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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

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71 フルフトバールで魔獣狩りだぁ! そのじゅういち

 ともかくイジーの恋は、前途多難ではあるんだけど、抜け道が、ないこともないって感じだなぁ。

 特にヘッダ。

 あの子絶対何か企んでるはず。

 自分の恋だって諦めないよ。


「イジー。取り合えず、戻ったらヘッダともお話ししようね?」

 ヘッダからも言われたんだよね? 好きな子ができたら教えてほしいって。

 そのことを思い出したのか、イジーははっとした様子を見せるのものの、頷きはしなかった。

「言いたくない? でも約束したんだよね?」

「それは、そうなんですが、でも……」

 イジーは大々的には発表されていなくても、自分の婚約者はヘッダであるから、ヘッダをその地位から降ろすことに拒否感があるみたいだなぁ。

 でもそれは、ヘッダに恋心があるからじゃなくって、単純に、アレと同じことをしたくないっていう強迫観念に近い。


「んだよ。イジーはヘレーネのことが好きなんだろ? それなのにヘッダと結婚するつもりか?」

 ムッとしながらテオが口を挟んできた。

「イジーの婚約者を好きになった俺が言うことじゃないかもしれねーけど、お前だけの話じゃねーだろ」

 それはそうなんだけどさぁ。


「困ったなー。う~んどう説明すればいいかなぁ?」

 腕を組んで、うんうんと唸ってしまう。

「イジーが一番気にしてるのは、婚姻関係でアレと同じことしたくない、だよね?」

 具体的な名称は出さないけれど、ここにいるみんなは『アレ』が誰のことなのか知っている。

「はい」

「あの出来事で一番ダメだった点はさ、周囲に何の相談もなく、勝手に動いたことなんだよ」

「え?」

 驚きの声を漏らすイジーに、僕は構わず続ける。


「好きな人がフリーになったからって、はっちゃけるんじゃねーよ。どうしても、好きな人を妻にしたいなら、あのおっさんは王族である自分を殺して、新しい人間になった後に婿入りでも嫁取でも、ヒモになるのでも、好きにすればよかったんだ。ただし断種は絶対だけど」

 僕の発言に、ネーベル以外のみんなが、顔を引きつらせる。


「直系王族はあのおっさんしか残ってないけど、他に王家の血を引く人間がいなかったわけじゃないよね? 王朝名、アインホルンになったって良かったじゃん?」

 マルクスが青い顔をした。


「次期国王の立場を手放したくない。好きな女を王妃にしたい。くっだらねー欲を張りやがった結果がこれだよ」

「アル。言葉遣い」

 ネーベルに叱られた。

「だってあのおっさんのせいで、イジーがこうなっちゃったわけじゃん。僕、この件に関しては根に持ってるよ?」


 そして僕はイジーを見る。

「イジーに好きな人ができたことは、喜ばしいことなんだ。その人を自分のただ一人の妻にしたいと、そう願うのも悪いことじゃないんだ。ただし、手順を踏もうよって話。一人で思い悩んで勝手に暴走して、誰にも相談せずにアレみたいなことをしないで、婚約者のヘッダや、王妃殿下や、宰相閣下に頼ろう?」


 あえてアレの名前は出してやらねぇ。

 あんな奴に相談したら、自分の成功譚をこれ見よがしに披露するに決まってんだよ。

 ふざけんな。自慢していいことじゃねーんだからな!


「イジーは何が気になる? 心に引っ掛かってることは何?」

 僕がそう問いかけるとイジーは、一点を見つめ何か考えこんでいる。

「心に引っ掛かってること……、ヘッダの将来を壊してしまうこと、だと思います」

 何か言いたそうな顔をするテオを押さえて、僕はイジーを促す。

「ヘッダの将来ってどの将来?」

「王妃となる、立場、でしょうか?」

「んー、イジーは、ヘッダが王妃になりたいと思っているのかな?」

 するとイジーは首を横に振る。

「俺の婚約者になったということは、ヘッダは未来の王妃として、努力をしているのだと、思うんです」

「それは王妃教育のことかな?」

 今度は首を縦に振る。

 イジーの婚約者になってから、ヘッダが厳しい王妃教育を受けていて、その努力を無駄にしたくないって、思ってるのかな。


「イジー……、ごめん。ヘッダはたぶん、王妃教育、受けてない」


 僕の言葉に勢いよく顔を向けてくる。

「この言い方だと誤解しちゃうから、訂正する。ヘッダは王妃教育を受ける必要が、ない」

「でも、普通は王太子の婚約者になったらそういう……」

 恐る恐るといった様子で、訊ねたのはリュディガーだった。

「王妃教育ってね、その相手にもよるんだけど、たぶんヘッダだけじゃなくって、伯爵以上の貴族令嬢であったなら……、そんな時間を必要としないんだ。最長でも五年あれば習得できるものなんだよ」

 だって土台ができてるんだもん。

 伯爵以上の令嬢なら、生まれながらにして、高位貴族のマナーは学んでいるだろうし、あとは共通語さえできれば、外交に関しても問題ない。

「いやいやいやいや、ちょーっと待てよ。そんな簡単な話じゃねーだろ?」

 テオが慌てて口を挟んできた。

「イジーの婚約は、国王陛下のやらかしでごたついてたけどさ。通常、王太子になる王子の婚約者ってぇのは、幼少期から決められるだろ?」

「それはそう。だって、早いうちに血統の良い相手確保しておかなきゃ、他に取られちゃうじゃん」

「馬じゃねーんだから、血統とか言うなよ!!」

 いや、馬も王族も、あんま変わらねーよ。


「テオの言いたいことはなんとなーくわかる。王太子になる王子の婚約が、一桁台の年齢で決まった場合、その頃から王妃教育を受けてるって言いたいんだよね?」

「そう!」

「それ嘘。そんなことない」

「アルの母上は?! 早いうちから国王陛下の婚約者になってただろ?!」

「母上が国王陛下の婚約者に決まったのって、学園に入る前だったはず。王家からの打診はされてたけど、マルコシアス家の家訓があったから、ずっと話し合いが長引いてたんだって」

 当時の母上は側近&婚約者選定のお茶会で、国王陛下に一目惚れ状態だったから乗り気だったけど、おじい様筆頭にマルコシアス家の一門は、家訓のこと持ち出して反対しまくってたから、なかなか婚約の話がまとまらなかった。

 だから、『王命』が出たんだ。



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