プロローグ
「やった。やっとできた…」
まだ、見た目16歳であろう少年は普通の高校生なら学校にいるであろう時間、午後12時に一言、声を上げた。よく見ると少年は冬だからだろうか1枚の毛布をかけていた。
そして部屋の周りはその毛布以外には、少年が使っているパソコンとベットがあるだけで普通の部屋であった。しかし、この少年は引きこもりである。ただ、世に言うニートとは違い彼は買い物のために外に出歩くし、食事も自分で作ったりもする。バイトだってしている。
プチ引きこもりもしくは、引きこもり症候群である…多分
なぜかというと親がどちらも仕事で海外にいるから、とかではなく親から仕送りをもらって1人でアパートに住んでいるだけの話である。
そして親は、この少年が引きこもりである事を知らない。
どんな親だって手塩にかけて育てた子どもが引きこもりであったら卒倒するであろう
そんな彼が今やっていたのは、
オンラインゲーム「different-dimension world」通称 異世界、VRMMOが出回っているこの時代にしては、珍しいパソコンでやるオンラインゲームだ。
なぜ、このゲームが人気なのかというと魔装システムというものがあるからである。
魔装システムとは、このゲームの中での職、剣士、ナイト、アサシン、ガンナー、プリースト、魔法使い
などがあり、その一つ一つの職が枝分かれしていくのである。
簡単に言うと、剣士は狂戦士や修羅などになっていく。
その中で魔装とはこのゲームでのレベル350になった時に初めて出てくる職業である。
ただ、このゲームの上限レベルは300(+50)である。
つまりカンストして初めて出てくる職であるためこれを最初聞いたプレーヤーたちの半数は辞めていってしまった。
しかし、裏を返せば半数は残ったのである。
それはなぜかというと、NPCの多種多様な発言だった。NPCとはほとんど決められたセリフしか言わないであろうに、このゲームは違った。
一言一言が必ず違うのであった。
なのでプレイヤー達はレベル350の魔装者にNPCが何を言うのかが気になっていった。
というのがVRMMOが出回っている今の時代においてこのゲームが人気の理由の1つであった。
そしてそれをやりきったのがこの男である。
「長かった、本当に長かったよ」
ここまで来るのに俺はいろんなものを失ってきた。例えば友達関係やお金など数々のものを失って俺はNPCの言葉が聞きたかった。
しかし、現実は残酷だった。
「おめでとう しか言われねえ」
そう、カンストしたあとに待っていたのは1時間だけ全NPCからの「おめでとう」の言葉だけであった。
なぜ少年がこの事を知らなかったかというと、この少年がこのオンラインゲームで初のカンストプレイヤーだからである
ただ、これはオンラインゲームである。何が言いたいかというとほかのプレイヤーたちにわかるのだ。彼がカンストしたことが
『お~い デルタ お前350になったんだろう。お~い? あれ?寝落ちか?』
「あ~あこれ絶対NPCに何言われたか聞かれるよなぁ」
そう言うと少年はワザとゆっくりキーボードを打ち始めた。
『悪いちょっと席外してたわ』
『おう、そうかそれにしてもレベル350か、しかも無課金でカンストって俺ら無課金者の誇りだぜ』
『そうだな』
『課金者は今頃焦ってるんじゃないか?』
おかしい。普通は何言われたとか聞かれるはずだと思ったのに俺がコイツの立場だったら真っ先に聞くのにこいつはなんで聞いてこないんだ?
『俺ももうすぐで300になるから頑張らないとなぁ』
『な、なぁ クライ NPCが何言ってた。とか、魔装者ってどんな感じとか聞いてこないのか?』
少年は我慢できずに自分の率直な意見を聞いてしまった。
『何言ってんだよ?聞いちゃったら俺の楽しみがなくなっちまうだろう。現にみんなお前に聞いてこないだろう?』
『確かに…』
そうだよなみんな言葉を聞くためにこのゲームをやってるんだよな。なのに俺はカンストしたから天狗になっちゃってたな。謝らないとな
Z『チクショウ無課金者の癖に』
ニーナ『なんでなのよ!課金した私がバカみたいじゃない!!』
クナイ『おいおい。お前らが頑張ればよかっただけの話だろ!(ところでなんて言われたの?)』
四神『ちょwwお前w聞じゅなしwww』
LOST『おい!!聞じゅなしになってるぞ!てかよく変換できたな!?』
『…クライさん、みんな聞いてきてるんだけど?』
『…そ、そういう時もあるさ、きっと』
なんかなぁカンストしてもこんなこと言われるとはこいつらは本当に心が狭いんだな…からかってやるか悔しがるかなぁ
デルタ『いいだろう ドヤッ』
Z『ぶっ殺す』
ニーナ『(|||゜Д゜)<㌶㌍㌶㌍㌧ (|||゜Д゜)<㌶㌍㌶㌍㌧』
クライ『煽るな 煽るな』
四神『なんで変換できたんだろう?』
ピロリ~ン メールガキマシタ
「ん?メールまさか、あいつらメールで!?…なんだ運営か」
