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転生したら幽霊だった件

 主人公は天寿を全うして逝きました。次の人生を決めるためによくある"転生ガチャ"をやるのですが小説や漫画で見る俺ツェぇえ!!!みたいなものを引き当てることは出来ず、なんとも地味ぃなものばっかに転生します。


 地味ぃなもの達なんですけど逝き方は派手で美しいのでぜひ最後まで見ていって下さい。


 多分あなたも含めて私たちは豪運を持ち合わせていないと思うので99.9999%の人は死後にこの本に共感することでしょう。

  6回目の転生で行った10連転生ガチャによって今回の人生のレア度は決まっていた。


今回の転生のレア度は石(中)だ。


ちなみに一度あった石(中)はグッチーニのズボンだった。


 いつもの様に天使のところへ行く。

「こんにちは〜転生しにきました〜」

「転生の方ですね〜!あなたは今回"幽霊"ですね!あ ちらの光に向かって下さ〜い!」


 慣れた足取りで光の方へ向かう。

 幽霊って転生してなるものなのか?転生できないやつがなるイメージだけど、全部転生したことないやつの妄想だったのか。

 眩い光に足を踏み入れる。



 目を開けるとそこはチカチカとかすかに蛍光灯の灯る30mほどのトンネルの中だった。


 中々趣のある場所だ。


 車通りは少なく虫の音だけが鳴り響く。


 下を見ると足はなく、影もない。


 本当に幽霊になったようだ。


 幽霊のやることと言えば人を驚かすことぐらいか?今回の人生は、多くの人を驚かすことにしよう。


 トンネルの入り口から車が一台入ってきた。俺は道の端に佇み、じっと車を見つめる。

 運転手と目があった途端。ヴぅぅぅヴんんん!!軽自動車が爆音を上げながら走り去って行く。


 ちょっと楽しい。


 お、もう一台来た。次は思考をかえていこう。

 壁のくぼみに隠れて、車が通り過ぎるのを待つ。通り過ぎた後にフッと道の真ん中に現れる。


ヴぅぅぅぅぅヴんんんん!!


 軽自動車が走り去る。何かいけないことに目覚めてる気がするがとても楽しい。

 さすが石(中)だ。自分の思うように体を動かすことが出来る。正直めちゃくちゃ楽しい。


 そんなこんな楽しみながら半年がすぎた。ここは心霊スポットの名所となり、俺の手数は増えていた。


 今の俺のお気に入りはこれだ。

 車が通ったタイミングで飛び出す!そして並走!からの運転席に向かい「エアコン、消し忘れたんじゃない?」と運転手の耳元で囁くことだ。


 これにより幽霊への恐怖、そして後から尾を引くエアコンの消し忘れの恐怖というコンビネーションアタックでメンタルをKOする。


 大抵のやつはこれで2度とこなくなるだろう。


 お、また新しい客人だ。てあれ?珍しい、あの人は徒歩か。

 しかもまぁまぁな人数いるぞ。なんだ?機械をいっぱい持ってる。あれってもしかしてTV?!まじか、俺寝癖のまんまだしカメラ写り悪いかも。

 こっちに向かってきてるなぁ、俺のこのトンネルも人気になったものだ。

 

 2人組のうちの1人が口を開く。

 「さぁ!ここは関東1の最恐スポット!消し忘れトンネルです!そして、!今回勝負いただくのはこの方!除霊界の大谷翔平!霊谷恐平(れいたにきょうへい)さんです!」


 野球のコスプレをした胡散臭い霊媒師が来た。どうせ偽もんだろう。


 「よろしくお願いします!恐平さん!早速なのですが幽霊、見えますか?」

 「よろしくお願いします。見えますね〜、今めっちゃ目があってます」


 そのとおり、今めっちゃ目があってる。こいつは本物だ。

 「なりたての幽霊ですかね?いつでも祓えそうですがもう払っちゃっても?」

 「なんと、もう祓えるんですか?!ぜひ、お願いします!」

 

 ちょっとまずいかも。


 恐平がポケットから岩塩を取り出す。右手全体に小麦粉をまぶし投球フォームに入る。鋭い眼光で左方向をチラチラ見ながら牽制。


 そうか、こうなったら俺もやるしかない。そばにあった鉄パイプを拾い上げ覚悟を決める。

 恐平は右投げ、対する俺は左打ち。この勝負もらった。一般的に右投げには左打ちが有利と言われているのだ。


 左足が高く上がる。左足が地面に着いた瞬間、恐平の頭上から右手が見え、とてつもない速さの岩塩が投げ込まれる。


 貰った!


 岩塩はストライクゾーンど真ん中へ。全身に力を込め、バットを強く引く。


 ここだ!!


 瞬間、急に軌道が変わり俺の方に向かってくる。

 

""スパァァァン!!!""


 推定161キロの岩塩が俺の体に直撃する。岩塩と共に俺の体は砕け散り、形を保てなくなった。


 今回の俺の人生は、36歳小口恭平のスライダーによって逝った。

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