14-1 茶道で淫乱
【14話/B面】Aパート
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【14話】より新入部員が1人加わります。加入のいきさつは【A面/11話】を御覧ください。
■天摘 葉月:地元空手道場の箱入り娘。部活に参加することで少しづつ自我・自立心が芽生えていきます。
ここは校舎の東側2階。
放課後に入ってしばらくして静那が部屋に入ってくる。
「こんにちは!」
ただ だいたい一番乗りではない。
先に来ている“ある人間”が隅っこの方でマンガを読んでいる。
静那は漫画を呼んでいる人間、生一の元へまず駆け寄る。
「こんにちは、ボス。」
「え~、読み始めようと思ったのにお前 間が悪いな~」
「まぁそれなら一緒に空気を入れて換気でもしましょう。」
なんだかんだめんどくさがりながらも生一は一緒に窓を開けてくれた。
そこへ突然顧問の三枝先生が入ってきた。
今日の茶道教室の時間確認だ。
「まだ来てるの2人だけ?
みんな集まったら部屋に来てね。静那さん!待ってるから。」
そう言って先生はすぐに部室を出ていった。
「あ、はいっ」去り際に遅れて静那が返事をする。
「(おぉおおォ…ヤベー、漫画読んでたら見つかってたわ。換気してて助かった~)」
「おい、静那。」
「はい?ボス。」
「さっきの“間が悪い”って言ったの、撤回するわ。」
「褒めてくれてもええんやで。」
「調子にのんな!」
* * * * *
「これで全員かな。西山君も今日は参加しても大丈夫?」
「はい、そうですね。」
「あの…私も来て、良かったのかな。」
「勿論大丈夫よ天摘さん。」
新入部員である2年の天摘さんを入れて9名が茶道室に集った。
今日は1日体験茶道教室の日である。
茶道室は学校の渡り廊下を伝って位置する“西棟”
茶室として使っている室内は決して広くはないが、9名はある程度のスペースを取って正座した。
「静那さん。これは何と読むか分かる」
三枝先生が『抹茶の点て方』と書かれた部分を指さす。
「これは…まっちゃのてんてほう…ですか?」
「まだ漢字の音訓が分かってないね。大丈夫よ、これから覚えていってくれて。
これはね、“たてかた”と読みます。
さっそく抹茶を点てていきますからよく見ていてくださいね。」
三枝先生は丁寧な手つきでお茶を点てる。
非常に手慣れた感じだ。
その姿に静那だけでなく勇一達も見入っていた。
…
……
…しかしすぐに音を上げる情けない声…
「先生…足がしびれてきて…足くずしても構いませんか?」
静那の両サイドに陣取っている小谷野と兼元である。
「まだ5分くらいでしょ。それでも日本人ですか?静那さんを見てみなさい。」
視線を落として静那に目をやる2人。
しっかりと正座して先生の点てるお茶を…“お点前”を見ている。
しかし口元がやや歪んでいるように見える。
「静那ちゃん…もしかして。」
小谷野が静那の後ろ脚をツンとつついた。
「ひぁっ!あぁ、先生すいません。声を出してしまいまして…。」
「静那さん、気を付けて下さいね。抹茶の点てかたの手順を見せていますからここは集中して。」
注意を受ける静那。
きまり悪い顔をした。
兼元が小声で小谷野にささやく。
「お前今ので嫁に対する印象が2ポイント落ちたで。バーカ。」
小谷野も小声でささやく。
「うるせえよ。しびれた足触って反応見たくなるん、人間のサガやん。」
「小谷野君!」
「は、はいっ。」
「お茶を点てている最中は私語をせず黙って見ておきなさい。」
「はい。すいません。」
コンパクトながら怒られた。
水を入れた抹茶を茶せんで練り、その後抹茶碗にお湯を注いでいく。
「この手順なら、初心者でもきれいに抹茶を点てることができます。
