1-2. 「奇岩の導き」
第二章 奇岩の導き
「しまった…」
天地郷を旅立ってから2日後の朝、ノイシュは少しだけ後悔していた。世界の人々を見て回る為、海路ではなく陸路を選択したノイシュであったが、天地郷から最も近い隣国に辿り着くためには、その間に延々と広がる奇岩地帯を抜ける必要があった。
天地郷の存在を知らない人々は、この一帯を奇岩地帯と呼び、独特な模様のドーム状の岩が林立する広大な土地である。過去にはここに居住していた人々もいたようだが、天地郷の先祖たちは上手く彼らを追い払い、今では無人の自然地帯となった。確かにこの、星の奇跡とも言える広大な自然の奥に、多くの人々が暮らす隠れ里があるなどほとんどの人は思いもしないだろう。
その幻想的な奇岩を一目見ようと訪れる人々も多い。この奇岩地帯と隣接する都市ラルサはその観光客たちからの収益で発展しており、この地帯の入り口付近は時季によっては多くの人々でにぎわうこともある。
ノイシュも、当然天地郷で学んだ資料で、この奇岩地帯の広さは知っていたのだが、実際に歩いてみると悪路に加え立ち塞がる岩々による視界の悪さなど、思っていたよりも越境に時間がかかってしまっていたのが現実である。
「半日ありゃ抜けられると思ったんだけどなぁ…」
およそ数十kmに渡る広大な岩石地帯。いかな悪路とはいえ山道程度であればノイシュの身体能力があれば、100kmほどあったとしても半日で突破することも可能であるだろう。だが、立ち並ぶ無数の岩により進行ルートが狂い、一旦迷ってしまったあと中々正規のルートに戻れず、結果として大きな足止めを食らうことになった。
「ま…こういう失敗も経験の内か。」
過ぎた失敗に捉われても仕方がない、気持ちを切り替え歩く足を速める。資料によれば、恐らくあともう数刻で岩石地帯を抜けられるはずだ。
起伏のある道も終わり、平坦な砂地が続き始めている。前を見ると、ようやく森が見え始め、ノイシュは安堵した。
(…!?)
と、そこに、前方から赤い髪の女性が弓を携えながら近づいてくるのが見える。
(…一人?賊…にしては目立つ。だが、強いな…)
赤髪の女性の歩き方から瞬時に実力を見極め、ノイシュは警戒を強めた。女性とノイシュとの距離が縮まっていく。すると、不意に女性の後方から大量の弓矢が女性に向かって放物線状に放たれた。
「っ!?おいっ!!!後ろ!!!」
思わずノイシュが叫ぶ。瞬間、それに気づいた女性は後ろを見ず斜め前方に向かって走り始めた。
即断―
もし後ろを振り返ってから回避を始めれば、恐らく弓矢を全て躱しきることは出来なかっただろう。背後からの人の気配が無い以上、確かにその攻撃は弓矢を始めとした飛び道具に限られる。ならば、着弾地点を少しでもずらすべく行動するのが最善である、が、それを一瞬の内に行えるのはよほどの実戦経験がないと不可能だろう。
ノイシュは赤髪の女性に感心すると同時に、自身も彼女の近くに走り寄る。
「大丈夫か!?」
ノイシュの近くまで走った彼女は、そこでようやく振り向き、地面に少し手を添え砂埃を上げながら減速する。
ザザザザザッ!!
