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氷撃のカイ・フィリード  作者: 狼花
6章 【熱砂の炎獄 ケクラコクマ】
127/202

◆乾いた風の吹く先は(5)

 カイは数回、象の化身族と戦ったことがある。ハンターとして挑んできた者たちだが、彼らはこの【双子象】に比べれば一回り小さく、魔術も使えなかった。それでも華奢なカイの一撃ではなかなか倒れず、また頼れる味方もいなかったため、苦戦したのを覚えている。

 今回はどうだろう。敵は強力だが、頼もしい味方もいる。どこまでやれるか。


 象が右足を高々と持ち上げる。次の瞬間、その足は豪速で落下してきた。カイとチェリンがその場を飛び退く。落下地点には象の足がめり込み、陥没を起こしていた。これはあとで整地しないといけないなぁ、なんて気の抜けたことをカイは一瞬考えてしまう。


 上空のニキータが“黒羽の矢(ヴォルト・アロー)”を象の背に向けて撃ちこんだ。おそらく駄目もとで撃ったのだろうが、予想通りに雷撃の矢は象の硬い皮膚を傷つけることができなかった。少し皮膚が焦げただけだ。ニキータの矢の的中率は高いけれど、貫通力はいまひとつ。自分の鉤爪でえぐったほうが、きっと強い。

 カイもまた、“凍てつきし槍(フローズン・スピア)”を投じる。前足を狙って投じたそれは、しかし途中で消滅(・・)した。何が起きたのか一瞬分からなかったが――水蒸気が発生しているのを見て、理由を悟る。


(火属性魔術……生半可な氷じゃ、貫く前に融かされる)


 つくづく相性が悪い。ただでさえ砂漠地帯で水気が少ないのに、この上炎の術なんて使われたら、いよいよカイは魔術が使えなくなる。昔はフローレンツにばかりいたから気にしたことがなかったが、案外制約が多くて氷魔術は面倒臭い。ニキータのように、そこそこの水気と空気があれば使える雷属性のほうが、よほど安定していて便利だ。


「象を倒すには色々と方法があります」


 と、カイのすぐ傍に移動してきたシャ=ハラが、真正面の象を睨み付けたまま告げた。


「象は悪臭に弱いですから、火をつけるという手も取れますが……あの象は火属性魔術を使うようなので、これは無理ですね」


 あの一瞬で、よく見抜いた。さすが女王の片腕だ。


「急所は足の付け根の柔らかい部分と、首です。特に首の方は、カイ殿やニキータ殿ならば狙いやすいでしょう。象は巨体ゆえに方向転換が利きません。加えて、動作のあとには必ず顔をあげる。首ががら空きになります」


 なるほど、それは効果的だ――とは思ったものの、何かその案を受け入れられない自分にカイは気付いた。首を狙う、定石だ。誰かが囮になり、その隙に横から攻撃を仕掛ける。それが普通なのだけれど。


(……それは、殺し方だ)


 俺も随分、甘くなった。カイは内心で舌打ちする。カイが象を殺したくないと思っても、もう既にあちこちで死人が発生しているのだ。それはチャンバの戦士であるかもしれないし、返り討ちにあったハンターであるかもしれない。カイ一人が努力したところで、状況なんて変わらないのに。


 そうこうしている間に、また象が動く。今度は長大な鼻が伸びてきて、傍にいるチェリンを巻き取ろうとしてきた。柔軟に動く鼻から逃れるのは、俊敏なチェリンでもなかなか難しい。あわや捕えられそうになったところを、カイが横から鼻に一撃加えて逃れさせる。

 迷っている場合ではない。こうしている間にも、ひとりで戦っているアスールが消耗していく。象の出方を見て、既に数分を無駄にしていた。


 夜闇にまぎれていたニキータが急降下してくる。鳥族は上空から奇襲ができるから厄介で、味方になると心強い。黒鴉がその鉤爪で狙っているのは――象の左目。

 察知した象が高々と鼻を振り上げる。それと同時に、闇の中にぼっと炎が咲いた。象が吹くといえば水だけだと思っていたが、この象は炎を吹くのか。火炎放射とはまたなんだか愉快――じゃなくて。


 炎はニキータめがけて吹き出されたが、ニキータは一切怯まない。逆に真正面から炎の中に突っ込んでいく。というのも、吹きだされた炎は螺旋状に渦を巻いていて、中央部には空間ができていたからだ。

 目論見通りにニキータは炎を中央突破をし、鉤爪を振るう。だが象も黙って待っているはずもなく、初めて回避行動を取った。さすがに眼球を鍛えることはできない。象にとって視力はさほど問題ではないとしても、痛いものは痛いだろう。