そしてここで素早く泡点てる。」
先生は茶せんを使い、手首を絶妙に使いながらかき混ぜていく。これを“泡点てる”というのだろう。
「皆もやってみなさい。
正客にいる小谷野君。末客にいる仁科さんのをかきまぜてあげてみて。手首を上手く使ってね。
天摘さんは椎原さんがやっているのを見ながら。」
「あの…なんだか“仁科さんのをかきまぜる”とかいうの…卑猥に感じません?」
いきなりとんでもない質問が茶室内でかまされた。
「卑猥なんはあんたの頭の中でしょ。バカ言わないでさっさとする!」
三枝先生も動じずに返答をする。
「泡点て方のコツとしては…お椀の底の方をかき混ぜるというよりは上の方をかき混ぜていく感じね。できる?」
「底よりも上の方をかき混ぜるか………エッチだ。」
「あんたバカじゃない!先生、もうこいつ放り出しましょう。構いません?」
「…仁科さん。茶室で大声を出すのはご法度です。お静かに。」
「やーい怒られてやんの。お静かに~。」
「小谷野君もこれ以上言うようなら後で職員室前に立ってもらいますからね。」
「あっハイ。すいません。」
静かに怒っている三枝先生に対し、一番近い席“正客”に座っている小谷野は縮こまった。
「調子に乗るからや。ざまぁお味噌汁~!」
「藤宮君!」
「はいっ!」
「あなたも次また言ったら職員室に立たせるから。」
「す…すいません。」
「ひっ!あっ…先生すいません。また声が出て。」
痺れた足に電気が走ったようで、静那が顔をひきつらせて謝った。
「兼元君!」
「はいっ!」
「君も職員室の前で立ちたいの?」
「いっ……いいえ、すいません。」
* * * * *
「お点前頂戴いたします」
今回の亭主である三枝先生の点てたお茶をいただく9名。
「結構なお点前で」
「そうね、見てなさい。頂いた後は椎原さんの様な対応をするのよ。茶碗を先ほど回した逆に回して、置いて終了。
椎原さん。皆の作法も見てあげて。」
各々が茶道経験者である椎原さんのマネをする。
三枝先生はその様子を見ながら補足を入れる。
「あと飲み終わったら、右手の親指と人さし指を使って口元を拭く。手はそこの“お懐紙”で拭く事。これは作法という程でもないけれど上品な嗜みの一つとして知っておけばいいからね。」
各々が懐紙で拭いている最中、何を思ったか兼元が小声で静那にお願いする。
「静那ちゃん。いま手を拭いたその懐紙、ちょうだい。」
「うん、いいけど何に使うの?」
「いや特にどうとか言うんじゃなくて……その…僕が捨てておいてあげようかと。」
その時、サッと静那の使った懐紙を上から取りあげ、即ゴミ箱に放り込んだ仁科さん。
「静ちゃん。丁度通りかかったからこの懐紙、私が捨てとくね。」
「おい!お前、末客おったやろ。何静那ちゃんの元に近寄ってんだよ。」
「うるさいな。あんたに使用済みの懐紙渡したら何に使うか考えるだけでおぞましいわ!」
「勝手な想像せんといてくれません?使い終わったら捨てるつもりやったし。」
「だから“使い終わったら”って何に使うつもりよ!このド変態!さっきから最低!」
「仁科さん…」
背中におぞましい“気”を感じた。
「私語を慎むように言いましたよね。終わったら職員室に来なさい!」
「仁科さんってあんなキャラだったか?」
唖然としながら小声で勇一に話しかける西山だった。
『B面』では、勇一達が立ち上げた部活「日本文化交流研究部」での日常トークを描いています。時々課外活動で外出もします。
各話完結ですので、お気軽にお楽しみください。
尚、本編のストーリーとB面の話数は所々リンクしています。こちらを読んでから本編を読み進めていくとより楽しめます。
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