「ええ!ありがとう、助かったわ!」
ノイシュは腰に携えた剣を右手で抜き放ち、左手には小型の円形盾を構える。女性は手に持っていた弓を構え、一瞬の内に矢を番えた。その直後、再び大量の弓矢が二人をめがけて放たれた。
ノイシュは一歩前に出て、剣で弓矢を斬り払い、鉄鎖で編まれたマントを翻す。天地郷で徹底的に修練した卓越した剣技により、弓矢は彼らの身体を傷つけることなくすべて叩き落された。
一方ディアドラは放たれた弓矢を見て弓を構えたまま軽くバックステップをし、敵の矢の射程外に出ようとする。彼女自身が抜きん出た弓使いであるため、一度見た軌道の弓矢の着弾点は瞬時に理解できる。ましてや真正面から距離を持って山なりに放たれた矢など、彼女にとっては子供が投げる毬のようなものだった。
見極めたギリギリの射程外、それはノイシュとディアドラが現在いる位置からたった二歩後退した分の距離。と、同時にディアドラが弓を放つ。
一射三弓―
弓を弾く動作は1回だったが、同時に3本の矢を繰り出した。
数瞬の後、遠く離れた茂みから叫び声が聞こえた。どうやら彼女の弓は賊に見事命中したようだ。
ガサガサッ
弓を放つ構えを維持したまま、茂みから姿を現した集団が近づいてくる。集団のやや後方にいる、太鼓腹が目立つ男は剣を持っているが構えはせず、下卑た笑みを浮かべている。どうやらその男がリーダー格であるようだ。元々何人いたかはわからないが、彼らは9人いた。
リーダー格の男の余裕の笑みからすると、弓矢が命中したのはごく少数のようである。数的な優位を確信しているから、余裕の表情で接近してくるのだろう。
恐らく今赤髪の女性が矢を放てば、もう何人か数を減らすことができるはずだ。だが、彼女はそれをしない。その理由はノイシュにはわからなかったが、この女性が完全な味方で無い以上彼女自身への警戒も緩めるワケにはいかなかった。
「腕が鈍りましたかな、ディアドラ様?昔の貴女なら、先程の射撃はもう2,3人減らせていたはずですが…クックック…」
醜悪な笑みを浮かべながら、賊のリーダーらしき人物が近づいてくる。不格好な太鼓腹が、彼が我慢と言うものを知らない男であることを物語っている。
「ダゴンか…まさか尾行されてるとはね、思いもしなかったよ。」
互いに10mほどの距離まで近づいた時、ディアドラと呼ばれた女性がダゴンと呼ばれた男の足元に矢を放つ。
―これ以上近づくな、という無言の警告であった。
それを理解したのか、大仰に掌を前にすくめ、そこで立ち止まった。
「我々は貴女のことなど尾けていませんよ。我々は待ち伏せしていただけです。」
「…誰をだい?」
「ふふふ、護聖ですよ。護聖を殺す為に網を張っていたんです。」
冷たい風が吹く。全くの初対面である、見知らぬ集団からの殺害予告を受けても、ノイシュは一切の動揺も緊張も見せず、ただ黙って無反応に努めた。
ここで自分が動揺を見せれば、それは自分の正体を吐露することと同義である。自身の護聖という立場は特段隠すものではないが、この岩石地帯を護聖が抜けてきた、ということが解ることを恐れたのである。
天地郷は初代の護聖の霊力に護られているとはいえ、万が一大規模な捜索が始まったとなると天地郷が発見される可能性が無いとは言えない。この先に何かあるかもしれない、と思わせるだけで天地郷が露見する危険性は飛躍的に上がってしまうのだ。この先には何も無いに違いない、という共通認識を
その他の人々には維持してもらわなければならないのである。
だとすると、少なくともこの場面で自身が護聖であることは、絶対に悟られてはいけない、ノイシュは一瞬の内にそう判断した。
(…成程、この女の弓矢の精度を知っても距離を詰めてきたのは、俺の正体を確認するために会話が必要だったからか…)
そして、ノイシュの警戒はディアドラにも及ぶ。
(だとすると、この女も俺の正体を知りたいということだろう。そうでなければ先程自身を殺そうとしたこいつらを、むざむざ生かして近づけるわけがない。この女の弓のレベルなら、相手より早く射殺すこともできるだろうからな…。つまり、会話をしたいのはこの女も一緒。何らかの狙いがあるということか…?ちっ、揉め事に首を突っ込むべきではなかったか。)
