最終話 ヒーローモコネコの最後!
その日は突然にやって来ました。
モコネコはある小さな島にやって来て、謎の発火事件を見事に解決したのです。
それは火元がはっきりとしないという不思議な事件でした。
しかし、モコネコが来たことにより、事件はスピード解決したのです。
「これはトラッキング現象ですね。
コンセントにプラグを差したままにしておくと、コンセントとプラグの間にホコリがたまり、そこに湿気が加わることによって、火花放電が繰り返し起こり、いずれは放電から発火するのです。
水滴や湿気のかかるキッチンや洗面所は、定期的に掃除してください。
家具の裏側にある電源プラグや、水槽に使用されている電気機器も気を付けてください。
時々プラグを抜いて乾燥した布で汚れを拭き取りましょうね。
では、公議代として、一人に付き五千円程いただきましょうか?
島の人口が百人なので、締めて五十万円です!」
それを聞き、村人は怒り出しました。
「ふざけるな! お前なんて五百円で十分だ。
島から出て行け!」
モコネコは村人から酷い扱いを受け、島の隅に追いやられました。
「くっそー、お、これは村人の食糧倉庫か?
しめしめ五十万円の代わりに食料をもらうとするか。
これは、僕の当然の報酬なのです。
バクバクバクバク……」
モコネコは村人の食糧をすべて食べてしまいました。
丁度その時に台風が島を襲い、村人は一週間も島の外に出られなくなりました。
「ふーう、台風シーズンはどうにも困るな!
村人の食糧も尽きそうだべ。
よし、非常時の食糧を倉庫から出してくるべ。
これで、一週間くらいなら何とかなる」
村人は問題の食糧倉庫へやって来ました。そして、扉を開けて驚きます。
「あれ? 村の非常用食糧が、一つも残ってねえだ……」
しばらく倉庫を見ていると、食糧を食べたモコネコが気持ち良さそうに眠っているのを見付けました。
「うーん、もうお腹一杯で食べられないよ。
もーう、君は別腹♡ では、いただきまーす。
ムニャムニャ……」
村人達は理不尽にも、モコネコに詰め寄ります。
「お前が食糧を食った犯人か?」
「うーん、なんだ? そうだよ。五十万円の代わりなんだから問題ないだろ!
むしろ、食糧ごときで済ましてやる僕に感謝するんだな!」
「このやろう! みんな、やっちまえ!」
村人達は総出で、何の罪もない哀れなモコネコを攻撃します。
「ちっくしょお、こんな村、さっさと消えてしまえ! あばよ!」
モコネコは飛び立とうとしますが、体が重くて飛び立てません。
「はっ、腹が重くて飛べない!」
こうして、村人達は何の罪もないモコネコをジンギスカンにして食べ、飢えをしのいだのです。
「ふー、食糧が無くて困ったけど、何とかみんな持ち堪えたな!」
解答編 真実はこうです。
実は、村の非常用食糧倉庫は、ネズミによって荒れされ、食糧は全て食べられていました。
心に優しいモコネコは、村人達と仲直りするために、ネズミ退治をしました。
しかし、運悪く台風シーズンと重なり、ネズミを駆除した時には食糧は全く残っていません。
モコネコは村人達の生命を繋ぐため、自ら食糧になることを提案しました。
村人達は反対しましたが、食糧が尽きて来ると恐れをなし、モコネコの提案を受け入れたのです。
村人達はモコネコをジンギスカンとして調理し、飢えをしのいだのです。
こうして、モコネコはメアリー先生の期待通りのスーパーヒーローとなって、その生涯に幕を閉じたのです。