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孤狼の転生~最速スキルでゼ 口から始める〜  作者: Ebi
(第一章:孤狼の覚醒と王の盾要塞 - Daiisshō: Korō no Kakusei to Ō no Tate Yōsai)
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第9話から第12話

第9話:七つの属性と初めての魔導融合

【前書き】

第9話です!世界の魔導のルール、そして魔石の階級(ランク)が明かされます。属性を持たないリョウガが、自らの手で運命を切り開く瞬間をご覧ください。


【小説本文】

長い逃避行の末、夜半過ぎに俺たちは荒野にぽつんと佇む廃屋に辿り着いた。ここで夜を明かすことにする。


俺はエルフの王女に向かい、約束通り二人の傷を癒すよう要求した。しかし、彼女は疲れ果てた表情で首を振った。


「魔力(マナ)が足りません……。この疲労では、お二人のうち一人を治療するのが限界です」


俺は隣のキングラッドを見た。**【鑑定の魔眼】**で視ると、奴の体力は俺よりも深刻な状態だった。


「キングラッドを治療しろ。俺は耐えられる。平気だ」

俺の強い催促に押され、王女は治癒魔法を唱えてキングラッドの傷を塞いだ。


凍てつく夜、俺はキングラッドに「朝まで交代で監視をする」と告げた。迫り来る魔物への警戒はもちろん、このエルフの王女をまだ信用していなかったからだ。王女もその不信感に気づいていた。彼女は最後の魔力を振り絞って魔法の火を熾し、「この火の傍で休んでください」と静かに言った。全員が酷い飢えと疲労に襲われていた。


揺らめく炎を見つめていると、俺は脳内に響いていた音声を思い出した。今なら、第2段階の魔眼――**【融合の魔眼】**が使えるはずだ。

意識を集中すると、不思議とその『声』と繋がることができた。俺は新しく解放された魔眼について問いかけた。脳内のシステムボイスが静かに答える。


【この世界には7つの魔導属性が存在します。『光(聖魔法)』、そして『火』『水』『風』『土』。さらに植物や動物を操る『統率(コントロール)』。最後に、魔族のみが扱える禁忌の『闇(黒魔法)』です】


【通常、人は一生に一つの属性しか扱えません。最高峰のSランクに至っても、その属性の派生(例えば水から『氷』『霧』、統率から『人間の洗脳』)を極めることしか不可能です】


俺は胸を高鳴らせ、自分の属性を尋ねた。しかし、声の答えは冷酷だった。【個体名:リュウガ。あなたには、いかなる魔導属性の兆候も存在しません。――『無(ゼロ)』です】


驚愕の後、俺の胸に激しい怒りが込み上げた。この世界に来てさえ、神々は俺に何も与えないというのか。


「だったら、全部自分の手で奪い取ってやる。すべての属性をな」


俺は、これまで狩った毒角トカゲとゴブリンの魔石を取り出した。声が再び告げる。


【魔石は身体能力を上げず、魔導属性のレベルのみに干渉します。魔石の階級(ランク)は下位のF、E、D。そしてC、A、Sランクはそれぞれ、さらに三つの階級(ブロンズ、ゴールド、プラチナ)に細分化されます】


聞き終えた俺は、眠る二人を魔眼でスキャンした。今まで見落としていた表記が、レベルの横に現れていた。


キングラッドは【Cランク・プラチナ】、王女は【Cランク・ゴールド】。そして俺自身は、魔眼が進化してなお、最底辺の【Eランク】だった。強くなければ、目的は果たせない。


【融合を開始します。魔石を見つめ、意思を込めてください】


命じられるまま、ゴブリンとトカゲの魔石に視線を注ぐ。二つの石がドロリと溶け合い、深い緑色へと変色した。さらに俺は、ラザロから得たDランクの赤い魔石をそこへ混ぜ合わせた。融合した新たな結晶は、怪しく光るチェリーピンク(ダークレッド)の色へと姿を変えた。


