第十話 モコネコの助手 カルガモ登場!
モコネコは、ウミウシと結婚し、リア充(リアルに充実の略)な生活をしていた。
「ウミウシ、オイラは朝から牛タンが食べたいニャン!」
「モー、朝から大胆なんだから♡ 牛乳もちゃんと飲みなさいよ♡」
「若くて育ち盛りのオイラは、食欲旺盛なのです。チュパチュパ、レロレろ、ゴックン。
うーん、松坂牛の味だ……。では、次はミルクの方を……。
ゴクゴクゴク……、し、しまった……。また、お腹が痛くなってきた……」
「モー、この欲張りさん♡ アタイのためにお金をがっぽりと稼いで来てね♡」
モコネコは、いつものようにパトロールをし始めた。
すると、女子高生のカルガモが近付いてきた。
「キャー、リア充のモコネコさんだ。
アタシは、ピッチピッチの女子高生、カルガモちゃんだよ。
アタシ、モコネコさんのお手伝いがしたいな! 携帯の番号を教えてよ!」
「いいけど、ギャル語とか分かんないぜ!
それでもいいなら教えてやるよ!」
「キャー、モコネコさんの番号だ! じゃあ、何か困ったことがあったら連絡するね!
またね♡」
カルガモは、モコネコに別れを告げ、去って行った。
「カルガモちゃんか……。乳はないけど、可愛い子だった。
助手としてビシバシ鍛えてやろう!」
モコネコは、カルガモが連絡してくるまで昼寝をしていた。
そして、昼三時になり、モコネコの携帯が鳴った。
「あ! カルガモちゃんから電話だ!」
「くっすん、モコネコさん、助けて!
アタシの友達と山の遠足に行ってたら、突然苦しみ出して倒れちゃったの。どうしよう?」
「大丈夫! まず、その友達の写メ(顔写真付きメール)を送って!
美女だったら助けに行くから! ブスだったら、自力で何とかしなさい!
分かったね!」
カルガモは、モコネコに言われた通りにする。しばらくしてメールが届いた。
「ふーむ、山姥系(流行っていたファッションの一つ、顔の肌の色を黒くし、見分けが付かない化粧)か……。判断に迷うな……。
スッピン(化粧してない普段の顔)の写真があればいいんだがな……」
モコネコが迷っていると、メアリー先生がモコネコに話しかけて来た。
メガネバージョンでの登場である。
「どうしたの、モコネコちゃん?」
「あ、お美しいメアリー先生!
どうか、無智で愚かなオイラに正しい答えを教えてください。
オイラは、この女子高生を助けるべきでしょうか? 見捨てるべきでしょうか?」
「どれどれ? なるほど、判断に困るな。まずは、肌色のペンで色を塗ってみよう。
次に、ピンク系の唇にしてっと……。さあ、これでどうかな?」
「うわー、本来は美女だけど、周りに合わせて不細工にしている内気な美女だったのか!
こんな美女を不細工にするなんて、世の中は腐ってるね。
ブスは、ブス同士で固まっていればいいんだよ!」
「まったくだ!
ブスが美女に近づいて、態度や美意識が良くなるならともかく、ブスが美女に影響を与えて、醜くさせるなどあってはならないことだ!
タバコを勧めるクズ、万引きをするよう仕向けるゴミ、麻薬を打とうとする犯罪者、こいつらを生かしておいてはいけない。
すぐに警察に連絡し、ブタ箱にぶち込むことが大切です。
社会的に抹殺というけれど、本人にとっても大切な事なのです。
本当に友達なら、そういう子を見かけたら、大人に告げてくださいね」
モコネコは、女子高生が美女と分かり、救助に向かった。
「人の命はとても貴重なんだ。オイラはそれを守る!」
モコネコはそう決意し、問題の場所へ向かう。