2歩分後ろにいるディアドラを何とか視界に収めたいノイシュではあったが、今この状況での過敏な反応は悪手であることを鑑みると動くことは出来なかった。
(最悪の場合、この女の口も封じないといけないか?気は進まないが…)
ノイシュは、見知らぬ女性であろうと、危機に直面している場面であれば、自分自身の危険も顧みず護ろうとする正義感は持っている。だが、それは必ずしも護聖の使命には優先しない。今この場で自分の正体が露見することは、天地郷を危険に曝すことと等しい。目の前の醜悪な笑みを浮かべる男が善人でないのは明らかだ。そしてこの女も、このような者達と対等に渡り合える時点で同じ穴の狢に違いないのだ。
ならば、故郷を無意味な危機に曝さないよう、この場に居合わせた者は全て口を封じる必要がある。それがノイシュの結論だった。
「そこの男…あなたはディアドラ様のご友人ですかな?」
ノイシュが一瞬の内に思考を巡らせている間に、ダゴンからの追及が始まる。問答などする間もなく全員切り伏せたいところではあるが、問答を無視しノイシュから斬りかかったとなると、結局自分が護聖であることを語っているも同然だ。そしてなにより、ディアドラが引いたこの10mという距離が会話をするための距離として、また戦闘を開始するのを躊躇わせる距離として絶妙であった。
敵の敵が味方とは限らない。さきほどのディアドラの腕前を見るに、万が一彼女がノイシュと敵対する目的を持っており、彼らと同時に相手取ることとなった場合口を封じるのにかなり手間がかかってしまうだろう。恐らくノイシュが負けて死ぬことは有り得ないだろうが、逃亡者を一人も出さないとなると話は別である。
彼らの関係性を見る限り、ディアドラが賊を助けることはなさそうであるが、ディアドラ自身が逃亡するために弓を使いつつ、彼らを肉の盾として使った場合、取り逃がすリスクは低くないだろう。先程の俊敏な走りを見る限り、一度距離を取られたら弓という武器も相まって捕縛はかなり難しくなるに違いない。
そして、ノイシュがディアドラに警戒を解いていないのと同様に、ディアドラもまたノイシュに警戒を解いていないのは自明の理であった。
(…仕方ないな)
「こんな綺麗な女性がアンタみたいな肥満野郎に襲われてるのに手助けしない奴なんて男じゃないだろ?脳にも脂肪が溜まってるのかい?」
女性を助ける好青年を演じることで追及を交わすことに決めた。
「おやおや?最初の時あなたには我々の姿は見えていないハズですが…」
「姿が見えないと助けちゃいけないってか?やっぱり見かけ通り下衆だね、アンタは。」
論点をすり替え、相手を煽ることで相手が逆上し、問答を終わらせて襲いかかって来ることを期待した挑発であった。自分から戦闘を仕掛けられないなら、相手から仕掛けてもらう。身を守るために剣を振るうのは全く不自然ではないだろう。
二人のやり取りにじっと聞き耳を立てているのがディアドラである。
彼女自身も護聖を探している以上、万が一彼が護聖だったらとてつもない幸運であると言える。だが、もし違った場合――
具体的には、この男がバアル側の手の者だった場合は話が180度変わる。
この大陸南端の辺境の地に、これほどの剣技を持った剣士が偶然居合わせる、ということ自体がまずあり得ない話である。
そもそも、ここから先にはおよそ数十kmに渡り、広大な自然しか広がっていない事は数々の文献により証明されているのだ。そこに、たまたま自分と、凄腕の剣士、そしてダゴン達が居るという、この組み合わせ自体を、偶然だと安易に結論づけるほど間抜けでもない。
(辺境の地だから危険も無いと思って一人で来たのが仇となったわね…油断してたわ…)
ディアドラの脳裏に、銀髪の鋭い目つきの男性の姿が思い浮かぶ。
(バアル…あの男なら、私が護聖の助力を得ようと動くことを予期してる可能性はある…「アガデのロード団」の手の者か…?)
