第四話 モコソンVSエバ(イヴ)
ネコーズとモコソンは、闇落ちしたエバからカインの妻であるクローネを救出する為、彼らのアジトである洞窟へと向かった。
洞窟の中は湿っており、冷たい滴がネコーズを襲う。
「いやん、冷たいニャン。
この洞窟の中じゃあ、僕の本気が発揮できないし、アダムとの戦闘によるダメージも残っている。性悪女のエバは、モコソンに任せるしかない」
「任せてくれ! あのオッパイは、僕が受け止めてみせる!」
アダムが闇の力を得ていた以上、エバもどうなっているのか想像すらできない。
おそらく危険な力を持っている事は確かだ。
ネコーズは不安になりながらも、モコソンを信頼して任せることにした。
普通の女性が相手の場合、モコソンの圧勝なのだが、完全な人間だと技術やスタイルなどが格段に違う。
逆に、モコソンが奴隷になってしまう場合さえあり得るのだ。
もちろん、それは最悪の場合だが……。
「さて、アダムとカインが戻って来るまで暇ね。
じゃあ、クローネを甚振って遊ぼうかしら♡
ふふふ、綺麗な肌ね。
わらわは年々衰えて行くというのに……。
その肌に血を滲み出させたい気分だわ!
どうせ、カインも始末する予定だしね♡」
「いやああああ!」
エバがクローネに鞭を振り下ろそうとする瞬間、黒い影がエバの腕に当たった。
そう、ネコーズがモコソンを投げ、モコソンがそのぶちを奪い取ったのだ!
「くっ、何奴?」
エバは恐ろしい形相で、ネコーズを睨みつけた。
エバの鞭を奪い取ったモコソンだったが、エバには予備の鞭がたくさん備えてあり、攻撃力を削ぐ事は出来なかった。
「ちくしょう! 折角武器を奪ったと思ったのに……」
悔しがるモコソンに、エバは微笑を浮かべ語りかける。
その表情は、恐いながらも美しさも伴っていた。
「くっくっく、どうやらアダムは負けた様ね。
なかなかやるじゃない。
でも、このわらわを倒す事はおろか、触れることさえ叶わないわよ!」
エバもアダム同様、闇の力により変容する。
セクシーな衣装に身を包み、身体のスタイルが露わになった。
人間とは思えないほどのナイスボディの化け物『リリス』へと変化したのである。
「こいつは『リリス』。夜の女王と呼ばれる精気を吸い取る妖艶な魔物だ!」
「な、精気を? このままでは、モコソンが喰われてしまうニャン!」
天使の解説を聞き、不安になるネコーズだったが、モコソンは自信たっぷりにこう言う。
「ふん、夜の女王か……。相手にとって不足は無い!
僕の無敵のボディで、完封してやるぜ!」
モコソンは、ほぼ無防備に突っ込んで行った。
「甘い! そう簡単にわらわの元に辿り着けると思っているのかい?」
エバの高速の鞭さばきにより、モコソンは天井高く吹っ飛んだ。
「ぎゃあああ! せめて、ワンパイでも触れれば、無敵モードに成れるのに……」
モコソンは無様に地面に激突する。
モコソンが、どんな攻撃を受けても無傷でいられる無敵モードに成れるのは、女性のオッパイに触れることが条件なのだ。
しかし、触れることさえできないエバの鞭さばきの前には、モコソンの能力が発動できなかった。
「くっそ! せめて、クローネちゃんのオッパイでも良いから一揉みできれば勝てるんだが……」
しかし、クローネちゃんは、エバの近くで倒れていた。
迂闊にモコソンが近付けば、クローネちゃんも鞭攻撃を受け、あられもない姿になってしまう。
「ふーん、どうやらこの子は邪魔の様だね。わらわの後ろで眠っていなさい」
「うっ……」
エバは、モコソンの話を聞き、クローネを鞭の一撃で眠らせて、自分の裏へ寝かせた。
これでは、エバを倒さない限り、クローネちゃんに触る事は出来ない。
モコソンは、起死回生の切り札を使う。
「仕方ない、こうなったら人間モードになって、エバのオッパイを揉むしかない!」
モコソンがそう決意すると、ちょっとワイルドな少年が姿を顕わした。
そう、モコソンもまた、一日合計一時間の間だけ人間モードになれるのだ。
この姿なら、多少鞭攻撃を受けても耐える事が出来る。
エバのオッパイに触れさえすれば、傷付いた身体も全快するのだ。
「ふふふ、わらわの胸に触れたければ、触れても良いのよ?」
「本当ですか?」
モコソンは、ゆっくりとエバに近付いて行く。
「モコソン、止めるんだ!
