第47話 力付いた
慎吾と希唯依はコンビニ配送車の近くで一か所に固まる脱力状態のゾンビ達を金属バットと木刀で始末すると、頭部が破壊された死骸7匹と血と体液と油塗れの地獄絵図を完了させる。
「ふぅ~2人やとやっぱ楽やね、終わらすの!」
「はいっス、楽っスね」
慎吾と希唯依は地獄絵図と悪臭から逃れる為に距離を開けると一仕事終えて周囲を見渡している、真横では瑠偉ちゃんが地獄絵図を見つめている。
「そしたらさっきと同じで愛車取って来てから俺と希唯依が積み込みのするから・・・その間に瑠偉ちゃんお食事しててね?」
「わ”アァァァか”アァァァた”アァァァ」
『分かった』と呻く、それを聞いた慎吾達は愛車を取りに行きコンビニ配送車まで乗って来る。
「それじゃあ~お待たせしたね瑠偉ちゃん!・・・俺達が積み込みしてる間にお食事どうぞ」
「わ”アァァァか”アァァァた”アァァァ」
『分かった』と呻くと瑠偉ちゃんはゾンビの死骸が転がる血と体液と油塗れの地獄絵図に歩いて行くと一番先に目に付いたゾンビの死骸の前で屈むと凄まじい嫌な音を鳴らしながら両手を器用に使いお食事を始める。
「それじゃあ~希唯依さんや我々はさっさと始めましょうかね・・・」
慎吾は配送車の段ボールの山を見て溜息を1つ吐くと観念した口調で話す。
「はいっス、慎吾の兄貴頑張るっスよ、気合い入れて積み込みするっス」
希唯依は元気一杯に慎吾の目を見て答えている。
「はい・・・希唯依さんが俺には眩しい・・・」
慎吾はそう言うとコンビニ配送車の段ボールを両手で抱えると無言の作業時間が開始する。
「ひゃぁ~終わった・・・1日2回もこんな重労働~俺の腰と体力は死んでまうわ・・・」
愛車の後部座席をコンビニの段ボールで埋め尽くすと慎吾はその場で座り込み呟く。
「はいっス、慎吾の兄貴お疲れっス、これで当面食料関係は大丈夫っス、良かったっスね」
慎吾の横に座ると眩しいテンションで話しかけている。
「・・・ですな、それは嬉しい事やけど・・・まだこの段ボールを部屋に運ぶミッションと、部屋の現在庫の段ボールの移動が待ってますけどね・・・」
玄関前の廊下を圧迫している段ボールの壁を思い出している。
「そうっスね、もう気合いっスね、気合いで頑張るっスよ慎吾の兄貴?」
「・・・はい、おしゃる通りです・・・気合いっス・・・」
それから暫く当然段ボールから拝借した缶コーヒーを飲んで煙草を吸い雑談して瑠偉ちゃんのお食事を眺めていると7匹のゾンビの死骸を完食する。
「おっ!終わったみたいやなお食事、けど瑠偉ちゃんお食事綺麗に食べる様になったな~」
「そうっスね、瑠偉ちゃん姉さんの成長は凄いっスよ」
屈んでお食事して立ち上がった瑠偉ちゃんを見ている。
「・・・んっ!?・・・・・瑠偉ちゃん止まった・・・もしかして・・・・・」
「・・・・・そうみたいっスね・・・」
慎吾と希唯依が察する。すると瑠偉ちゃんの頭部両手両足全身が全て激しく10秒程揺れ始めると『ピタッ』と動きが止まると両腕を前に突き出すと瑠偉ちゃんは両手を凝視する、数秒経つと今度は胸部、腹部、両足を順番に凝視し終わると慎吾と希唯依が座って休憩している場所に歩き出す。
「瑠偉ちゃんおかえり~、もしかして成長した?」
慎吾と希唯依の間に座った瑠偉ちゃんに慎吾は聞いてみる。
「と”ウゥゥゥう”ウゥゥゥか”アァァァな”アァァァァァ」
『どうかな?』と呻く。
「どうかなか?たぶん見てた感じでは瑠偉ちゃん成長してると俺は思うよ!」
「そうっスね、私も瑠偉ちゃん姉さんは成長したと思うっスよ」
同意の相槌を希唯依もする。瑠偉ちゃんは改めて自分の両手を拡げると眺めている。
「まぁ~な、外見は何も変わってないからな~、いつもの事で瑠偉ちゃんはやってみやな分からんのやけどな」
