第八十六話:陰謀の漏洩律と、死国境の五大最高将軍
周辺の「۵つの独立王国 」の正規軍が防壁を取り囲んでいるという最悪の報告を受け、俺――ハナシ・リョウガは黄金と真紅の魔眼を鋭く細め、全員を見渡した 。
「……おかしいな。これほど短時間で、俺たちの陥落都市奪還の事実が外部に漏れるわけがねえ。今回の『エルドリア掃討作戦』を知っていたのは、アラマンドン王国の国王オーレリウス四世、領主ガレス、そして軍の上層部の数人だけだったはずだ。なぜ周辺の隣国どもが、すでに軍を動かしてここに集結していやがる」
キングラッド(Kingrad)が槍の柄を握り締め、苦渋に満ちた声を絞り出した 。
「間違いねえ……。アラマンドン王国 の内部にいる俺たちの『(敵対勢力)』――ルシアン・ヴェイル公爵の一派が、俺たちを陥落都市ごと圧殺するために、意図的に隣国へ情報を流し て軍を動かさせたんだ!」
タリンが大斧を床に叩きつけた。「チッ、あの老いぼれ公爵め、どこまでも小癪な真似を! 大将、今すぐ打って出るか!?」
新入りのブロムル(Bromur)が、険しい表情で頭を振った。「いや、待て。もしこの都市の防壁を完璧に再建し、マストハカム(要塞化)できていれば、アラマンドンの本隊が到着するまで持ちこたえることもできただろう。だが、度重なる激戦のせいで、防壁の(一部)は完全に崩壊したままだ。この防御力のない状態で、5つの大軍勢を同時に正面から相手にするのは不可能に近いぞ」
全員が緊迫した表情で静静する中、俺は限界突破したレベル73のマナを静かに収束させ、冷酷に言い放った 。
「……なら、正面から戦う必要はねえ。おい、外の荒野へ使者を送り、あの5つの独立王国の『最高指揮官 』どもに伝えてこい。――この城の主、ハナシ・リョウガが、彼ら全員との直接の『謁見 』を望んでいる、とな」
「「「な……っ!?」」」
タリンも、キングラッドも、エナリルも、あまりの規格外の命令に驚愕 のあまり目を丸くして俺を見た 。大軍を前に、単騎で5人の将軍を王宮へ呼び出そうというリョウガの真意が全く読めなかったからだ 。
俺は椅子に深く腰掛け、キングラッドに視線を向けた 。
「作戦を練る。キングラッド、あの外にいる独立王国 どもについて、お前の知る限りの情報を俺に話せ」
キングラッドは引き締まった表情で頷き、地図の境界線を指差しながら説明を始めた 。
「……了解した。この帝国の国境 と【死者の地】の境界に沿って、全部で**『6つの独立王国』が存在している。その一つがアラマンドンだ。そして今、外を取り囲んでいるのは残りの5つの王国――『アスガルドン(Asgardon)』、『アラディア(Aradia)』、『ベルヴェデーレ(Belvedere)』、『リバーデル(Riverdell)』、 shadow そして……俺の故郷である『ヴァラー(Valor)』の正規軍だ。これらの国々は、古くから希少なマナ資源を巡って常に血で血を洗う紛争 を続けてきた。だが特に、『アラディア』と『アスガルドン』**の二国は、領土拡大と戦争への執着 が異常なほど強く、互いに国境を接しているため、常に軍事的な緊張状態にある」
それを聞いた俺の唇が、自然と他者を圧倒するような、底知れぬ残虐な『悪魔の笑み 』の形へと歪んでいった 。
(なるほどな……。戦争狂のバカどもが揃いも揃って俺の獲物を奪いに来やがったか。ならば、その狂ったシステムを内側から噛み砕いてやるまでだ)
俺は右目の奥の魔眼をギラリと輝かせ、絶対の主権の意思を以て全員に告げた 。
「面白い。キングラッド、奴らの最高指揮官たちを、一国の王を招くように『一人ずつ 』この王宮 の広間へと招待しろ。同時に全員を相手にする必要はねえ。小出しにして、奴らの喉元を確実に握り潰してやる」
俺は立ち上がり、漆黒の影の剣を机に突き立てた 。
「さあ、野郎ども……。欲深き人間のゴミどもを招き入れろ。これより、俺の領域の中で、至高の**『死の遊戯 』**を始めてやろうじゃねえか――」