 ニキータの鉤爪は眼球には届かなかったが、その代わりに掠めたのは耳だ。ばっさりと切り裂かれ、血が噴き出す。


 その時には、地上から飛び掛かったシャ=ハラの剣とチェリンの爪が、それぞれ象の前足の付け根に突き刺さっていた。痛みにもがく象は、鼻で彼女たちを跳ね飛ばす。シャ=ハラもチェリンも、受け身を取って無事だ。


 カイはその最中、象へ向かって突進した。振り下ろされた血まみれの左足を跳躍して躱し、伸びてきた鼻の上に飛び乗る。象はカイを振り落そうとがむしゃらに動き、高々と鼻を掲げる。カイはしがみついて離さない。

 周囲の空気が熱気を帯びる。また火炎放射が来る――と察した瞬間、カイもまた自らの冷気を掻き集めた。


 相手の炎がカイの氷を融かすなら、火を消すほどの冷気を創ればいいだけの話だ。


 炎が噴き出るより一瞬早く、カイが再度氷の槍を投じる。狙いはがら空きになった、首。灼熱の炎が氷を融かそうと迎え撃ったが、カイの槍はそれを突き破った。

 槍が象の首筋に刺さる。一際大きな咆哮が象の口から発せられ、勢い余ってカイは地上に落下した。危なげなく受け身を取って振り返ると、巨大な象の輪郭が見る間にぼやけ、徐々に小さくなっていく。化身が解けたのだ。


 さすがトライブ・【エレファント()】というべきなのか――怪我は多いが気絶しているだけで、どうやら無事のようだった。頑丈にも程がある生命力だと半分ほっとしながら、ちらとカイは倒れた者を覗き込む。そしてぎょっとした。


(女……の子?)


 そこに横たわっていたのは、まだ十代半ばほどに見える少女だったのだ。化身族は青年の姿になると成長が止まるが、幼少期の成長は人間のそれと変わらない。ということは、彼女は本当に見た目通りの年齢ということだ。道理で戦い慣れていないというか、攻撃が単調だったわけだ。

 いや、確かに象は女系社会で、群れも雌が中心になって作るとはいうけれど。これだけ幼くて、これだけ強い象族が、一体何をしでかしたら賞金ランキング十二位などになるのだ。


 その時、カイの耳に銃声が飛び込んできた。カイだけでなく、この場にいた者が全員聞き取ったようだ。それほど近い。この方角は、さきほどアスールが駆けて行ったほう――。


「! いまのは、アスール殿下が!?」


 シャ=ハラが口に出したときには、チェリンが一目散に駆け出していた。上空のニキータと、シャ=ハラもそれを追いかける。カイも続こうとしたとき、背後から何者かの気配を感じて振り返る。見れば、虎の姿を今まさに解いて、ラージが駆け寄ってきていた。


「カイ! 大丈夫か?」


 時間は惜しかったが、ラージに頼みたいこともあった。カイは素早く化身を解く。


「良いところに来た。あの象の女の子、捕まえておいて。怪我させちゃったから、悪いけど診てあげてくれる?」

「けど、あいつらは……」

「色々聞きたいことがあるし、野放しにはできないでしょ。……それに、俺はあんまりヒトに死んでもらいたくないんだ。味方も、敵もね」


 そこまで言うと、ラージは二つ返事でカイの要望を聞き入れてくれた。「ありがとう」と告げて、カイは再び化身して駆け出す。チェリンたちが向かった方向、アスールがいるであろう場所へ。


 先程から銃声は何度も聞こえている。十中八九アスールを狙ってハンターが狙撃しているのだろうが、銃声が途切れないということはアスールには命中していないということだ。それだけは救いだが、象と戦いながら遠距離射撃を躱すなど、どんな超人であれキツい芸当のはずだ。

 すぐにカイはシャ=ハラに追いついた。武装している女性にしては体力も瞬発力もあるが、獣の肢には敵わない。彼女からの目配せを受けて、カイは一瞬で彼女を抜き去る。チェリンの姿は、だいぶ先に小さく見えていた。


 建物の影で見えなかった、もう一頭の象の姿が見える。それと同時に、地上にいるアスールの姿もやっと確認できた。――よく事情は分からないが、アスールは頭から水でもぶっかけられたのかと思うほどにびしょ濡れだった。しきりに剣を振るっているのは、襲い掛かる銃弾を弾き飛ばしているからか。どうも、一方からの狙撃だけではないようだ。

 どこから来るともしれない複数の銃弾を弾き、目の前の象も相手取る――アスールの旗色は悪い。実際、なんだかあの男にしては険しい表情だ。


(もしかして、敵はアスールだと分かって狙撃している?)


