異世界召喚05
男の騒ぎに村人が1人、また1人と集まってきたが、皆耳が獣系の耳だった。それに皆白髪交じりや明らかに老人と言った者たちであった。
すると人垣の後方から「ぐぅぅぅ!!」と大きなおなかの音がして、村人は後ろを向き大声で笑いだした。
「すみません。何か食べる物を貰えますか?」
と聞き覚えのある声がしてそちらを見ると、服装はこの世界の服装だが、黒髪黒目で小さいころから見知った顔がそこにあった。
「トット~マ?」
・・・・・・・・・・・・・・・
俺はお腹の音が盛大になったのが恥ずかしかったが背に腹は代えられないと思い、村人たちに声を掛けると、奥から俺の名を呼ぶ声がしたのでそちらを見ると、黒髪のポニーテールをしたミコトがいた。
「ミコト?お前ミコトか?」
俺がその女性の名を口にしたとこで、ミコトと相対していた男が
「あっあんちゃん!この娘っ子の知り合いか?だったらどうにかこの娘っ子を落ち着かせてくれ!なっなっ飯さ奢ってやるからなっ。」
俺は2人の前へ行きミコトに向かって
「何があったんだ?」
ミコトは俺の言葉に警戒を緩め
「迷い人がどうとか言ってきたからつい・・・」
俺は男の方に向いて
「迷い人とは?」
「迷い人ってのは、普段いた場所から違う場所、違う世界に来ちまった人のことだべ。その娘っ子はおらたち獣人族を見たことね~べから違う世界の娘っ子だと思ってただ声さ掛けただけだぁ。」
「声を掛けてどうしようと?」
「おら~ただ村長んとこ連れってって、事情を聴いてだなこの世界になれるまでこの村さで住んでもろおうとだな。」
はぁ要するにこの世界になれるまでミコトの世話をしてもらうために村長のとこに連れていく気だったと
話を聞いているうちに落ち着いたのかミコトは安心して警戒を解いていたので、周りに居た村人たちは元の場所へと戻っていった。
目の前の男はガルという名前らしい元冒険者だとか色々教えてもらいながら村長の家へやってきた。
「長!むら~おさ~!」
ガルがそう叫ぶと、家の中からガタゴトと音がして扉が開き、腰の曲がって杖を突いた年老いた獣人族が出てきた。
「ガル!ま~た面倒さ起こしただか?」
ガルは慌てふためきながら
「ちっ違うだよ今回は!」
あ~いつも問題を起こしてるのか・・・
「こっ今回は迷い人2人を連れてきただ。」
村長は俺たち2人を交互に見ながら
「そっただとこじゃ話ぃなんね~だ、さぁ中さ入るだ。」
そう言われたので俺とミコトは互いを見て頷き、村長の家へ入っていった。




