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パーティーの仲間に殺された僕はゴブリンに転生して、種付スキルでダンジョンを強くする。  作者: ぐまうす


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「ううん、知らなーい」

(え……? 昨日何も言わなかったから、よくあるスキル内容なのかと)

「種付けスキルにほぼついてる効果なんだけど、それを使えたっていうのは聞いた事は無いんだよねー」

 発動条件が厳しいということか?

「それより、強くなる為の戦闘訓練を行うんだよね?」

(そうです。とりあえずゴブリンを狩ります)

 僕の記憶から作って貰った剣と盾を構える。

「効率は悪いけど、時間はあるからー」

(……どの程度の効率ですかね)

「そうだねー……、上限に達する前にゴブリンスレイヤーの称号得られるんじゃないかなー、いやゴブリンスローターかもー?」

 うわぁ、気が滅入りそう。

「その分、経験は多くなるから」

 経験ねぇ。

「おや、懐疑的だねー」

(えっと、いや、まぁ……)

「アタシ達ダンジョン妖精は経験を重要視してるんだよー、これでもー」

 その割には、確立された討伐方法を対策されたとか、聞いた事無い様な。

「ただ活用出来ないだけでー」

 意味無いじゃないですか。

「情報と経験っていうのは別物って感じでー、例えば作戦が失敗するじゃない?」

(はい)

「モンスターはその時点で全滅なんだけど、全員じゃなくても人間は逃げ切る場合があるんだよ」

 よくと言うほどではないが、それなりに聞く話ではある。

「そして失敗した経験を元に前よりも勝率が高くなる作戦を思い付くし、もしその作戦が失敗しても前逃げた経験を元に前より多くの人を情報を持ち帰る、僅かだとしても良い結果に進んでいるんだよ。それがモンスターには無いんだよー」

 まぁ、知能が高いのもいるけどモンスターって野生じみてるからなぁ。

「モンスターって強いのは本当に強いんだけどねー、経験を積まなくても人間を殺すことは造作もないし、だけどそのせいで経験を積めないからアドリブに弱いんだよー。どんなに小さなアドリブでも少ない経験だと対応出来ずに倒される事あるから」

 言われてみると確かに。

 でもそのおかげで、いまだに人間は存在出来ている。

「前にー知り合いのダンジョン妖精が愚痴ってたけど、知能高いモンスターに自分が見た情報を報告書にして読ませたり直に見た方が得る物が多い筈だとその時の光景を封印して動く絵画にしてみせて気を付ける様に言ったりもしたけど、分かった気になるだけだってこぼしてたよー」

 なんだか気苦労してる上司みたいな事言ってるなぁ。

「だけど、ブリードはその点、元は人間だからアタシが言っている事ちゃんと理解していると思うんだよね」

 それはまあ確かに。

(でも、ゴブリン倒して意義ある経験入りますかね?)

「んー? ちょっと難しい問題だけど、無駄では決してないよー。ゴブリンって多様性があるから、中位種の様な強さはなくとも、ゴブリンが使ってくる武器は様々な物になると思うんだー。それを一対一から始めて一対多数に変えていけば曲がりなりにもゴブリンは人型だからねー、対人戦の経験としては馬鹿に出来ない物になる筈だよ、アタシ達の敵は人間なんだから」

 漠然と理解していたつもりだったが、こうも意識させられると胸の辺りにズシンと重い物がくる。

(わかりました)

「じゃあ始めよーかー」

 ダンジョンコアから光線が出て地面に魔法陣が描かれる。

 魔法陣から魔力が噴き出てきたかと思うと中央で固まって一匹のゴブリンになった。

 初めて見た。

 これがダンジョンがモンスターを生み出す光景か。

 人間の間ではダンジョンがモンスターを生み出しているというのは、常識的な知識ではあった。ただし生み出す光景を見たことがある人間は歴史上誰もいない、ただ単にそうでないと辻褄が合わないという事で、そう言われているだけだった。

 それでも交尾ではどうしようもない問題があったりと生まれ方については不明で、一番信用性がある説で魔法で作られているというのもあったけど僅かだが無理がある説でもあった。

 それがまさか魔法そのものだったとは。

「じゃあ、とりあえず百体抜きいってみよー!」

(は?)

 抗議もする間も無く、開始された。

 初日という事で、休憩有りの一対一を百戦するだけで終わったが、それで分かった事が幾つかある。

 ぶっちゃけると、人間の頃より強くなっていた。

 昨日情報を見ていたから知ってはいたがそれは僅かな筈だった、でも今日戦ってみて分かりやすく実感出来る程に強くなっていた。

 ゴブリンになった方が強いなんてなんかこう泣きたくなった。

 それと、対戦相手のゴブリンを生み出す魔法陣を毎回描き直しているのが印象に残る。

(何故毎回描き直しているんですか?)

「あーこれはねー、実は毎回同じに見えて、全部違う魔法陣なんだー。細部を見ないと分からないけどね」

 そう言われて見れば確かに?

「意図してる変更じゃなくてー自然と変える様になってるんだよ」

(それはどういう?)

