【第6話:牙を隠した猛獣の咆哮】
第6話にお越しいただき、ありがとうございます!
現場を無視し、「書類上の数字」だけで人間を品定めする冷徹な本社の上層部。
そんな巨大な組織の壁に直面し、全否定されてしまった後白くん。
絶体絶命のそのとき、静かに牙を隠していたあの窓際のシニアが、ついにその圧倒的な牙を剥きます!
「組織で戦うとはどういうことか」を教えてくれる、シニアの魂の咆哮をぜひ見届けてください!
シニアの先輩の言葉は、恐ろしいほどの的中率で現実となった。
営業所全体の数字と空気は爆上げしているにもかかわらず、現場の実態を全く見ず、「書類上の数字」と「マニュアル」しか見ない本社の上層部から、突然の呼び出しを喰らったのだ。
本社の役員たちがズラリと並ぶ、息の詰まるような査定会議室。
プロジェクターには私の個人の数字が映し出されている。周りのサポートやパス回しに徹していたため、私個人の「直接の契約本数」は、マニュアル通りに動いている全国の社員と比べて、少し物足りないように見えた。
「君のやっている『おもてなしパス回し』だか何だか知らないがね」
中央に座る役員が、冷酷なロジックで私を値踏みする。
「そんなスタンドプレーは巨大組織のルールを乱すだけだ。書類上の数字がすべてなんだよ。本当に真面目に仕事をしているのかね? 君のような人間は、我が社のキャリアレールには必要ない」
全否定。営業所の仲間たちが悔しさに唇を噛むが、本社の圧倒的な権力を前に誰も声を上げられない。私自身も「これが大企業の壁か……」と諦めかけ、視線を落とした。
その時だった。
椅子の引く重々しい音が、静まり返った会議室に響き渡った。
部屋のいちばん隅で、死んだように座っていたあのシニアの先輩が、静かに立ち上がったのだ。
その瞬間、会議室の空気が張り詰め、本社の役員たちの顔色が明らかに変わった。
シニアの先輩の目は、完全に、かつて「伝説の営業」と呼ばれた頃の圧倒的な猛獣の輝きを取り戻していた。
「相変わらず、上からしかモノを見られない哀れな節穴共だ」
役員たちが色めき立つ。「な、なんだと! 窓際のお前が何を――」
シニアの先輩はそれを手で制し、役員たちを正面から見据えて、腹の底から響く声で言い放った。
「今、俺が指導しているこいつはな、俺の言うことをちゃんと一つ一つ、忠実に実施しているんだよ。そのやり方の結果が今、お前たちの言う『書類上の数字』に出ていないのだとしたら、それは指導している俺の責任だ。文句があるなら、今すぐ俺を降格させればいい」
会議室が息をのんだ。私が驚いて先輩を見つめると、先輩はさらに言葉を鋭く尖らせた。
「だがな、これからしっかり見ておいてほしい。こいつがこれから叩き出す本物の成果をな。お前たちの得意な『今月の数字』みたいな短期的な視野でこいつを測るな。こいつはこれから化ける、絶対に伸びる。俺はそれを確信している」
本社の上層部たちは、シニアの圧倒的な眼力と迫力に完全に圧され、ぐうの音も出ずに黙り込むしかなかった。
【ビジネス・自己啓発解説パート】
今日のゴジラ・ハック:【「短期の数字」で人を殺す組織、「未来の可能性」を育てるリーダー】
近年のビジネス現場で最も有害なのは、「今月のKPI」や「目先の数字」だけで人間の価値を測り、挑戦の芽を摘んでしまう短期的な評価主義です。これに縛られると、誰も新しい挑戦をしなくなり、組織はゆっくりと死んでいきます。
今回のシニア社員が見せたのは、真のリーダーによる「盾のマネジメント」です。
1. 責任の引き受け:「結果が出ないのは俺の責任」と、メンバーの恐怖を取り除く。
2. 未来の確信:「こいつは伸びる」と周囲に宣言することで、メンバーに強烈なコミットメント(当事者意識)を植え付ける。
飼育員からの超重要アドバイス
なぜシニアが本社の上層部にそこまで強く言えたのか。実は本社の上層部は、かつてシニアと共に現場で汗を流した同僚であり、シニアが手取り足取り育てた教え子(昔の馴染み)だったのです。
同じ熱量を持っていた仲間たちが、「資本主義の奴隷」となり、考えの相違からそれぞれの道を進んでいった昔の因果。その哀しみと怒りがあるからこその、魂の咆哮でした。
明日使えるアクションプラン
もしあなたが今、職場で短期的な数字に追われてくすぶっているなら、焦る必要はありません。あなたの挑戦を見てくれている人は必ずいます。そしてあなたが人の上に立った時は、このシニアのように「こいつの未来を俺が保証する」と言える圧倒的な器を持って、部下の盾になってあげてください。
(第6話・完)
第6話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
本社上層部を「節穴共」と一喝し、後白くんの盾となったシニアの先輩。かつて同僚や教え子だった上層部が「資本主義の奴隷」と化してしまった悲しい因果が明かされる、屈指の熱いエピソードです。
しかし、盾となってすべての泥をかぶったシニアの先輩には、当然、本社からの非情な処分が下されてしまいます。
その処分を前に、シニアが語る「本物の勝利」とは?
「シニアかっこよすぎて震えた!」「こんな先輩に出会いたかった!」という方は、ぜひ【ブックマーク登録】や【評価(★マーク)】で応援をよろしくお願いいたします!
次回、第7話「最後の弾丸」をお楽しみに!