【融合完了。その結晶を右目に近づけ、魔導を吸収してください】


言われるがまま、チェリー色の魔石を右目の前に掲げた。


――その瞬間、脳ミソを直接引き裂かれるような、凄絶な激痛が俺を襲った。


「ぐあああああああっ!!!」


あまりの痛みに声も枯れ、俺はそのまま意識を失い、冷たい床へと倒れ込んだ。


第10話:魔導の目覚めと古の沼地

【前書き】


第10話です!ついに旅の第一歩を踏み出すリョウガたち。エルフの王女との和解、そして立ちはだかる最悪の監獄「古の沼地」での戦いが幕を開けます。


【小説本文】


朝の柔らかな光が差し込み、俺はゆっくりと目を覚ました。


「ここは……。くそ、頭が割れそうだ」ズキズキと痛む頭を押さえながら周囲を見渡す。すると隣から聞き覚えのある声がした。


「おい、リュウガ! 気がついたか? 昨夜は一体何があったんだ?」キングラッドだった。俺の様子を心配そうに覗き込んでいる。


その時、激しい頭痛の奥から、じんわりと温かく心地よい魔力が体に染み込んでくるのを感じた。肉体の疲労が急速に引いていく。視線を動かすと、エルフの王女が必死な面持ちで俺に治癒魔法を掛け続けていた。「体調は……いかがですか?」彼女は静かに、しかしどこか不安そうに尋ねてきた。


「……ああ、大丈夫だ。問題ない」俺が起き上がると、キングラッドが豪快に笑った。「よし、なら朝飯だ! 先ほど外で一角ウサギを狩ってな。もう焼き上がっているぞ」


3人で香ばしい肉を口に運ぶ中、キングラッドが真剣な表情で切り出した。「さて、これからどうする? どこへ向かうんだ?」


「まずは身を隠す拠点と金が必要だ。今後の計画を立てるためにもな」俺がそう答えると、キングラッドは力強く頷いた。


「檻の中で言った通りだ。俺はお前の騎士だ。お前がどこへ行こうと、俺はこの命が尽きるまで地獄の果てでも付き従うさ」


短い沈黙の後、エルフの王女が俯きながら、消え入りそうな声で言った。「あの……もし許されるなら、しばらくの間、私を同行させていただけないでしょうか? 街は魔物に占領され、次のエルフの都市まではあまりにも遠く、道も封鎖されています。私一人では……」


正直、俺は彼女を連れて行く気は毛頭なかった。厄介事は御免だ。しかしその瞬間、王女は俺の前に膝をつき、目から大粒の涙を流しながら頭を下げた。


「申し訳ありませんでした……! エルフたちがあなたたち人間にした無惨な仕打ち、神に誓って私は心から反対していました! しかし、人間との戦争による憎しみに囚われた父を止めることができなかった……。どうか、どうかお許しください!」


彼女の涙が床に染み込んでいく。俺はまだ完全に彼女を信用したわけではなかったが、利用価値と最低限の誠意を認め、同行を許すことにした。


食後、俺はキングラッドに周囲の地理を尋ねた。


「俺たちは今、『古の沼地』の境界近くにいる」キングラッドは険しい顔で言った。「ここから生きて抜けるには二つの道しかない。一つは、この沼地を強行突破して人間の国『アラマンドン王国』を目指す道。もう一つは、逆側の『精霊の森』を抜けてダークエルフの街へ向かう道だ」


二人は同時に口を紡いだ。どちらのルートも絶望的だと顔が物語っている。


「古の沼地を通り、アラマンドンへ向かう」俺は迷わず断言した。


王女は青ざめ、怯えた声で呟いた。「もし……人間の国で私が見つかれば、間違いなく奴隷にされてしまいます……」


「そこに着くまでに策を考える。行くぞ」


それから二日間、俺たちは歩き続けた。しかし、俺は未だに自分の手に入れた魔法が何なのか分からずにいた。脳内の『声』に意識を集中すると、システムは短く答えた。


【獲得魔導:隠蔽魔法・レベル1】


発動させようと何度も試みたが、感覚が掴めず、何も起きない。


そうして歩むうちに、俺たちはついに『古の沼地』へと足を踏み入れた。辺りは不気味な濃霧に包まれ、腐敗したドロドロとした死臭が鼻をつく。


「これが噂に聞く古の沼地か……。奇妙な化け物どもが潜み、生きて戻った者はいないとされる呪われた場所だ」キングラッドの言葉が終わるか終わらないかの瞬間、霧が急速に濃くなり、視界が完全に閉ざされた。


――ギシャァァァァァッ!!! ガルルルルッ!


