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ゾンビが蠢く世界  作者: ありがとう君
29/58

第29話 待機姿勢

「おかえり~」


瑠偉ちゃんが真紀姉さんを含む3匹のゾンビのお食事が終わり慎吾の横に戻って来る。それから血と体液と油塗れの金属バットを舐めている姿を見ながら『やっぱ瑠偉ちゃんは真紀姉さんやろうがその他のゾンビだろうが死骸は死骸でただの餌なんやな・・・・・まあ俺達みたいな人間には分からん感情やな・・・・・飼ってたペットが死んでも食べる事は無いし・・・ましてや知人や友人が死んでも食べる事は絶対無いからな・・・・・瑠偉ちゃんはゾンビで俺は人間って事で倫理観と道徳観の違いなんやろな・・・・・』と自分流に解釈すると、金属バットを綺麗に舐めた瑠偉ちゃんの汚れている口元と手をタオルで拭く。


「それじゃあ~瑠偉ちゃん、希唯依一旦部屋に帰ろうかな・・・俺も肉体的にも精神的にも疲れたし・・・希唯依は俺以上に疲れてるやろうし・・・希唯依も俺の部屋来るやろ?、何と!?食料もたっぷり有るしお菓子もたっぷり有るしベットも風呂も有るから意外と快適やで、騒音問題も解決したしな瑠偉ちゃん?」


「ウ”ァァァァァ」


『そうだね』と低い声で呻いて答える。


「・・・はいっス、ありがとうっス、勿論お傍に居させて貰うっス」


まだ後ろ姿で拳を握り真紀姉さんの死を消化しきれない希唯依に『そりゃこんな短時間では無理やな』と分かり切っているので最後の方は無理矢理テンションを上げて少しでも気分が変わればと思いおちゃらけて慎吾は話し終える。


「オッケーい!!、勿論お傍に居て貰うよ希唯依にはだって俺のただ1人の舎弟やからな、だからまず最初の命令は部屋に帰って飯食って風呂入ってゆっくりする事、これは守ってもらう」


慎吾は後ろ姿の希唯依に近付くと肩を叩いて話す。


「はいっス、分かったっス、慎吾の兄貴の命令なら絶対守らせて貰うっス」


希唯依は慎吾に振り返ると笑顔で答えている。











「それじゃあ~、帰るよ~」


「ウ”ァァァァァ」


「はいっス、では慎吾の兄貴?この部屋の物資はどうしまっス?」


「う~ん・・・拝借してええの?」


「良いっスよ、扉も壊れて残していてもっス、どうせ誰かに盗られるっスから」


「まあぁ~言われてみればそうやな、そしたら希唯依使えそうな物は全部まとめて拝借しちゃいなさい、俺が許可します」


希唯依の口調も元気が少し戻り、拝借提案にも納得したので『お前の許可なんか関係無いわ』と自分で思ったがテンション上げて拝借合意する。









「慎吾の兄貴、こっちは拝借完了っス」


「は~い、こっちも終わり~」


慎吾と瑠偉ちゃんは部屋の中の使える物を紙袋やビニール袋に詰め込むと扉が倒されている玄関前にとりあえず並べ終わる。


「それじゃ~愛車移動させて積み込んで部屋に帰ろうかな」


「はいっス」


慎吾はそう言うと3人で停車させてる所まで歩きながら『こういう時、誰か1人が愛車取りに行けたらええんやけど・・・残念ながら瑠偉ちゃんは1人やからしゃーないな~・・・まぁ~どっちかが1人の時にゾンビに襲われるよりは3人で行動した方がええかな』と考えながら愛車まで到着する。


「勿論私が運転するっス」


「肉体的、精神的に大丈夫なん?」


「はいっス、全然大丈夫っス」


「じゃ~頼むわ」


希唯依の力強いアピールに素直に従うとエンジンを掛けて発信させて木造アパートに戻り拝借物を後部座席に詰め込む、最後に木造アパートを希唯依は数十秒見つめるとハンドルを握り部屋へと帰路に就く。途中には見慣れた横転して白煙を上げる車両、クラクションを鳴らす車両それに集まるゾンビ、ガードレールに衝突した車両の中の死体を奪い合うゾンビなどを横目で見ながら進む、希唯依はカーナビを見て慎吾の道案内に従いながら、道路に転がるゾンビや人間の死骸や通行を邪魔する事故車を上手に避けて何事も無く団地の階段の前で愛車を停車させる。









「お疲れ~運転ご苦労様でした、それじゃ~荷物持ってマイホームに招待するわ」


「はいっス、それではお邪魔するっス」


拝借した荷物を分配して持ち階段を上り部屋に入り荷物を拝借物スペースの廊下に置くと慎吾はとりあえずリビングのソファーに座る。


「ふあああああああ、やっぱ我が家は落ち着くな~」


両手を上げて伸びをすると勝手に居座ってる家だが堂々と我が家にしてリラックスする。瑠偉ちゃんは隣で座り慎吾を見つめている。


「お邪魔するっス、おぉぉぉ素敵な部屋っスね、私は久しぶりっスこれまでは店舗の2階の休憩所みたいな所で潜んでたっスから、やっと普通の部屋って感じでワクワクするっス」