少年がチャットでふざけている時にそれは唐突にやってきた。
【この度はレベル350おめでとうございます。無課金でのクリアということでエクストラ武器及び魔装者ということで魔装者用のユニーク防具そして、ガンナー初の魔装者ということで、ユニークスキルを進呈致します。今後とも「different-dimension world」をお楽しみください。】
「おっこれはラッキー」
少年はラッキー程度に思っていたがこれがカンストした者をこのゲームにつなぎ止めておいて他のプレイヤーに羨ましがらせて、やる気を出させる作戦だとは気づかなかったのである。
「装備はこれで良しっとで、このスキルは発動できるようにしといてっと、良し」
デルタ『新装備もらったぁぁぁ』
クライ『いいなぁ』
Z『まじで!?』
スルメ『おめ~』
クナイ『IDとパスワード教えてよ』
デルタ『教えるか!!』
クナイ『いいじゃん減るもんだし』
デルタ『だから教えないんだよ!!』
そうして少年がチャットで駄弁っているときに、ふと時計を見てみると時計は午後3時になっていた。
この少年は一応、高校生であるので4時から9時までバイトが入っている。
「ん~さて今日はもう落ちるかな明日からは新装備の性能でも試してみるかなぁ」
デルタ『じゃあ、もう今日は落ちるはノシ』
クライ『またなノシ』
Z『ノシ』
スルメ『ノシ』
クナイ『IDとパスワードは~ノシ』
ニーナ『ノシ』
四神『ノシ』
LOST『ノシ~』
そうして少年はバイトに行く準備をして家を出たのであった
「これが俺にとって最後に見た家であった。てか?」
人はそれをフラグという・・・
「こんにちは~」
「やぁ来たね 早速、奥から商品出してきて」
「来ていきなりですか。店長」
少年はバイトでありがちなコンビニで働いている。そして今この場にいるのは、少年と店長そしてもう一人
「やぁデルタ、きみのIDとパスワードを教えてくれないか」
「鈴菜さん。ゲームとおんなじこと言ってるよ」
「それが何か?」
この人は本当ゲームの中では男キャラのくせに
「しかもデルタって言うのやめてくださいよ」
「いいじゃないか別に」
「おい!!さっさと取ってこい」
店長がそう言うと少年は逃げるように奥の倉庫に入っていった
「たくっ店長人使い荒すぎでしょ」
少年が愚痴りながらもこの店で働いている理由は、16歳で雇ってくれるところなんてほとんどないのに店長は嫌がりもせずに雇ってくれてしかもバイト料も1時間950円と高額だからである。
「店長~持ってきま「騒ぐなぁ!金出せ!!」はい?」
少年が倉庫から出てくると刃渡り30cmほどのナイフを持った典型的な強盗が店の中を暴れていた
「わかった。金は渡すから暴れるな!」
「うるせえぇ」
そう言うと強盗はナイフを近くにいた。女性に振り上げ刺そうとしていた。
「鈴菜さん!?」
そして少年は咄嗟に女性に守るようにかぶさっていた。
グチャリ
そんな音が聞こえた瞬間、少年に激しい痛みが襲ってきた。そしてその時店長は犯人に向かってタックルをやり強盗を取り押さえていた。
「俺は、刺す気なんてなかったんだ。そいつが勝手に」
「うるさい!!だまれ!!」
カランッ
ナイフが床に落ちた瞬間 少年もその場に崩れ落ちていた
「だい・・・ぶねぇ、ちょっと・賀くん 寝た・ダ・」
鈴菜さん。無事だったんですねよかったでも体に力が入らないなんでだろう
そっか刺されたんだ俺。ここで死ぬのかなぁ俺
「鈴、奈さ、ん」
「なに?」
「俺、ま、だ死に、た、く無、い でず」
そう言うと少年からは自然と涙が出てきていた。
「大丈夫よ あなたは、まだ、死なないわ」
「ぞう、でず、が」
少年から出る血の量は、とても助かるとは思えないほどの量だった。
そして、女性にもそれはわかっていた。しかしそれでも少年を不安にさせないように嘘をついていた
「ずごじ、寝、まず」
「だ、だめよ!」
そう女性が言うと後ろから犯人を縛り終わった店長が女性の肩に手を置いた
「店長!?」
「もう、寝かせてやれ」
「でも」
「もう、手遅れだ」
店長がそう言うと、少年は最後の力を振り絞ってゆっくりと声を発していた
「やっばり ずず、奈、さん、は、や、ざじ、い、で、ずね」
「加賀くん?加賀くん!!」
そうして警察が来た時には血を流して倒れている少年とその少年に抱きついている女性
縛られている犯人らしき人と犯人が逃げないように見張っている男がいたという。
加賀 直人 享年16歳
プロローグで3000字超
自分にしてはよく頑張ったよ
更新は不定期なので気長に待ってください(続きが気になる人は)
あともう出ないであろう少年と女性と店長の情報
加賀 直人
年齢 16歳
身長 165cm
体重 58kg
髪 黒
鈴菜さん
年齢 19歳
身長 162cm
体重 4「さ・く・しゃ・さ・ん」ひ、秘密です((((;゜Д゜))))
髪 茶髪
店長(名前は誰も知らない)
年齢 38歳
身長 178cm
体重 65kg
髪 黒