霧の奥から、身の毛もよだつ咆哮と、無数の不気味な足音がこちらに向かって猛スピードで近づいてくるのが聞こえた。


俺は王女から受け取った銀の細剣を構えた。キングラッドもその辺の頑丈な太い枝を削って作った即席の槍を構える。俺たちは背中を合わせ、防御陣形を取った。


濃霧の向こうから、一体どんな『絶望』が飛び出してくるのか。俺は右目の魔眼を鋭く見開いた。


第11話:影の覚醒と三頭蛇ヤント


【前書き】


第12۶話です!古の沼地で遭遇した圧倒的強者、三頭蛇「ヤント」。絶望の淵で、リョウガの内に秘められた魔導が未知の変貌を遂げます!


【小説本文】


背中合わせで霧の奥を睨みつける俺たちの前に、突如として巨躯が現れた。それは俺の知るいかなる蛇とも違う、巨大な三つの頭を持つ大蛇だった。


その三つの頭の眼には、それぞれ異なる色の魔石が埋め込まれている。左の頭は紅、右の頭は蒼、そして中央の頭は不気味な漆黒の眼光を放っていた。


「あ、ああ……」

王女の足が恐怖でガタガタと震え、地面に崩れ落ちる。


隣のキングラッドも、怒りと絶望の入り混じった顔で吐き捨てた。


「クソが……! こいつらは死者の大地の魔物よりも凶暴な、この沼の主だ!」


――ゴオオオオオオッ!!!


突如、紅い眼の頭が口を開き、激しい地獄の業火を放ってきた。周囲が一瞬で火の海と化す。俺たちは死に物狂いで直撃をかわしたが、吹き荒れる熱風で王女の手足が焼け、彼女は悲鳴を上げた。


どう戦えばいい? 恐怖が脳を支配しかける。しかしその瞬間、俺は過去に味わった理不尽な苦しみを思い出した。ナガサキの暗い炭鉱、家族の冷たい目……。


「俺は……リョウガ・ハナシだ! 二度と、誰にも屈しないッ!!!」


俺は咆哮し、**【鑑定の魔眼】**で奴のステータスを視た。


【個体:三頭蛇ヤント / 階級:Bランク・プラチナ】


【警告:対象とのレベル差が大きすぎるため、弱点を解析できません】


弱点が見えない。だが俺は構わず地を蹴り、蛇の胴体へ銀の細剣を叩き込んだ。


――ガキィィィン!


手応えはまるで硬強な岩を叩いたかのようだった。剣が弾かれ、俺の目が見開かれる。


間髪入れず、今度は蒼い眼の頭が襲いかかってきた。奴が天を仰ぐと、上空から押しつぶすような巨大な水の激流(水魔法)が俺たちの頭上へと降り注ぐ。


完全に逃げ場はない。終わった、と脳裏をよぎる。しかしその瞬間、俺の胸の奥で爆発的な熱量が弾けた。(死ぬなら……戦って死ぬ!)


激しい怒りとともに『絶対速度』を発動した。激流が直撃する寸前、心臓の奥の熱が全身に広がり、俺の身体が真っ黒な『影』へと変貌していくのが見えた。手にした銀の細剣までもが、光を吸い込むような不気味な黒刀へと変わる。


【システム:『絶対速度』と『隠蔽魔法』が異常結合(シナジー)を起こしました】


【固有領域:影の神速(シャドウ・アクセル)が発動します】


時間が完全に停止した。頭上の激流も、空気中の霧も、すべてが止まる。俺は黒い影となって地を滑り、水魔法を放っていた蒼い眼の頭へと跳躍した。


ザシュッ!!!


