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奇聞集  作者: keikato
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49/79

49 霊媒師

 この話は知人女性から聞いたもので、彼女の父のお姉さん、つまり彼女からするとおばさんにあたる方のことである。

 昭和二十年前後のことらしく、彼女が子どもの頃に祖母がよく話していたという。


 そのおばさんは長崎に嫁いだのだが、初めての子だった娘を産んでまもなく、原因不明の病気となり他界してしまう。

 夫は娘を不憫に思い、とてもかわいがって育てていたのだが、その娘も幼くして、やはり原因不明の熱病に冒されてしまった。

 床に寝ついた娘が、やがて天井を指さして言うようになった。

「おかあさん、おかあさんがいる」

 当然、父親の目には見えない。

 そんな日が一週間ほど続き、その娘は眠るように息を引きとった。


 原因不明の病という不幸が続いたことで、彼女の祖母はお祓いをしてもらおうと、知り合いの霊媒師を訪ねたそうだ。

「霊媒師ですか?」

 私の問いに、彼女が苦笑いをして言う。

「はい、昔はよくお願いしていたようです。ずいぶん田舎でしたから」

 当時の彼女の田舎では、当たり前のように霊媒師を頼っていたのだと……。


 不思議はこれからである。

 そのとき霊媒師は、祖母の顔を見るなりこう言ったそうだ。

「お亡くなりになった娘さんのことですね」

 娘が死んだことは話していないのにである。

 祖母がおどろいてうなずくと、霊媒師はさらにこう言い添えたという。

「娘さんは幸せにしていますよ。今はあの世で、お孫さんといっしょにですね」


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