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プロローグ

公式主題歌 ➡ https://youtu.be/R1m5Y_FCjAc


【TikTok】https://www.tiktok.com/@kazuki6400/video/7622282250914254096?is_from_webapp=1&sender_device=pc&web_id=7588754456154867221



 東京、恵比寿。


 看板もない、会員しか入れないその店で、一番安いステーキでも5万円はする。


 氷室(ひむろ) 剛(つよし)、65歳。独身


 俺は今、その肉の脂をゆっくりとかみしめている。


 口のなかに広がる、とろけるような肉のうまみ。


 最高級の赤ワインをひとくち飲んで、俺はスマホの画面をタップした。


「今月の売り上げが目標にいってないな。お前、明日から会社にこなくていいぞ」


 たった数回のタップで、使えない社員をクビにした。


 ため息をつく暇もない。無能なやつらに払う給料ほど、無駄なものはないからな。




 石川県の能登で、冷たい雨にうたれながら、泥水をすすっていたあの頃……。


 あそこから這い上がってきた俺は、今や王様だ。


 すべてをお金で支配できる。




 だけど……。


 少し硬い肉のスジをかんだとき、奥歯にツキッといやな痛みが走った。


「……チッ。この身体も、そろそろガタがきているな」


 どんなにお金をかせいでも、「老い」だけはどうにもならない。


 最近は、ベッドで女を抱くのも面倒くさくなってきた。


 夜も、昔みたいにぐっすり眠れない日々が続いている。


 俺の完璧な人生に、こんな不具合(バグ)は許されない。


 新しい「身体」がいる。


 効率よく仕事ができて、老いる事のない、最強のパーツが。




 だが、この時の俺は、まだ知らなかった。


 たった1億円の「安物」を選んでしまったせいで、この大好きなステーキの味が、二度としなくなるなんて事を。


 そして、「死ぬ事」すら許されない、永遠に眠れない地獄が始まる事を。



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