Ninth-3
全部俺が悪いんだ、と言いたげな口調に、私はキュッと唇を結んだ。
「俺、やっぱり未音の傍にいない方が──」
「冬哉!!」
私は、最後まで言わせまいと声を上げた。
私の声に驚いた冬哉は、目を丸くして私を見た。
「私、冬哉のこと好き…!」
「は…?」
信じられないという目で見つめる冬哉なんかお構いなしに、私は店の裏路地で叫ぶ。
「冬哉のこと、大好き…!
会ってなかったこの数日間、ずっと冬哉のこと考えてた…!
冬哉がいないと寂しくて、心細くて、毎日が楽しくなかった…!」
想いを伝えるのは恥ずかしいけど、それよりも、冬哉が離れてしまうほうが嫌だ。
「私は、ずっと冬哉の傍にいたい…!
傍にいて欲しいの…!」
茜よりも、桃よりも。
たぶん、お母さんよりも。
誰よりも傍にいて欲しい。
大切な、大好きな人だから。
「だから…っ」
傍にいない方がいいなんて、言わないで。
「未音…」
「…っ」
先ほどよりか少し上擦ったような声に、優しく抱きしめられる。
「未音…。俺も未音が、大好き。
好きすぎて死にそうなくらい」
「え」
死にそうなくらい…?
「離れたくない。未音の隣にいたいんだ」
「…うん」
「ずっと。ずっと、一緒にいような…」
「うん。もちろん…」
冬哉を見上げると、赤く、今までに見たことのない笑顔で、私を見つめていた。
〜〜〜〜〜〜〜
まだまだ、迷うことの多いこの道。
辛いこともたくさんあるけど、
「いらっしゃいませー!」
茜や桃、バイト仲間や店長、お母さん。
そして、冬哉。
みんながいるから、私は頑張れる。
「ご注文は何になさいますか?」
「コーヒーで」
『Dear Heart』、今日も大繁盛です!
──END──




