第十三話 甘い誘惑、モコネコ禁断の夜!
モコネコは、最近カルガモの連絡のみを頼りに仕事をしていた。
そのため、パトロールもめっきりしなくなっていた。
「ふー、カルガモちゃんのおかげで仕事が楽になったぜ!
このまま助手になってくれないかな? 丁度翼もあるし……。ゴクゴクゴク……」
モコネコは、ビール片手に昼寝をしていました。
夕方になった頃、カルガモが連絡をして来ました。
「モコネコさん、大変! なんかホテルで女子高生の子が倒れたみたいなの。
助けてくれないかな?」
「おいおい、ホテルで女子高生って、完全に援助交際とかだろ?
どうせ援助交際をするような女なんてブスしかいないんだ。諦めるんだな!」
モコネコは、そう言って電話を切ろうとした。
すると、メアリー先生が話を聞いていたらしく近づいてきた。
「モコネコちゃん! 援助交際をする男性っていうのはね、かなり金を持っている可能性があるんだ。しかも、家庭もしっかりしているだろう。
それをむしり取ってくればいい。
ATMまで行って、二百万円くらいは取れるだろうね。それだけあれば……」
「メアリー先生の欲しがっていた電子顕微鏡がようやく買えるようになるんだね。
それさえあれば、更なる研究に役立てることができる。
ゴミのような人間も、ようやく人様の役に立つことができるんだね。早速行ってきます!」
こうして、モコネコは飛び立っていった。
「ふっふっふ、十歳の僕じゃ買えないと思っていたのに……。
モコネコちゃんのおかげだね!」と、メアリー先生はさわやかに笑っていた。
モコネコは、カルガモの連絡してきたホテルに辿り着いた。
「モ、モコネコさん、あの、こっちです!
ここのホテルの部屋で倒れていました」
モコネコは、早速お金を持っていそうな男性と交渉を始めた。
「お父さん、ちょっと事情をお伺いしましょうか?
あっと、携帯電話が落ちましたよ。
おやー、こんなに多くの女性のメールアドレスが登録されてますねー。
あった! これが奥さんですね。
連絡しちゃおうかなー、お宅のご主人さんが、女子高生とここで何をしていたとか、その様子とか、ホテルの部屋の防犯カメラに二人の愛の記録が、バッチリ残っているでしょ?
ホテルの従業員を買収して、もらちゃおうかな……。
どうせ、五万くらいで売ってくれるでしょ。
ダビングでもいいんだし……」
「くっ、い、いくらだ? いくら出せばいいと言うのかね、君?」
「さすがは大手企業の従業員、話がサクサク進んで助かりますな。
大丈夫です! 五百万円ほど、ATMでお金を下ろしてくれれば、奥さんにも、社長にも、他の従業員にも黙っていますよ!
こういう交渉は一回までと、親に教えられていますから……」
「ちっ、分かった……。その条件を飲もう!
ただし、彼女を助けてくれたらの話だ!」
「はいはい、分かりました。五百万円と引き換えに、この携帯電話はお返ししますよ!」
モコネコは、おっさんとの交渉に成功した。
「さてと、ブスでも助けますか。
どうせ、どっかの男に、これは避妊薬だからとか言われて、フグ毒でも盛られたんだろ!
ブスのくせに色気付やがって! はん、しびれや麻痺症状が出ているぜ、いい気味だ!
まだ、呼吸があるから助かるな。ブスはしぶとくていいよな!」
モコネコは、救急車を呼んだ。
「ふー、ブスとキスしなくて助かったぜ!
呼吸困難なら人工呼吸するしかないからな。
さてと、おっさん、ブスの娘の命は助けたぜ。
ATMに行って、五百万円払ってもらいましょうか?」
モコネコは、カルガモを一匹残し、夜の街へと消えて行った。
カルガモは、一匹さびしくホテルの前をうろうろする。
すると、しばらくしてモコネコがホテルの前に戻って来た。
カルガモは勇気を出し、モコネコに告白した。
「モコネコさん、あの、アタシと、付き合ってください!」
「ああ、いいぜ! 俺もお前と付き合いたいと思っていたんだ。
丁度いい、ここで一夜を共にしようぜ!」
(え? そ、そんな……。でも、こんなチャンスを逃せない。
彼を他のメスに取られたくない……。いいわ! アタシ、モコネコさんの妻になる!
優しくしてね♡)
こうして、カルガモとモコネコは、一夜を共にした。