人間モード十五歳で女性の胸を触ったら、煩い奥さん達のクレームが来て、社会的に抹殺されるぞ!」
「そうだニャン。
女性のオッパイを触って良いのは、この四つの場合だけに限られている。
一、子供や動物の姿の場合
二、女性同士の場合(トラブルやその他多数)
三、事故や思わぬ事態の場合(トラブルの主人公やイケメン)
四、医療行為として仕方なくの場合(マッサージ師や乳癌の検診など)
モコソンは、医師免許も無いなんちゃって医者。
人間モードの場合、残念ながらどれにも当てはまらないニャン!」
天使とネコーズの説得により、モコソンは誘惑に抵抗し出した。
「そんな……。いったいどうすればいいんだ。
このエバの鞭さばきは、超強力だ!
羊モードで近付くなど出来ない。
人間モードで初めてタッチができるレベルなんだ。
このままでは、勝てない!」
モコソンは悩み始めていた。
選べる選択肢は二つ。
エバが力尽きるのを待つか、モコソンが社会的抹殺も顧みず、人間モードでエバに突撃していくかの二択しかないのだ。
「ふふふ、どうするのかしら? ほら、わらわのオッパイは揺れているわよ♡」
「くう、何と言う恐るべき攻撃だ!
巨乳好きではない僕でも、思わずタッチしたくなるニャン!」
ネコーズがエバの誘惑の威力を感じていると、モコソンが決心を決めた顔をする。
「ネコーズ、僕はエバを倒す!」
「モコソン、まさか突撃して行くつもりか?
死ぬニャン、社会的に……」
モコソンは、人間モードから羊モードになった。
何か作戦があるのだろうか?
そのまま飛び込んで行けば、ただの肉の塊となる危険性すらある。
「ネコーズ、モコソンミサイルだ! エバ目掛けて、僕を飛ばせ!」
「な、そんな事をすれば、着地した時には、モコソンが死んでいるニャン。
モコソンの無敵モードがあって初めて、モコソンミサイルは強力な武器となる。
オッパイを触っていないモコソンでは、自殺行為ニャン!」
「僕は死なないよ。女の子の胸に顔をうずめるまでは……」
モコソンのその目を見、ネコーズは悟った。モコソンには奇策がある事を。
「分かったニャン。モコソンを信じるニャン」
ネコーズはモコソンを振り回し、遠心力を利用してエバに向かって飛ばした。
「喰らえ、モコソンミサイル!」
「グハハハ、バカめ。格好の餌食だ!」
飛んで行くモコソンに、エバの容赦ない鞭攻撃が迫る。
「ふっ、かかったな、エバ! 空中では身動きが出来ない。
つまり人間モードで貴様のオッパイを触ったとしても事故という事になる!
僕は、ネコーズに投げられて不可抗力状態だからね」
モコソンは、人間モードに変化し、エバの鞭を掴んだ。
そして、そのスピードのまま、エバの胸へと突撃して行く。
「その手があったニャン!
空中で人間モードになるなら、完全なる事故。
煩い奥さん達も黙認するほかないニャン!」
「事前に計画しているからアウトっぽい気がするけど……。
まあ、このエバは性悪女だから、多少のセクハラは許されるレベルだろう。
ワンタッチくらいは大丈夫なはずだ!」
モコソンがエバを倒すには、この方法しかない。
ネコーズも天使も見なかった事にする。
まあ、エバの味方はいないから、訴えられる可能性も無いだろう。
モコソンは、エバに体当たりし、エバを押し倒した。
ネコーズが二人を確認すると、モコソンは確かにエバの胸を触っている。
しかし、人間の姿ではなかったのでセーフ。
モコソンは羊姿のまま、エバのオッパイを激しく攻撃する。
「ふっ、さすがに社会的抹殺はまずいからな。
タックルする寸前に、羊モードになったのさ」
「さすがは、モコソンニャン。これなら訴えられる事は無い。エロは健在だな!」
エバは、モコソンの攻撃を受け、気絶していた。
エバもアダムと同様、甲羅縛りにして身動きが出来にくいようにした。
この縛り方なら、仮に解くのを忘れたとしても、自力で脱出する事が出来るだろう。
ネコーズとモコソンは、強敵アダムとエバを倒したのだ。




