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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season1【A面】
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9-1 日本人ってややこしい?

【9話】Aパート

ここは勇一のクラス。


友人である西山という男子生徒との会話である。



「じゃあこの3名。あと先生の推薦で今日やってくる1名の計4人でひとまず部活を立ち上げるってことだね。」


「うん。でも西山には言伝だけで大丈夫か?書類は三枝に渡すけど。」



「ああ、登録しておくよ。

ちなみにこの、メンバーの“藤宮生一”ってクラス7にいるあいつ?

…あんな一匹狼みたいな奴、よく部活に加わってくれたよな。静那さんの事が気に入ったとか?」


「いや~なんか逆におだてられて気分良くしてたからノリだろ…。あとは内申点狙いらしい。」


「あいつサボりの天才だからな~クラスが違うからあまり面識無いけど、それだけは知ってる。」



勇一のクラスメイトに生徒会のメンバーが居たので、申請の話が早かった。


生徒会をしている西山。西山憲治だ。



「そういや今日来る1名って誰?勇一の知ってる子?」


「いや、まだ先生から詳しく聞いてないけど、なんかその子“帰国子女”らしいぞ。」



「帰国…子女って、うちの学校だと一人だけしかいないやん。

勇一知らなかったのかよ?

クラス10の椎原さん。

知っとけよ!…っていうか椎原さん勇一のところ行くんだ…」



なんだか残念そうな顔をする西山。“勇一のところ”なんて変な言い方だ。


「なんか知ってるの?椎原さんについて。」


「いやさ…帰国子女で身長も俺たちより高くてずっと大人びてて…まあさ…気になってた。」


「気になってた?…もしかして好きだったり…」


少し怖気づく西山。


「いや~さすがに俺身長160cmくらいしかないからさ…椎原さん高1で既に170cm近くあったし、まず見た目が釣り合わないよ。」


「生徒会長様とあろうものが身長差にビビッて何をおっしゃる。そんなんじゃまだ告白してもないんだろ。」



「まぁ…クラスも違うからホラ…なんとかしたいと思ってはいたさ…それで1年の時“生徒会に入りませんか?”って誘った…」


「誘って…その後は?」


「それで椎原さんは生徒会には入らなかった…で…終わり。」



「えーそれだけか。そんなの告白の内にも入らないじゃん。

諦めたらそこで試合終了だぞ。スラムダンクの漫画にあった名言!あれ凄い印象に残ってるからな~」



「実際にバスケ部、僕らが1年の時入部希望者増えたよな~。でも今年に入って半分は辞めたけど。

…はは…は。まあクラスも違うしちょっと厳しいかな…殆ど出会わないだろ。」



普段人にあまり関心を持たない勇一。


でも、どんなに鈍い人間でもこれには閃かずにいられない!



なにを閃いたかって?



その椎原さんとやらが4人目の入部希望者確定なら、5人目に西山を勧誘すれば良いってこと。


そうすれば、部活としても西山としても…何より静那にとってもメリットだらけになる。


昔から言われる言葉“三方よし”ってやつだ。



そうなると部員は5名。


部活登録の8名まであと3人だ。



想像はそこそこに、西山に懇願する。


「なぁ、まだ椎原さんに気があるんならさ、うちの部活に入らないか?

俺はもちろんお前のお膳立てするし、あの新入生・静那さんもメンバー増えたら喜ぶだろう。


西山うちのクラスで成績トップじゃん。

日本の事を静那さんに詳しく教えてあげたら椎原さんからの株、アップさせられるんじゃないか?

