表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

381/387

69 フルフトバールで魔獣狩りだぁ! そのきゅう

 僕の様子に、ネーベルがちゃんと話を聞けと言わんばかりの視線を向けてくる。

 わかってるよー!!

「兄上?」

 僕の様子を窺うイジーに、できるだけ動揺を隠して、返事をする。

「ちゃんと、覚えてるよ」

 僕自身が、イジーに言ったことだからね。


 あの時のイジーは、まだ恋とか異性に対しての興味が薄くて、だからこそ先が見えない状況に、僕は不安になってた。

 イジーが、周囲の言葉も耳に入らないほど、恋に夢中になるっていうのは、全く想像つかないんだけど、でもそんなことが絶対に起きないとも言い切れない。

 だから、婚約者であるヘッダに不誠実なことをしないようにと、それだけは心に留めてほしいって思ってた。


「俺は異性に向ける好きっていう気持ちが、まだよくわからないです」

「うん」

「でも、とても気になる子が、います」


 そっかー、いるのかー……って、思わず思考を逃避させたくなる。

 だけど、ここでそんなことしたらイジーに失礼だし、それに僕は、イジーのいいお兄ちゃんになりたいから、ちゃんと聞くよ。

 っていうかさぁ、もうそれさぁ、テオと同じなんだよなぁ。

 気になってる時点で、それはさ、その人に対して、特別に心を傾けてるってことなんだよ。


「それは誰って訊いた方が良いかな? それともまだ訊かない方が良い?」

「……訊いてほしいです」

「うん、じゃぁ訊くね? イジーは、誰が気になるのかな?」


 僕、本当はその相手知ってる。

 だって上学部に上がってから、ずっとイジーと一緒に居るんだもん。誰のこと気になるかわかっちゃうよ。

 でも、他のみんなは気付いてないかな? クルト辺りは気付いてるかもしれない。だってこういうことに鋭いよね?

 逆に、テオは直感とか本能は鋭いけれど、こういった複雑な感情には、ちょっと疎いところがある。

 だからイジーが『気になる相手』がいるって知って、そわっとし始めてる。

 イジーの婚約者で、テオが好きだって言った、ヘッダの事か?って。ソワソワ? それともドキドキ? そんな感じでテオはイジーを見てる。


「……ヘレーネのことが、気になります」


 そうだと思ったよー。

 だってさぁ、オティーリエの男性嫌悪症ほどじゃないけれど、イジーは例の乳母のせいで、気が強かったり、積極的にグイグイくる異性に、苦手意識を持つようになってしまった。

 年齢が進むにつれて少しずつ克服してる状態だけど、でも、同級生やクラスメイトに対して、自分から進んで近づいていくってことはない。


 そんなイジーがさ、ヘレーネに何か言われるとすぐに反応するんだよね。


 最初はアンジェリカの婚約者であるフィッシャーの話をしてた時だったかな? その次が学園祭の準備をしてたとき。

 イジーの性格からいったら、反論とか怒りがあっても、表には出さず沈黙でやり過ごすのに、ヘレーネに対しては、我慢できなくなって言い返しちゃうっていうのを見かける。


 そんな感じのことをちょくちょくやってると思ったら、なーんかお互い意識してるような態度を取ったりしてるんだもん。

 そんなの気付くに決まってるじゃん。


 イジーの告白にどう声を掛けようかと思っていたら、先にネーベルが問いかけてきた。

「気になるだけ、ですか?」

 ネーベル~?! やだ、ネーベル。もしかして僕にやったようなこと、イジーにするつもり?

 お願い。その子、異性関係に引っ掛かりがあるから、厳しくしないで! 優しくやってあげて!!


「気になる、だけ……」

 問いかけた言葉を繰り返すイジーに、ネーベルは僕をちらりと見ながら続ける。


「たとえばですが、ヘレーネ様に親しく話しかけてくる男子生徒がいたとします。言っておくけど、ここにいるメンバーじゃない相手ですよ。イグナーツ様が全然知らない相手です」

 ネーベルがそう話し出すと、黙って聞いていた皆の中で、にんまりと笑顔を浮かべる人物が一人。クルトだ。

 クルトもネーベルの話に乗ってくる。

「見たこともないカッコイイ男子。見たことなくっても、ヴァッハとかジュスティス様とか。女子がキャーキャー騒ぎ出しそうな男子ですね。それが親し気にヘレーネ様に声掛けしてくるんですよ」

「ヘレーネは、領地経営科にいるのだから、同世代の繋がりを多く持つに越したことはないだろう?」

 イジーはクルトの話に、いまいちピンッときていない。

「では、イグナーツ様がヘレーネ様と話をしているときに、割り込むような形でヘレーネ様に声をかけて来る男子生徒がいたとします。王子殿下のイグナーツ様にそんな不敬な態度をとる者はいないですが、仮の話なのでそこには拘らないでください」

 再度ネーベルが話し始める。


「その男子生徒は、イグナーツ様の前で、ヘレーナ様に一緒にどこかに出かけないかと、デートに誘ってきたらどう思いますか?」


 次の瞬間、イジーは固まってしまった。

 あぁ、これは想像もしてなかったことを言われて、頭がパーンってなっちゃった感じじゃないか?

「でー……と」

 ほら、片言になっちゃってるじゃないか。

「そんなのっ」

 何か言おうとしたテオの口をクルトが手で塞ぐ。

 余計な口出しするなということだ。

 ここでテオが何か言ったら、こういった感情に対して今まで意識してなかったイジーが、変な方向に誘導されそうではあるんだけど……。


 ても、僕としては。

 王族の立場ではなく、イジーのお兄ちゃんとしては!

 イジーが初めて自分で欲したであろうものを、簡単に諦めてほしくないって気持ちが、あるんだよー!!

 そういうのが難しいのは、わかってる!!

 特に婚姻に関することとかは、好きな人ができましたー。その人と結婚したいですー。が、通用しないのが王族だ。

 そんなの、充分理解してるんだよ。

 でも、でも、いろんなものを背負わされて、自制しているイジーに、一つぐらい自分の希望をかなえたって、いいじゃん。


 イジーはまだ固まったまま、でも動揺は激しく……。

 まるで、初めて自分が欲しいものを意識しているように見えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