「そうっスね、お肌も白くて綺麗でプニプニで触った感じも変化は無いと思うっス」
『失礼しまっス』と希唯依は一声掛けて瑠偉ちゃんが頷くのを見ると、両手、首筋、頬を指でツンツンしたり摘まんでプニプニして調べているのか楽しんでいるのかギリギリのラインを攻めている。瑠偉ちゃんはされるがまま動かず自分の身体を見ている。
「う~ん、どないして成長の成果を調べるかな?」
慎吾は両腕を胸の前で組むと考える、希唯依はまだツンツンプニプニしているが。
「な”アァァァく”ウゥゥゥる”ウゥゥゥゥゥ」
『殴る』と呻くと瑠偉ちゃんは立ち上がる。
「殴る?どういう事?」
「どうしたっスか瑠偉ちゃん姉さん?」
慎吾は考えるのを止めて希唯依はツンツンプニプニを止めて突然立ち上がった瑠偉ちゃんを見る。そのまま顔を左右に振り目に付いた円筒状の投函口が1つの赤い郵便ポストに向かって歩き出す、ポストの前で立ち止まりペタペタ数回手の平で触り小さな右手を握り締めて少し動いたと同時にコンクリート製の郵便ポストが衝撃音と破裂音を鳴らし粉々にして円筒状の原型を瓦礫にすると、握った拳をもう一度グーパーグーパーして数秒見続けた後に目を上げると慎吾と希唯依の場所に歩いて来る。
「「・・・・・・・・・・・・・・・」」
無言で目で追うだけの慎吾と希唯依の間に何事も無かった様に瑠偉ちゃんは座る。
「ち”イィィィか”アァァァら”アァァァつ”ウゥゥゥい”イィィィた”アァァァァァ」
『力付いた』と交互に2人を見て呻く。
「・・・・・力付き過ぎですけどね・・・知らんけど郵便ポストってめちゃめちゃ硬いんとちゃうの・・・コンクリやし・・・」
「・・・・・ワンパンっスか・・・見えないワンパンっスか・・・瑠偉ちゃん姉さんエグいっスよ・・・」
「こ”オォォォれ”エェェェて”エェェェに”イィィィも”オォォォつ”ウゥゥゥは”アァァァこ”オォォォへ”エェェェる”ウゥゥゥゥゥ」
『これで荷物運べる』と右腕を曲げて力こぶを作るポーズをしながら呻いているがこぶは出来ず白い細い腕のままだったが。
「・・・・・もしかして・・・俺と希唯依だけ段ボール運んでる姿見てて・・・手伝いたいからで今回あんなアホみたいなエグい怪力に成長したって感じなん・・・もしかして?」
「・・・・・まさかっスけど・・・まさかっスけど瑠偉ちゃん姉さん?その為に郵便ポスト1つ破壊してっス、私達に力付いた事知らせたんっスか?・・・」
「そ”オォォォう”ウゥゥゥた”アァァァよ”オォォォ、は”アァァァこ”オォォォふ”ウゥゥゥゥゥ」
『そうだよ運ぶ』と小さく頷いて呻き。慎吾と希唯依の呆然とポカーンと口を揃って開けている姿を見ながら言い切る。
「・・・・・承知致しました。それじゃあ~瑠偉ちゃんにはこれから運んで貰おうかな・・・」
「・・・・・そうっスね、瑠偉ちゃん姉さんもしかして少し寂しかった感じなんっスか?・・・」
「そ”オォォォう”ウゥゥゥた”アァァァよ”オォォォ、さ”アァァァみ”イィィィし”イィィィい”イィィィよ”オォォォォォ」
『そうだよ寂しいよ』と呻く。
「・・・それは、すまんかったな・・・」
「・・・そうっスね、私は気付かなかったっス・・・申し訳ないっス・・・」
慎吾と希唯依は謝りながらも『かわええな~、このゾンビの女の子素直でかわええな~、ええ子や~この子ええ子や~』と同時に頭に浮かんでいた。それからは慎吾は希唯依の先程の瑠偉ちゃんに対してのギリギリツンツンプニプニを羨ましく思っていたのでギリギリなど完全にオーバーしてツンツンプニプニをしまくっている。瑠偉ちゃんはまだ力こぶを作り直すと全くこぶが出来ない白い細い腕を自慢げに必死にツンツンプニプニをしている慎吾と申し訳無さそうな顔の希唯依に見せていた。




