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50 魂
この話は知人の神主から聞いたもので、お参りに来た氏子さんが話したことだという。
時期はつい最近のことである。
今回は氏子さんの言葉をそのまま記す。
ちなみにこの方はご高齢で、数カ月前に最愛のご主人を病気で亡くされている。
あんなあ、先生。
うちんひとが亡くなるとき、そりゃあ不思議なことがあったんで。
あん人、長いこと入院してたやろ。
そん日、病院に洗濯物を取りにいって、家に帰ったのが夜になってしもうたけど、あんひとの下着とか浴衣とか洗ったんよ。
夏やから夜でも乾くと思うてな。
外に干して、家にもどろうとしたときやった。
浴衣の袖んところがゆらゆらゆれて、うちん腕や体にしきりにまとわりつくんよ。
風なんか、ぜんぜんなかったのによ。
おかしいなあって思うたけど、ようわからんままもう一回ちゃんと干し直してな。
それから家ん中に入ったとたん、病院から電話があって、心臓マッサージしよるんで、はよ来てっち言われて……。
そんとき、うちは「ああ」ち思うたんよ。
あれは、あん人がしたことや。
魂になってあんひとが飛んできて、うちになんか伝えたかったんやろうてな。