ディアドラも戦闘能力では人後に落ちない自負があるが、油断した瞬間にこのレベルの剣士に不意を突かれたらまず勝ち目がないだろう。
先程、背後から迫る弓矢への警告に対して感謝を伝えたが、実際のところディアドラ自身は背後の伏兵の存在に気づいていた。だからこそ茂みに隠れている賊に、弓を命中させることが出来たのである。
だが、眼前から歩いてくる男を視界に捉え、その男の姿勢や歩き方からかなりの強者であることが伝わってきた。護聖であるなら大当たりだが、敵だったら大層危険である。その伏兵との関りを明らかにするために、あえて油断を見せて誘ったのであった。
万が一あの瞬間、この男が何も叫ばなければディアドラは即座に弓矢をノイシュに向けて放つつもりでいた。どれほどの手練れでも、抜刀をしていない状態で、背後から攻撃を受けている女からの、突然の神速の一射を完璧に交わしきれるものではない。
(あの男を除いて…だけどね。)
危険な賭けではあったが、彼は少なくともディアドラを助けようとした。もしバアルの手の者だったならば、あの時そのまま襲い掛かってきたはずだ。確実に始末をするために、ディアドラ自身に取り入って油断させてから殺す、という危険も考えられるが、その可能性はほぼないと思われた。
だが、現時点ではまだ警戒は解けない。それほどにノイシュの腕前は、この辺境の地にそぐわない物だったのだ。
そして何より、万が一この男が本物の護聖だった場合―この男に何とか協力を取り付けなければならない。今この場でダゴン達の醜悪さを見せつければ、こいつらの危険性を感じて護聖自身の助力を請いやすくなる…!
警戒と期待を同時に持ちながら、ディアドラも一瞬の内に考えを巡らせる。ダゴンとの会話はこの男の手がかりを掴む絶好の機会でもあった。だからこそ、危険を承知でわざわざ彼らを近づかせたのだから―
(確かに今はピンチ…だけど、危機を好機に、 不運を幸運に変えられないなら、あの男を倒すなんて夢物語だわ………!!)
「…なぜこんなところにお一人で?」
ダゴンが続けた。
「旅をしてるんだよ。終末の年に世界が滅んだら嫌なんでね。世界を滅ぼしそうな芽が無いかさがしてんだ。これでも腕には自信があるからな。こんな広大な岩石地帯、何か企んでる悪者が居たら格好の隠れ家だろ?そう思って探索してたんだ。思ってたより遥かに広くて、計画を練って出直そうとしていたところだが…」
虚実を織り混ぜつつ、自身がここに居合わせた理由をさりげなくディアドラにも伝える。粗がある理由なのはノイシュ自身も承知の上であるが、イニシアチブを得る為にも反論は待たず、肩をすくめながら更に続けた。
「大当たり。まさかあんたらみたいなコテコテの悪党が引っ掛かるなんてな。まぁあんたらじゃあ、世界を滅ぼす芽の、種のそのまた花粉程度だろうけど。一応掃除しといた方が良さそうだ。花粉症になる人が居たら困るからな。」
そう言って剣を持つ手に一層力を込める。
(…単純な野郎であってくれよ……)
と、ダゴンの方に目をやると、肩を震わせているのがわかった。ノイシュの予想通り、怒りの沸点は低いようだ。護聖は内心ほくそ笑んだ。
「わかりました…お前が護聖なら殺す、お前が護聖でなくても殺す。つまり殺す。裏切り者のディアドラとこのムカつく小僧…まとめて殺せぇぇ!!」
号令と共に彼の周囲にいた男たちが構えていた弓を放とうとする。が、それより遥かに早く、ノイシュは身をかがめ、盾で頭部を覆い隠しながら、低い姿勢で疾風の如き速さの突進を開始していた。ダゴンの号令はノイシュの掌の上の出来事なのだ。ノイシュは誰よりも早く反応していた。
「ぎゃああああ!!!」
10mの距離を一足飛びに詰め、弓が放たれるよりも早く、一人を斬り伏せる。予想外のノイシュの攻撃に、懐に飛び込まれて慌てた残りの男たちは、ノイシュとディアドラのどちらに狙いを定めるべきか逡巡してしまった。
「遅いっ!!」
咆哮とともにノイシュはどんどん斬り進む。既にダゴンを除き8人いた男たちは3人にまで減っていた。
「な…バ、バカな!?」
その瞬間―
ドシュッ!!!
