


「クククク・・・・・・普通の人生さ」


「「「「絶対嘘だよな!」」」」


 それから5人の候補生はシュガーをリーダーとして活動していった。4人が切った木をシュガーが器用に組み合わせ、何やら家らしき物を造り。それから4人に薪拾いの指示を出したと思ったら、一人で森の中に入り込み食料の調達を始めたのだ。


「君達は焚き火を頼む、たまに湿った木をくべて煙を出してくれ。煙が無いと帰ってこれないからね」


「一人で大丈夫なのか? シュガー」


「一人の方が移動が早くて楽なんだよ、じゃあ行ってくる。君達はここを離れないでね、森の中で迷子になると見つけるのが大変だからね」


 シュガーはそう言うと音もなく森の中に入っていった。候補生達が森の中を移動するとガサガサ煩いのだが、シュガーは無音で動ける様だった。


「なんだ彼奴、凄すぎるだろ。無音だぜ」


「教官より早くて静かだよな」


「一体何者なんだろうな?」


「森の中に住んでたんじゃ無いの? 手際が良すぎるもの」


「「「それだ!」」」


 そして1時間程すると、シュガーは蔦で編んだ入れ物に木ノ実や魚等を獲って来た。そして焚き火を使って料理を始めたのである。


「魚が焼けたよ~、塩掛けて食べてね」


「シュガーは塩とか持ってきてたのか、用意が良いな」

「食える木ノ実や茸なんて良く分かるな」


「サバイバルなら任せてよ、僕なら100年くらい森の中で頑張れるよ」


 こうして竜騎士候補生の初めてのサバイバル訓練は失敗に終わった、彼等はシュガーの集めてくる食料を食べて昼寝するだけの生活を1週間続けただけだったのだ。そして1週間で見事に太って自堕落に成ってしまったのだった。

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