 普通に考えれば、人間と象が真っ向から勝負して、人間に勝ち目があるわけがない。わざわざ勝ち目の薄い人間を撃つより、複数人で戦っているカイたちを撃ったほうがよほど建設的だ。それなのにアスールを狙っているのは、アスールが化身族との戦いに慣れていて、もしかしたら象を倒してしまうかもしれないとハンターたちが知っているからではないのか。


 一発の銃弾がアスールの右腕を掠める。掠めただけだが、当たりどころが悪かったのだろう、アスールの手から剣が落ちた。続いて飛来した銃弾は本能的に身体を逸らして躱したようだが、それは奇跡に近いことだ。

 一度崩れた態勢を持ちなおすのは難しい。銃弾を弾く手段のなくなったアスールは、絶好の的だ。背後からの狙撃で右足を撃ち抜かれ、その場に膝をつく。


 血まみれの足を引きずって、アスールはなんとか立ち上がる。そんな彼を踏みつぶさんと、象は足を持ち上げていた。狙撃が止んだのは、もはやその必要もないと悟ったからか。

 傍に落ちていた剣を拾ったアスールだが、もう構える力も残っていない。いや、残っていたとしても、剣の一本であの巨象の踏み潰し攻撃を防げるものか。


(まずいか……!)


 カイは既に全速力で走っているが、アスールのもとへたどり着くには距離が開いている。“凍てつきし壁(フローズン・シールド)”を展開しようにも、これだけ咄嗟では強度が期待できない。下手をすれば氷の壁もろともアスールは圧死だ。チェリンが追いついたとして、彼女にできるのはアスールを押しのける程度。今度はチェリンが危険だし、狙撃も再開されるに決まっている。そうしたら蜂の巣ではないか。

 視界の端で何かが光る。ニキータの“黒羽の矢(ヴォルト・アロー)”の光だ。おそらくどこかに潜む狙撃手を逆に狙い撃ちにしたのだろう。それも重要なことだし有難いのだが、いま最優先にすべきはそれではない。自分でなんとかしろってことか、とカイは毒づく。


 足がアスールめがけて、寸分の狂いもなく振り下ろされる。アスールは眉をしかめ、最後の力を振り絞って回避しようと足に力を込める。避けられるか――?


 と、アスールの前にチェリンが割り込んだ。アスールが驚愕して怒鳴る。


「……チェリン! なぜ来た――」



 うるさい、黙ってろ、と、聞こえないはずのチェリンの怒鳴り声が聞こえた気がした。



 カッと強い光が現れ、思わずカイは足を止めて目を庇う。強烈な眩しさだったが光自体は一瞬で消え、その残光で若干ちかちかする目を、なんとかこじ開ける。そこでカイが見たのは、異様な光景だった。

 チェリンと、彼女に庇われたアスールは無事だ。しかし、ふたりを踏みつぶさんと足を振り下ろす真っ最中だった象は、どういうわけかその姿勢のまま静止しているのだ。一瞬、イリーネが神属性魔術で時を止めたのかとも思ったが、夜風で傍の木々の葉が揺れたのを見て違うと分かる。


 象――双子なのだから、きっとこの象も幼い少女か少年だろう――は、足を下ろすことも上げることもできず、不安定な姿勢でもがいていた。まるで、見えざる何かが象の足を掴んでいるかのようだ。


(……空気が揺らいで見える……気のせいか?)


 象の足の近くに陽炎のようなものが見えた気がしたのだが、確信は得られなかった。何といっても、次の瞬間には象の巨体がふわりと持ち上がり、ものの見事にひっくり返ってしまったのだ。地震かと思うほどの地響きとともに横転した象を、カイもぽかんとして見つめてしまう。


 巨象の攻撃をあっさりと受け止め、さらに投げ飛ばすほどの離れ業――それをやってのけたのは、間違いなくチェリンだ。


 すべての物体は大地からの力を受けている。だから動物やヒトは大地の上に立つことができ、物体は手を離せば地上へ落下する。

 その見えざる強大な力を操り、駆使する力。時に敵を圧し、時に浮かせる。少し前にカイがチェリンと稽古したときに感じたそれは、確かにチェリンの能力だったのだ。



 地属性魔術の一種、“重力制御(グラビティ)”。



 再びカイの視界の端で、ニキータの雷撃の槍が見えた。その光が、僅かな間呆然としていたカイを現実に立ち戻らせる。見れば、横転していた象の周囲で水が渦巻いていた。あの巨体を起き上がらせるのは断念したようだが、代わりにその姿勢のまま魔術を放とうとしていたのだ。


 片割れが炎属性だったから、もう片方の象は水属性なのか。対照的な双子のようだ。アスールが水浸しだったのは、この魔術を食らっていたからなのだ。


 カイに向けて水属性魔術を放つ、その愚かさを教えてやろう。


 濁流が襲い掛かる。それはまるで荒れ狂う一匹の竜のようだ。

 しかし、空中でその水竜は氷の彫像と化した。熱湯だろうが一瞬で凍らせるカイの“氷結(フリージング)”に勝てる水など存在しない。水属性魔術を扱う敵はカイにとって脅威などではなく、むしろこのような砂漠の地では有難いものだった。