今部活動としての登録まで考えてるし、良いことづくめだろ。」



意図は分かる…だが少し神妙な顔になってから西山は話した。


「う~ん。さすがに生徒会との掛け持ちは厳しいよ。新入生の歓迎会が終わったら早速校内選挙の準備が始まるしさ。」



「じゃあ椎原さんの事は諦めるのかよ?クラスがある校舎も違うから同じ部活繋がりとか共通の話題が無いと会いづらいぞ~。

椎原さん長身だけど、全日本女子バレーのあの人に似てて美人じゃん。彼女を狙う男どもは待っててくれんぞ。」



勇一にしてはなかなか意地悪な言い方である。


初めはかたくなに“それはさすがに無理だろう”という姿勢だったが、少し思いとどまったようだ。


「うん……じゃあ、校内選挙までの間はとりあえずサポートとして入るよ。」



人を勧誘なんてしたことが無い勇一だが、意外にも初めての勧誘活動は成功した。


流石に高校生。


真面目そうに見えても意中の異性の魅力には抗えないだろう。


もちろん部員追加で嬉しそうな表情を浮かべる静那の顔も思い浮かんだ。




* * * * *




昼休み、勇一は大体西山や他のクラスメイトと学食を共にする。


その学食室に、静那は…来ていないようだ。


まぁ髪の色が違う…。居たらいたで目立つのは不可避だ。


そういうのもあり色々動きづらいだろう。




静那はというと……


昔の習性なのか癖なのか、お昼休みはいつも屋上で一人過ごしていた頃を思い出し、この高校も屋上があるという事で上がってみた。


屋上はカギが掛けられているので、通常時は入れない。


しかし横窓が換気の為空いていたので、身軽にその窓から外に出ることが出来た。




誰も居ない空間。



気持ちの良い風。



小学生の時は寂しかったけど、屋上だけはなんとなく落ち着くというか風が心地よかった。


空があるだけで解放感があった。



だから雨の日以外はお昼休み、ここで読書をしようか…と感じていた静那。



早速図書館で借りてきた本・日本人の伝記『与謝野晶子』を取り出し、読み進めようとする。


すると…ふと気配を感じた。


どうやって屋上入りしたのかは分からないが、先客が居たのだ。



「おい、お前どやってここへ入った?」


屋上入り口の右側の壁にもたれて昼寝をしていた男性に気づく。


生一だ。


「き…あ、ボ…ボス。ボスじゃないですか!こんにちは。」


「おう。ってかお前らはなんで俺の“憩いの場(自称)”をピンポイントで見つけ出して入ってくんのよ。」


「すいません、ボス。私、ごはん食べるお金もないので、屋上にでも避難してようと…」


「ごはん食う金ないん?」


「いえ、無いというわけじゃないんですけど…4月は思いのほか他の出費が多くて…仕送りだけじゃあちょっと…」


「なら勇一に言えよ。あいつ多分頼られるん好きみたいやし助けてくれるって。勇一に言えよ」


「ええー。でも悪いですよ。」


「あいつ頼られたいねん。今まで誰かに頼られた事なかったんかどうか分らんけど、頼られたら多分喜ぶから。」


「ホントですか?」


「おう。まぁ試してみろって。今日の放課後も部室行くんやろ?」


「そう…ですけど。」


「じゃあ今日はひもじいかも知れんけど決まりな。

まぁ屋上は俺のテリトリーやけどゆっくりしていきや。」



いつの間にこの人のテリトリーになったのかという疑問も沸く静那だが、あえて突っ込まない。



「はい。私、なんか屋上って好きです。風が気持ちいいですもんね。ボスのそこ日陰になってて気持ちよさそうだし。」


「ここは俺の昼寝スポットやからな。でも屋上に通う女見たことないぞ。お前ん国って屋上が人気なん?」



「いえ、その…高校生になるまではあんまり友達と…うまくやれなかったから…いつも屋上に一人逃げてました。」



「そうか……まぁ逃げ場としてはアリやったかもしれんけど。でももうこの高校では無理に屋上いかんでもいいんと違う?」


「読書するには良いですよ。ホラ。」


持ってきた伝記を見せる。


「おぉ、なかなかマニアックなん読んでるな~まあ日本の文化を学びたい?言うてたしな。

その気持ちは悪い気せんかったで。

何か教えてほしい言うんだったら教えるし。

俺ん知識もなかなかマニアックやけど、多分何らかの人生の糧にはなるで。」



「本当ですか?流石ボス!」


「まぁな…とりあえず俺は寝るから。

好きに本読んでたらいいよ。んでチャイム鳴る前に起こしてくれたら助かる。」


「はい。じゃあそうします。」



生一はそのまま向こう向いて横になった。


静那は日陰の所に座り、本を広げ読書を始める。



まだまだ読解に時間がかかる静那だが、この高校生のうちにできるだけ色んな著名な日本人を知っておきたいと感じていた。


お勧めの名著は三枝先生が逐一教えてくれる。




少しして生一がつぶやいた。


まだ寝てなかったようだ。


「あんな。日本もええ所ばっかりじゃないからな。悪い部分も知ることが大事やし、悪い大人もちゃんといてるからな。」


間髪入れずに返答する


「奇遇ですね。私も同じこと感じてます。」



その後、ここ屋上で2人は時々たわいもない会話を交わすようになる。

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