ものは考えよう
置き去りか!
騎士道精神の欠片もないな。
マジで大きな溜息が出た。
いや、舌打ちまで出た。
二人で散策って言っても別に二人きりって訳じゃない。
従者とかが控えている。
私の態度の豹変っぷりを見て、ちょっと引いているけども、気にする事ではない。
私は、
「帰ります。案内を。」
と、告げた。
そのまま両親を呼び出してもらい馬車に乗る。
父が気遣うように話しかけてくるけど、ガン無視。
王都から馬車で半日ほどの街に、我が家がある。
家についてからもずっと無言。
父の書斎に入って、父と二人きりになった瞬間。
「ナシ!」
と、告げた。
そこか、怒濤の文句を垂れ流した。
愛さない相手に、かわいげなんて必要ないだろうが。
かわいげをご所望されるなら追加料金寄越せや。
いや、料金払っているのは、こっちやぞ。
愛想くらい見せろ。
父が
「ラディ・・・言葉遣い。」
と、遠慮がちに窘める。
それで止まる私では無い。
「口にしなかったの!我慢したわよ!」
「そうだな。そうだな。我慢した。ラディは我慢した。」
父は同意の呪文を唱えた。
私が落ち着くように。
でも私は止まれない。
「大体ね!テンプレすぎる!」
「そうだったんだね。でも、世の中はそういうものだから。」
確かに、巷にはテンプレが溢れている。
例えば浮気した男。
「君だけを愛してる。」
「気の迷いだった。」
みたいなの。
そういうのがあるのは知っている。
だけどね、愛することは無いって。
わざわざ宣言しなくったって良い。
するメリット無くない?
相手に嫌な思いさせるだけじゃない。
初対面の人に嫌な思いさせてやろうって言う、その性根。
そもそも、私だって、別にそんな事は期待はしていない。
だけど、困窮した伯爵家の資金提供源である私を、表面上だけでも大事にしないのか?
そういうこともわからないのか?
取り繕うとかそういうことも出来ないのか?
止まらない私を父はスンとした顔で見つめている。
こうなったら私を放置するしかないってわかっているのだ。
それでも聞いてくれる。
理解できないだろう私の演説を。
こういう所は良い父だと思う。
本当に申し訳ない。
だけど、仕方ないとも思う。
だって、私は、この世では異分子。
だって、私には前世の記憶がある。
前世でバリバリ働いていた記憶が。
働いて働いて働いて参った結果、ポックリ逝った。
その後、どんな迷惑かけたかわかんないけど。
仕事に燃え尽きた一生だった。
悔いは多少ある。
全くないとは言い切れない。
生まれ変わった先が、異世界転生モノ世界だと自覚した時は、「あぁ・・。」って思ったけど、前世で出来なかったゆったり生活を送るのも良いよねって思い直した。