漆黒の刃が、蛇の強固な鱗を紙のように切り裂く。


時が動き出す。気づけば俺は元の位置に戻っていた。身体の影は消え、剣も元の銀色に戻っている。今のは幻覚か?


と思った瞬間、キングラッドが雄叫びを上げて残りの頭に突撃し、王女が涙を流しながら精霊の魔術を唱え始めた。


しかし、戦いはすでに決していた。蒼い眼の頭から一文字に血が吹き出し、奴の水魔法が霧散して雨となって降り注ぐ。そして、その巨大な頭がドサリと地面に落ちた。


残された二つの頭が、狂ったように同時に俺へ牙を剥く。


俺は自らの意志で、もう一度あの感覚を呼び覚ました。『絶対速度』と『隠蔽魔法』の同時発動。


――視界が再び影に染まる。


一瞬の交差。


ズババッ!!!


瞬きする間に、残る二つの頭が綺麗に宙を舞い、ヤントの巨体が泥水の中に沈んでいった。


手の中の剣を握りしめ、俺は体内に満ちていく圧倒的な『力』の感覚に、歓喜と困惑を覚えていた。


「リュウガ……お前、やりやがったな!」


キングラッドが信じられないといった様子で駆け寄ってきた。


「あの三頭蛇ヤントを一人でぶちのめすなんて、お前は一体どんな化け物だ……! 神業だぞ!」


王女もまた、言葉を失って俺を見つめることしかできなかった。


その時、脳内にあの『声』が響き渡る。


【Bランク・プラチナ『三頭蛇ヤント』の討伐を確認しました】


【超格上撃破ボーナス(バフ)が適用されます】


【身体ステータスが大幅に向上しました】


【『絶対速度』および『隠蔽魔法』がレベルアップしました】


泥に塗れた沼地の中、俺の右目は、さらに深く妖しい輝きを放ち始めていた。


第12話:白銀の王女の導きと見えざる戦斧


【前書き】


第12話です!いつも応援ありがとうございます。三頭蛇ヤントを倒したリョウガたちの前に、今度は頑固なドワーフの戦士が現れます。そして、エルフの王女アナリエルの秘密も明らかに――。


【小説本文】


三頭蛇ヤントを討伐し、俺はBランク・プラチナという最高峰の魔石を三つも手に入れた。


しかし、古の沼地は未だ深い霧に包まれており、太陽の位置すら分からない。俺たちは焦らず、しかし最大限の警戒を維持しながら一歩一歩前へと進み、数時間おきに休息を取ることにした。幸いにも、沼地に入る前にキングラッドがいくつかの一角ウサギの肉や食用植物を確保してくれていた。それを王女が魔法の火で調理し、俺たちは飢えを凌いだ。


休息の最中、俺はエルフの王女の火傷がすっかり綺麗に治っていることに気づいた。


「自分に治癒魔法を掛けたのか?」俺の問いに、彼女は首を振って答えた。


「いいえ、他者への治癒魔法を自分に施すことはできません。ですが、私の身体は【月の神】の加護により、自動的に自己修復する特性を持っています。傷の深さによっては数日かかりますが……」


彼女は少し恥ずかしそうに微笑み、そして俺を真っ直ぐに見つめた。


「気遣っていただき、ありがとうございます。……あの、お願いがあります。私のことは王女と呼ばず、『アナリエル』と呼んでください」


その表情には、明らかにこのグループの一員になれたことへの喜びが満ちていた。キングラッドもアナリエルに向かって笑いかけた。


「お前がここにいてくれて、俺の傷を治してくれたことに感謝しているぞ、アナリエル」


俺はさらに尋ねた。


「お前は治癒以外の魔法は使えないのか?」


アナリエルは気まずそうに顔を赤らめた。


「……『統率(コントロール)』の魔法が使えます。ですが、実戦になると緊張と恐怖で集中できず、一度も成功したことがなくて……」


「戦場では余計なことを考えるな。集中を研ぎ澄ます訓練をしろ」俺の言葉に、彼女は真剣な顔で頷いた。


そんな会話の途中、再び霧の奥から不気味な地鳴りと戦闘の音が響いてきた。俺たちは即座に武器を構え、臨戦態勢を取る。霧を割って、何かの影がこちらに向かって突進してくるのが見えた。また魔物か、と全員に緊張が走る。


