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いきなりサキュバス(仮題)  作者: べあ太郎
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序章の序章

初投稿ですリーダーからライターへ。

 MMORPGをすると必ず女の子のキャラクターで冒険を始める人は多いんじゃないだろうか?私は少なくともそういう人間だった。

せっかくの非現実なんだからさ、お人形ごっこと呼ばれてもいい、かわいいキャラクターを自分の意思で動かすのが醍醐味だろう?


 少なくとも色々なゲームをやっている時はそう思っていた。目の前の悪魔と話すまでは・・・



 気が付くと少し光が届く深海のような場所にホテルのローブを着たまま座り込んでいた。床はウォーターベッドのように柔らかく、優しく私を包んでくれている。


 何故こんな所に自分がいるのだろうか、私は近所のラブいホテルにお気に入りのキャロちゃん(源氏名)を呼び大人の遊びを楽しんでいたはずなんだけど…

やることやってすっきりハッピーなところでいつも通り、キャロちゃんの染め過ぎてダメージのかなり入った偽ブロンドを撫でながらピロートークに華を咲かせて……それから寝ちゃったんだっけ?


 あれ、おかしいぞと思考を巡らせていると、ふいに目の前の床が怪しく揺らめき、まるで逆再生のように半透明の人型を作り出した。


 『こうなる予想も少しは出来ていただろう?あるいは理想であったと言うべきか。』


 いきなり目の前に出て来たスライム?さんが尊大な口調で私に言葉をぶつけてきた。

そもそもこうなるってなんだ?今の私の状況を解っているなら説明くらい最初にしてくれてもいいんじゃないかな?言葉の足りない上司かな?と思っていると空気を読んでちゃんと説明を始めてくれた。


 『理解が出来ておらんようだから説明をしてやろう、まずお前は今現在死の淵を彷徨っている。ローブを脱いで裏側を見るが良い。』


 ふむふむ、言っている事は全く理解できなかったがとりあえずローブを脱いでみる事にした。勿論脱いだらすっぽんぽんだ、毛深めな見慣れた自分の体が見える。

脱いでローブの背中側を見るとなるほど、2センチほどの細長い穴、黒色に近い赤が行儀悪く散りばめられている。

これは刺されているって事でいいんでしょうかね?


 『その通り、あの女との会話が終わり部屋の扉を開けた瞬間だ。見事なものであった、袋から出した刃物で肋骨の隙間から一刺しだったな。』


 笑っているような雰囲気で目の前のスライムは答えてくれた。

……しかしやはりメンヘラであったか。外さない左手の包帯や入れ墨、聞かずともわかる特徴が多くある子だった。だからこそかわいいとも思っていたし、救ってあげたいという騙されやすい男の気持ちがなかった訳では無い。


 『冷静だな、尤もまだ理解が追い付いていないだけかも知れぬがな。状況が飲み込めたところで本題に入ろう。』


 あぁ、死神とかそういう系のスライムさんだったんですね。こんな一個人の所までわざわざなんかすいません。恐縮です。


 『そういう系で一括りにされては困るが、まぁ、よい。お前に解り易く言うなれば悪魔、という所なのだろうな。契約して魂を取る。そういった存在だ。』


 『結果から言うとお前はすぐに死に、この場所からも消え別の場所へと転生する事になる。我は契約に従いお前の元へとやって来たわけだ。』


 ちょっと待ってください。私契約とかそういうのは車のローンとか保険とかしかないはずなんですが、いつの間に契約を結ばされたのでしょうか?正直思い当たる節がこれっぽっちも無いんですが。


 『然り。我とお前は契約を結んでいないのだから当然だな。我が契約したのはお前がキャロちゃんと呼んでいるあの哀れな娘よ。』


 どんどん頭が追い付かなくなってきた、なんであの子との契約で私の所へ?


 『それが本題だ。我があの娘と交わした契約の内容なのだが』




 「タカネさんと一緒に死にたいの。でもでも、タカネさんはすっっっっごく優しい人だから幸せになって欲しいの、どうしたらいいのかな?」


 『簡単な事よ、タカネとやらは来世で幸せになれば良い。無論、娘、お前の魂は完全に無くなる訳であるから一緒に死ぬ所までしか面倒は見れんがな。』


「それでもいいの、私はタカネさんと最後まで一緒にいられればそれだけで幸せ。下らない人生だったけど、最後に幸せだって言えるわ。」


 『その願い、聞き入れよう。好きにするが良い、後の面倒はこちらで見ておくからな。』





 『その後今に至るというわけだな。阿呆な娘であったが一途であったな。優しさとかいうのに触れるのが遅すぎた結果であろうな、まぁもう全て終わってしまったがな。』


 ……いつ悪魔を呼んだのかとか、どうして呼び方を知ってるんだとか、幸せの作り方なら色々な方法があったじゃないかとか。様々な考えが頭を巡る、ただ今となってはもう全てが遅いという事だけは理解できましたよ。


 『良い、それで良いのだ。お前の完全なる死まではもう時間が無いからな。契約に従い我が幸せになれる転生を考えておいてやった。お前の幸せな瞬間を集めたのだ、間違いなかろう。』


 自信満々に話を進める悪魔系スライム。私の幸せとは一体なんだったか。ゲーム、仕事、ギャンブル、タバコ、セックス。残念ながら彼女とか守るべき家族とかは無いのだがあまりにも有りすぎる。それを一体どうしてくれると言うのだろうか。そもそも私の要望も聞いてほしいのだが。


 『人間ごときの思考と我々悪魔の思考を同じにするな、お前の要望は聞く気にもならぬ。完全に形を持った幸せがお前を待っているだろう。ではな、もう会う事もなかろう。』


 悪魔の言葉が終わると同時に体が下へと沈んでいく。もうちょっと話聞いてくれても良かったのにな、と思わずにはいられない。そういえば結局キャロちゃんは幸せになれたのだろうか。もし、彼女の理想通りとなったのならそれだけで私は……


 完全に体が沈み切ると思考はそこで一気に途絶えてしまった。

 

 ここから私の異世界転生生活が幕を開ける事となる。


次回まだプロローグ

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