予兆後編
リムたちはクルスのクルス代表議会議長クロトに面会を昨日のうちに打診していて、朝早くからなら面会可能との連絡を貰ったのでクロトの屋敷に来ている。ミリスは緊張した面持ちで
「緊張しますね?」
「あらそう?貴方はビースガルド王国魔法師団長の娘なんだからもっと堂々とした方がいいわよ?」
待合室で雑談をしていると扉が開き、
「いや~お待たせして申し訳ない。」
眼鏡をかけた温和そうな細身のフレアス族の青年が入ってきた。リムたちは立ち上がり
「お初にお目にかかります。ビースガルド王国独立大隊所属リム・ガーランドですわ。」
「同じく自分はミリス・ファーガンであります。」
「これはこれはご丁寧に、私は自由都市クルス代表議会議長クロトです。そのままお座りください。」
そういってリムたちの向かいにクロトは座った。リムたちも促されソファーに座った。
「今回はどういったご用件で?何か人を紹介してほしいとか?」
「はい。此度の亜人王復活の報に対して天魔王ルディス様にご相談したいことがございまして・・・」
「私にルディス様へ取り次いでほしいと?」
「そうしていただければと。」
クロトは考え込んでいた・・・どこまで話していいものやら・・・黙っているクロトにミリスが
「何か問題でも?」
「うむ。私は昨年代替わりしたということもありますがルディス様への直接の連絡手段を持っていないのですよ。勿論住んでいる場所もね。」
「それはどういうことでありましょうか?我が国の・・・正確には父様からですが聞いていたことと違うのでしょうか?」
リムが聞いたことをクロトが話説明を求めた。それに対してリムが簡単に説明すると
「確かにクルスは天魔王様の庇護下にあり、またそのためにある国です。」
「なら!」
リムは声を荒げテーブルを叩いた。
「落ち着いてください。なぜ私が昨年代替わりをして議長になったと思いますか?」
「分かりません。」
クロトは暫し考え込み、
「ここからの話は、他言無用でお願いします。」
「ええ分かりました。父様の名に懸けて誓いますわ。」
「自分も国の名誉にかけて誓います。」
「分かりました。実は昨年天魔王様が代替わりしたために、古きおきてに従い議長も代替わりしたんです。」
「ではルディス様には連絡できないと?」
「そうなりますね。」
リムはその言葉に肩を落とした。
「それでは現天魔王様にならとれるのでは?」
ミリスは藁にも縋る思いで尋ねた。
「それならば可能です。まぁ代理の方になりますが。」
「それで構いません。お願いできますか?」
リムは何としても任務を遂行したかったために必死でお願いすると
「いいでしょう。手紙を書きますので、それをここより西に4日ほど行ったところに天魔の古城があります。そこの城主代行のリリア様に渡せば天魔王様に連絡を取っていただけると思います。」
リムたちはお礼を言って手紙を受け取り、屋敷を後にしようとしたがクロトが今日商隊が出るのでそれに自分の名を出せば一緒に連れて行ってもらうことが出来ると言われ屋敷を後にした。