「これはダンジョンコアの基本設定の一つでね。基本となる魔法陣があるでしょ? それを描こうとすると自動で魔法陣に付け加える仕様になってるんだー、ランダムで」

(ランダム……、ということはもしかしてスキルですか?)

「ご名答ー。だからブリードが戦ったゴブリンは全員違うゴブリンなんだよ。まあ生み出してすぐ戦わせるから、実感できるほど差異は感じなかったみたいだねー」

(それ何かに使えないですかね?)

「どうかなー。一応魔法陣は全部記録してるから、魔法陣を描いて発動させれば、同じスキルを持ったゴブリンを幾らでも生み出せるけど、結局は全部生まれたてで経験は無いから何かに使えるかというと、ちょっと思いつかないかなー」

(僕が剣術とか教えればいいんじゃないですか? そうすればいつか冒険者が来た時に対処出来るかと)

「魔法生物いえど寿命みたいなのはあるからね?」

(そうなんですか?)

「ダンジョンボスであるブリードはピンと来ないんだろうけど、ブリードと違ってモンスターを生み出す魔力は使い切りなんだよー。なら一度出した魔法に魔力を供給し続ければいいかと思うかもだけどー、状態としては出したその場で止ませている状態ではなくて、対象に当て続けている状態なんだよー。つまりー、生きているだけで常に魔力を消費している状態で供給が追いつかないんだよー、食事代わりの魔力の取り込みもあれは維持ではなくて減少スピードを減退させるのが目的だからー」

(なら、僕と同じ様にダンジョンとパスを繋げればいいのでは? ダンジョンボスを交代出来るという事は後付けでパスを繋げられるという事ですよね。なら最初からダンジョンモンスターにもつける事は可能そうですが)

「遥か彼方の昔にそれをしたダンジョン妖精がいたらしんだけどー、明確な特別性が無いせいで群れのボス争いが勃発したらしくてねー、それはもう大規模な争いでダンジョンが崩壊したってさー」

(そんなに規模が拡がるんですか?)

「長生きすると低い知能のモンスターも知能は上がるからねー、群れのボス争いに負ければ死ぬ事になるのがわかるからさー、生きるために必死になってドンドン規模が大きくなっていったって訳さー」

(なんで死ぬのは確定なんですか?)

「認識が甘いとか危機への想像力が低いとか甘く考えすぎとか言われたことない?」

 図星過ぎて視線を逸らす。

「普通の野生動物でもそうだけど、群れのトップ争いは負けた方が追放なんだよー。ダンジョン内で追放となると追放先は外になるけど、ダンジョン外に出ると繋がりは無くなるんだよ。ダンジョンが魔王城級になると話は変わってくるけど基本的にダンジョン内でしか供給は出来ないの。無くなった寿命が戻って絶対に死ぬ日が来るとか下手に不死性を持ってしまった者にしたら、恐怖でしかないからね。まぁそれに知恵が付くとプライドも高くなるからねー」

 なるほど、考えが甘かった。

(でも、何かに使えそうなんだけどなぁ)

 光の紙に描いてもらった魔法陣に触ると、魔法陣の二箇所が丸い印が付いた。

(ん? これって何ですか?)

「これってー?」

(この丸ですよ)

「えー? どれ?」

 指で指して見せるが、ご主人様は見えていない様に魔法陣を見る。

「アタシには何もー……。あっ、もしかしてーちょっと視界繋げるねー」

 目に何か繋がった様な違和感があった。

「あっ、ほんとーだ、何だろうこの丸マーク」

 見える様になったみたいだけど、僕の視界と繋げたということかな。

「ちょっと調べてみるねー」

 ご主人様が丸に触れると、光の紙が現れてまたご主人様が触れるというのを新しい光の紙が出るごとに繰り返していると、不意に止まった。

「これ種付けスキルの育種の効果だねー」

 思わぬ結果にびっくりする。

(発動したってことですか?)

「そーみたい。まさかモンスターを生み出す魔法陣に触れる事が発動条件だなんて、誰もわからない筈だよー。普通ゴブリンとかに触れさせないよ」

 まぁそれはそう。

(それでどういう意味があるんですか?)

「説明に書いている内容は、選択したスキルを次世代に出る確率が一割増えるって」

 次世代に出る、つまり子供にスキルを引き継がせるってことか?

 ……使えない、現状その子供を作る術が無いのに。

 それも一割だけって。

「ちょっとテンション上がったんだけどなー」

 本当、期待すかしで、ごめんなさい。

「とりあえずー、新しい発見とかあると調査して情報共有しないといけないからー、幾つか記録している魔法陣を出すねー」

 幾つか触って分かった事は。

 丸の印が付くのは最大で六箇所、場所は固定されている。

 ご主人様によるとスキルというのは、実は魔法陣内では頭、胴体、両手、両足に対応する六箇所に描かれているらしいとされていた。

 されていたというのは、モンスター魔法陣は、邪神の御業で創られた物で、ダンジョン妖精如きでは理解出来る代物ではなかったからだ。多少解説はしてくれたそうだが。

 それが間違っていないと証明された。

 丸で囲われた紋様を、スキル紋と名付ける。




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