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閑話 マフィアの首領は非現実的な日常を味わいたい

 ある日、リスカはリルに絵本の読み聞かせをしていた。

 彼女らの部屋の扉を叩く音が耳に入り、リスカは扉を開く。

 その音を立てた人物はクロウだった。


「リスカ、これから任務に行ってほしいのだが……」


 彼が指示を出す。

 彼女はリルを一瞬だけ見て答えた。


「あたしは行ってもいいのですが……首領(ボス)、リルちゃんはどうするのですか?」


 クロウはリスカに彼女の世話を頼んでいたことをすっかり忘れていた。

 彼女が任務に行ってしまうと幼いリルが一人でいることになってしまう。


「あっ……アランは?」

「アランは非番ですよ」

「じゃあ、バイデンは?」

「バイデンだとリルちゃんが嫌がると思うのですが……」

「バイデンさんは嫌いです……」

「ほら!」

「……リスカさん……」


 彼女はリスカに「行かないで!」と訴えかけるように、ギュッとチャイナドレスの裾にしがみついてきた。

 彼とアラン、リスカは懐いてくれるが、バイデンだけ(・・)は懐いてくれないリル。

 よって、クロウが彼女の面倒を見るしかないということが明らかになった。


「仕方がない……今回は私が面倒を見るか……」

「それしかないみたいですね。首領、すみませんが、お願いします」

「分かった。リスカの任務が終わるまで預からせていただく。リル、おいで」

「あっ、ルームキーをかけるからリルちゃんは忘れ物はない?」

「はい、ないです。リスカさん、気をつけて行ってらっしゃいませ」

「行ってきます!」


 リスカを見送ったあと、彼らは首領執務室へ向かうと秘書官と構成員が待機している。


「首領、リル嬢と一緒なのですね?」

「今日はリスカが任務に行っているからその代理だ」

「そうなのですね」

「ああ。普段、経験できないことをリルにやらせてあげたくてな」

「なるほど!」

「それはいいですね!」


 クロウは背もたれつきソファーに腰かけ、リルを膝の上にのせ、頬ずりしながら「リルはなにしたい?」と問いかけた。

 頬ずりされたり、左右に伸び縮みされさりしてフニャフニャになっている彼女は「やめてくだひゃい」と呟く。

 彼はその呟きが聞こえていたのか「すまない……」と言い、一旦悪戯(いたずら)(?)を止めた。


「わたしはお買い物に行きたいです!」

「ほう。一緒に行こうか」

「首領、今から行くのですか!?」

「そうだが。いけないのか?」

「いけなくはないのですが……もし抗争勃発等が起きたらどうするのですか?」

「それは……」


 まるで小動物をあやしているようにデレデレになっている彼に秘書官らは現実を突きつけるように問いかける。


「君たちに任せる。以上!」

「「はぁ!?」」

「私も非現実的な日常を(・・・・・・・・)味わいたい(・・・・・)!」

「なーんか聞き覚えのあるタイトルですが……」

「この作品のタイトルみたいなノリじゃないですか!?」

「作品のタイトルで遊んでいるわけではない! 私の本望だ!」

「それは分かっていますが……」

「しかし、ちょっと現実を……」

「いつもリルはリスカやアラン、構成員といることが多いから寂しいし、私だって……私だって、リルと一緒にいたいし、話したりしたいのに……会合とか幹部会とかばっかり!」


 それはクロウの本望であり、本音だ。

 彼が非現実的な日常を味わいたい気持ちも分かる気がする。

 クロウの秘書官や構成員は呆れながらその話を聞いていた。


「あの……首領……?」

「リル嬢が……」

「「引いているのですが……」」


 彼はリルの顔を覗き込むように見ると、引いている表情をしている。


 クロウは彼女に嫌われたと察した時、リスカが任務から戻ってきたのであった。

2026/03/01 本投稿


※ 今回更新分で第一章の「幼少期編」は完結です。 次回更新分から第二章に入ります。

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― 新着の感想 ―
良かった。第一章はあれ以来、不幸なことが起きずに安心しましたよ。 (*´ω`*) 第二章はまた不幸が起こってしまうのか。 それともリルは家族の元に戻れるのか? (´・ω・`) 楽しみに続きをお待ち…
クロウ〜!!(ToT) あなたも苦労するね〜…クロウだけに…w せっかくリルちゃんとの二人きりの時間がぁ〜(ToT) リスカ仕事早すぎ〜!w もう少しデレデレのクロウも見てたかったですw
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