希唯依は荷物を置いて慎吾の後にリビングに入ると立ち止まり見渡すと嬉しそうな声で話す。


「お~お、そうかそうか!気に入って貰って俺も嬉しいわ、もう希唯依もここが我が家と思って自由に気楽にしてや、さっきも言ったけど食料もお菓子もベットも風呂も有るから好きな時に食べて好きな時に利用してや」


「はいっス、慎吾の兄貴、瑠偉ちゃん姉さん、ありがとうっス、お世話になるっス」


それから希唯依は『失礼しまっス」と言い部屋の中をひと通り見て回るとリビングまで戻って来ると慎吾の座るソファーの横で両腕を後ろに組み両足を少し拡げて直立不動で立って待機している。


「・・・・・・・・・・あの~希唯依?」


「はいっス、何ですか?慎吾の兄貴」


直立不動の体勢で顔だけを向けると返事をする。


「・・・・・あの~ソファーって座る為にあるんやけど?・・・・・」


「はいっス」


「・・・・・もしかしてずっとその体勢で部屋におるつもり?・・・・・」


「はいっス」


「・・・・・嘘でしょ・・・・・」


「はいっス、嘘じゃ無いっス」


「・・・・・俺さっき我が家と思って自由に気楽にしてって言ったの覚えてくれてる?・・・・・」


「はいっス、当然っス、覚えてるっス」


「・・・・・噓でしょ・・・・・嘘に決まってるでしょ?・・・・・マジなの希唯依?・・・・・」


「はいっス、私は慎吾の兄貴に嘘は絶対に言わないっス、そんな裏切り行為するなら生きてる価値なんか無いっス」


両腕を後ろに組み両足を少し拡げて直立不動で立ってこちらを向き真剣な顔で慎吾の目を見てはっきり言っている。


『・・・・・ほほ~・・・・・この娘はガチですな』慎吾はここで希唯依に対して薄っすら感じていた事が確信に変わった。


「・・・・・分かった・・・・・希唯依この部屋におるときはその族の集会で総長の話聞いてますよ的な体勢禁止・・・・・」


両腕を後ろに組み両足を少し拡げて直立不動の待機姿勢を止めさす。


「はいっス、慎吾の兄貴」


「それから、とりあえず今はリビングやからソファーに座ってリラックスしようかな?」


「はいっス、失礼しまっス」


希唯依はそう返事すると「瑠偉ちゃん姉さん、お隣失礼しまっス」と一声も掛けると慎吾の横で座っていた瑠偉ちゃんの横に膝を合わせて膝に手を添えると背筋を綺麗に伸ばして座る。慎吾はその座り方を見て『まぁ~とりあえず初日と言う事で緊張してるんでしょう?・・・・・まぁ~徐々に慣れてくれる筈ですよね?、ハハハ』と・・・・・と不安感一杯でそっと希唯依から目を逸らす。それから真っ赤な特攻服に金髪の女の子が面接中の様な座り方に少し笑いそうなのを耐えて希唯依と雑談を暫くする。瑠偉ちゃんは小学2年生の国語の教科書を慎吾と希唯依に挟まれて熟読している。


「ちょっと腹減ったなぁ?希唯依何か食べる?」


「はいっス、何か作りますっス」


「・・・あ~そうなのね・・・そしたらカップ麺お願いしよかな、希唯依も好きなの食べてね?」


希唯依はすぐに立ち上がり『この娘・・・仕える気が凄い』と思うと言葉に甘えて任せる、そして出来上がったカップ麺を食べて談笑していると睡魔に襲われ『この部屋は安心できるよな』と思い目を瞑ると無条件で眠りに落ちていた。









「ふあああああああああ」


目覚める伸びをする「んっ?1時間ぐらい寝てたかな」部屋に置かれている時計で確認する、瑠偉ちゃんは教科書から目を上げると慎吾を見つめていて、希唯依は静かな寝息で眠っていた。


「俺また寝落ちしたみたいやね瑠偉ちゃん?このソファー恐ろしすぎる・・・」


「ウ”ァァァァァ」


希唯依が寝ているので慎吾は小声で話しかける。『そうだね』と瑠偉ちゃんも小さな呻き声で返している


「瑠偉ちゃんはずっと教科書読んでたん?」


「ウ”ァァァァァ」


『そうだよ』と返事をして教科書に目を落とす。


「瑠偉ちゃんは勉強熱心やな、えらいえらい・・・よし!風呂入りたいからお湯でも溜めてこよかな?」


慎吾はそう言うと静かに立ち上がり浴室まで歩いて行く。


















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