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2 異国から来た少女

『バーリック』……彼らのことを、『ゾンビ』と呼ぶ世界もあるそうだ。


現代社会では、いたるところにバーリックは存在する。

事の始まりは、とある製薬会社の実験。

意志のない労働力として、人工的に生み出した生ける屍。

そのために開発された薬物。

それは、死体を蘇生させる代物だった。


だが人の道をはずれた行為は予想通りの結果を招く。

制御できないバーリックが登場した。

もと人間。今では口からよだれを垂らし、言葉にならないうめき声をもらしている。

知性もなく感情もない。

そんな生き物が突如として街に現れ、破壊行為の限りを尽くす。

製薬会社は担当者の暴挙として処分し、陳謝した。

こうして、バーリック研究は幕を閉じることとなる。


あの少女達は、バーリック処理部隊。

製薬会社の制御の枠から外れたバーリックを、人知れず処分する。






「っつ、痛い! ちょっと! ゴメンナサイは?」

走り去る男の後姿に向かって、アナベルが叫んだ。

が、男はそのまま走り去ってしまった。

思わず舌打ちが出る。

相手はかなり怯えた表情をしていたが、

彼女のことを怖がっていたわけではないみたいだ。


近くのビルの大きな窓ガラスに自分の姿が映りこんでいる。

アメリカから着いたばかりのわりには、疲れも見えずイイ感じ。

ブルーグレーの瞳に合わせたサックスブルーのシャツ。

スウェードのミニスカートから、伸びる長い脚にはピッタリと貼り付くブーツ。

帽子の下の小麦色のウェーブヘアはサイドで結んで、

淡いピンク色のリップをつけた。

かっこよさ90%に可愛らしさ10%の割合、それが今日のファッションのポイント。


さっきの男と同じ方向からまた人が走ってきた。

あっちに行けば会えるかも知れない……あの()たちに。

アナベルは人の流れに逆らって歩み出した。


オフィス街の目抜き通りで、その騒ぎは起こっていた。

お目当ての少女たちはすぐ目の前にいる。

それぞれが、武器を手にして。


「あぁあ、ぬるい動きしてんな。

後ろ後ろ……って、ここで言っても聞こえないか」

アナベルは近くのビルの2階から、戦闘の一部始終を見守っていた。


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