俺は**【鑑定の魔眼】**を鋭く見開いた。


「いや……魔物じゃない。人間……いや、かなり小柄だ。誰かと戦っている」


「ドワーフか!?」キングラッドが叫んだ。「リュウガ、助けに入るぞ!」


音のする方へ駆け抜けると、そこでは数匹の沼地トカゲ(爬虫類型の魔物)が、巨大な戦斧を振り回す一人のドワーフを包囲していた。


「死ねぇ! 沼の芋虫どもがぁ!」ドワーフは猛烈に斧を振るっていたが、多勢に無勢で傷を負っていた。


俺は即座に『隠蔽魔法』と『絶対速度』を同時に発動した。影と化した俺の身体が霧の中を滑り、気づかれる間もなくトカゲどもの首を次々と刎ねていく。奴らはすべてDランクの雑魚だった。


俺の速度が早すぎたため、ドワーフはまだ「ぶっ殺してやる!」と叫びながら虚空に向かって斧を振り回していた。しかし、周囲の魔物が一瞬で全滅していることに気づき、呆然と動きを止めた。そして、自分の前に二人の人間と一人のエルフが立っているのを見て、戦斧を構え直した。


「幻覚か……!? こんな呪われた沼地に人間が来るはずがない! それに、人間とエルフが一緒にいるだと? 舐めるなよ魔物め、化けの皮を剥いでやる!」


どうやら、俺たちを沼の魔物が見せた幻影だと疑っているらしい。確かにこの世界の常識では、人間とエルフが共闘するなどあり得ないことだ。俺たちがいくら本物の人間だと説明しても、頑固なドワーフは聞く耳を持たなかった。


そこでキングラッドが苦笑しながら一歩前に出た。


「おい、頑固者のドワーフ。俺たちの拠点には、香ばしく焼き上がった一角ウサギの極上ステーキがある。幻かどうか、その腹で確かめてみたらどうだ? 嘘だと思うなら、食った後にその斧で俺たちの首を撥ねればいい」


空腹と疲労の限界だったドワーフは、ウサギの肉という言葉に激しく喉を鳴らした。


「……フン、いいだろう。もし肉が幻だったら、全員叩き切ってやるからな!」


拠点に戻り、焼き立てのウサギ肉を口にした瞬間、ドワーフの目が丸くなった。


「う、美味い……! 本物の肉だ! お前たち、本当に生きている奴らだったんだな!」


豪快に笑いながら肉を貪り食うドワーフを見て、俺たちもようやく息を吐いた。


腹を満たし、十分な休息を取った俺たちは、4人で古の沼地を突破するための最後の行軍を開始した。ドワーフの強力な戦斧と、俺の魔眼、キングラッドの経験、そしてアナリエルの治癒力が合わさり、道中の魔物を寄せ付けることなく進んだ。


そして――霧が徐々に薄くなり、目の前がパッと開けた。


頬を撫でる、冷たく心地よい本物の風。目の前には、どこまでも続く美しい緑の広大な大草原が広がっていた。


「抜けたんだ……。俺たちは生き残ったんだ!」キングラッドが感慨深そうに呟く。


ついに俺たちは、生きて戻った者はいないとされる古の沼地を完全に踏破した。そしてその大地の先こそが、人間の大王国――**【アラマンドン王国】**の領土だった。


【システム:クエスト『古の沼地からの脱出』を達成しました】


【次の目的地:アラマンドン王国の国境都市への入場】


新たな世界の光を浴びながら、俺たちの真の冒険がここから始まろうとしていた。





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