 凍結した水の竜が砕けて割れる。小さな礫となった大量の氷は、銃弾よりも速く象を撃ち抜いた。物騒な雨をその身に受けて、あえなくもう一頭の象も撃沈したのだった。





 ニキータが狙撃手を撃破してくれたおかげで、周囲の安全は確保できた。化身の解けた双子象の片割れ――やはり少女だった――のことは駆けつけたシャ=ハラに任せ、カイはアスールとチェリンのもとへ駆け寄った。ふたりとも地面にへたりこんで、肩で息をしている。こんなに余裕のないふたりは初めて見た。


「ふたりとも、大丈夫?」

「あたしはなんとか……」

「ああ、血も止まったし私も平気だ」


 息をつきながらアスールは、青い髪をしぼって水を出す。足の傷には止血がされており、確かに血は止まっているようだった。だが失血に加えて水をかぶったとなれば、このあとのことが心配だ。


「すまない、カイ。大口を叩いた割に、無様を見せた」

「いや、充分すぎるよ。ありがとう」


 素直に礼の言葉を口にしたカイが意外だったのか、アスールは瞬きを繰り返した。それからふっと笑い、視線をチェリンへと向けた。


「チェリン、君のおかげで命拾いをした。助かったよ」


 チェリンはこの暗さの中でも分かるくらいに顔色を赤く染めた。そしてぼそぼそと呟く。


「た、たいしたことはしていないわよ……っていうか、あたしだって何したのかよく分かってないし……」

「やはりあれは、チェリンの魔術だったのか?」


 アスールに問われ、カイは頷いた。これまでは一切チェリンからは感じなかった魔力が、今ははっきりと感じ取ることができる。やはり彼女には潜在的に魔力が宿っていて、蓋がされていただけだったのだ。その蓋がアスールの危機を前にして外れ、出現したということだろう。

 するとニキータが化身を解いて地上へ下りてきた。そしてチェリンの肩を豪快に叩く。労いの一撃なのだが、常人には威力が強すぎる。チェリンは盛大にむせた。


「見事だったぜ、兎のお嬢! 前のカイもそうだったが、まさか象まで投げ飛ばせるとはな。いやあ、なんという怪力」

「ちょ、ちょっと、あたしが自分の腕で投げ飛ばしたわけじゃないんだからね!」

「謙遜するな。これでカイもアスールも、ますますお嬢にひれ伏すこと間違いなしだ。なんせ首を絞めるも圧死させるも自由なんだからな」


 そう言われてしまうと本当にチェリンに逆らう気が失せるのだが、とりあえず真っ先にニキータがぶっ飛ばされることは間違いなかった。


 顎下に一撃食らったニキータは、それでもけろっとしてカイを見やる。


「――まあ、これで一件落着だな。象が倒されたのを見て、他のハンターもあらかた逃げたようだ。後のことはチャンバの奴らに任せようや」

「そうだね。イリーネとクレイザと合流しよう」


 後ろでアスールが『またイリーネにどやされそうだ』と嘆いている声が聞こえる。カイがアスールを囮にした、なんて知られたら、カイのほうが怒られる。まあ確かにひやりとしたが、みんな無事だったので良いではないか――というのは結果論なので、多分どのみち無茶をしたことはイリーネに嘆かれるだろう。


 踵を返しかけたところで、チェリンがカイの服の裾を引っ張った。振り返ると、チェリンはややうつむき加減で口を開く。


「……あんたが前から色々言ってくれたから、戦うのも自信ついてきたわ。ありがと」


 なんだかさっきからお礼の言い合いっこをしているようだ。カイはチェリンと向き直る。


「そ? それなら良かったんだけど」

「うん。あと、その……」

「分かってる。地属性の魔術書をどこかで調達して、使い方を訓練しようね」


【獅子帝フロンツェ】、メイナード、さらに膨大な神国軍や教会兵を相手取らなくてはならない身としては、味方の戦力向上は喜ばしいことだ。おそらくチェリンの魔術なら大量の敵をまとめて放り投げることができるし、鍛えればかなり頼もしくなる。そこに労力をかけることを、今更カイも惜しむつもりはない。むしろ優先的に伸ばすべき能力だ。

 魔術の扱いにニキータは不慣れだし、多分手伝いなんてしてくれないから、カイがやらねばならない。イリーネとふたりまとめて、面倒を見てやろうではないか。


 そう告げると、チェリンは嬉しそうに笑った。強くなれることを心から喜ぶのは、やはり彼女が生粋の化身族で、しかもフィリードの民であるということを証明しているかのようだった。

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