49 霊媒師
この話は知人女性から聞いたもので、彼女の父のお姉さん、つまり彼女からするとおばさんにあたる方のことである。
昭和二十年前後のことらしく、彼女が子どもの頃に祖母がよく話していたという。
そのおばさんは長崎に嫁いだのだが、初めての子だった娘を産んでまもなく、原因不明の病気となり他界してしまう。
夫は娘を不憫に思い、とてもかわいがって育てていたのだが、その娘も幼くして、やはり原因不明の熱病に冒されてしまった。
床に寝ついた娘が、やがて天井を指さして言うようになった。
「おかあさん、おかあさんがいる」
当然、父親の目には見えない。
そんな日が一週間ほど続き、その娘は眠るように息を引きとった。
原因不明の病という不幸が続いたことで、彼女の祖母はお祓いをしてもらおうと、知り合いの霊媒師を訪ねたそうだ。
「霊媒師ですか?」
私の問いに、彼女が苦笑いをして言う。
「はい、昔はよくお願いしていたようです。ずいぶん田舎でしたから」
当時の彼女の田舎では、当たり前のように霊媒師を頼っていたのだと……。
不思議はこれからである。
そのとき霊媒師は、祖母の顔を見るなりこう言ったそうだ。
「お亡くなりになった娘さんのことですね」
娘が死んだことは話していないのにである。
祖母がおどろいてうなずくと、霊媒師はさらにこう言い添えたという。
「娘さんは幸せにしていますよ。今はあの世で、お孫さんといっしょにですね」