ディアドラの矢が残りの3人に突き刺さる。ダゴンが号令をかけてからほんの数瞬の後、ダゴン以外の賊は瞬く間に全滅してしまったのだった。
「こ、小僧…その剣の腕…やはり護聖なのか!?」
逃げ腰になりながらダゴンが問いかける。だが、この剣士と弓使いから逃れることが困難であることは、彼がどれほど無能であっても容易に理解できるだろう。
「言っただろ、旅人だよ…」
お前こそ何者だ?何で護聖を殺そうとする?―
本心ではそう尋ねたかったが、この女性の前でそれを聞くのは憚られた。
「ク…ククク、貴様はもう終わりだ…!わ、我々に手を出したのだからな…!いずれ魔徒として粛清される…クククク!!!」
「魔徒…?なんだそりゃ?」
「ディアドラ…貴様も終わりだ。バアル様はもう貴様を殺すよう命じられた!どこに逃げても、我々から逃れることなど出来んぞ!ハハハハ!!」
ドッ!
ダゴンの負け惜しみが終わらない内にディアドラの矢がダゴンの頭を貫いた。
――――――――――――
ノイシュとディアドラは、互いの得物を仕舞い、お互いに敵意が無いことを示してから会話を始めた。
「ありがとう、助かったわ!えっと…」
ディアドラが御礼を述べ、名前を尋ねる。
「ノイシュだ。あんたは、ディアドラ…でいいのかな?」
「そっか、改めてありがとうノイシュ。私はディアドラ、ディアドラ・ネッサ。よろしく!」
ディアドラが差し出した右手をノイシュも握り、握手を交わす。
「礼はいいよ。さっきも言ったけど、こんな奴らに追われてる女性を助けるのは当たり前のことだ。まぁ、手助けがなくてもディアドラなら切り抜けてただろうけど。」
ノイシュの本心だった。今思えば、この赤髪の女は恐らくあの集団に気付いていたのだろう。
「それでディアドラ。どうしてこんな危なそうな奴らに命を狙われているんだ?」
鎧に着いた返り血を拭いながら尋ねる。
「言えないわ。言えばあなたに更に危険が降りかかるかもしれないもの。あなたは旅人でしょう、ノイシュ?助けてくれたのは礼を言うけど、進んで首を突っ込む問題ではないと思うの。」
「こいつが言ってた魔徒ってのが気になってね…こいつらだけじゃなくて、何か組織的な目的があって動いてるんじゃないのか?もしこいつらの背後に、何らかの危険集団が居るなら、話を聞いとかないとむしろ危険だと思う。まぁアンタが話したくないなら仕方ないけどな…」
これもノイシュの本心である。もし彼らの背後に潜んでいる組織が終末の年に関係しているなら、護聖として見過ごすわけにもいかない。ディアドラの情報は貴重なものである蓋然性が高いだろう。
しばし考え込んだあと、ディアドラが険しい顔で答えた。
「…確かに、あなたの言う通りね。ただ、正直私も、あなた程の腕の剣士がなんでここに居たのか正直気になってる。お互い情報交換しない?」
ノイシュも快諾し、二人は最寄りの街へ移動することとした。
「あっ、でも、ちょっと待って。」
「わかってる、彼らの死体の埋葬だろ?」
死者への悼み―
先程まで自分達を一方的に殺そうとした男達である。善人であろうハズがない。にも関わらず、お互いに彼らをきちんと弔おうとする。
単純なことかもしれないが、このやり取りで、ノイシュとディアドラはお互いに相手のことを信頼できる人物であると確信した。




