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55話 神々の世界

「……ここはいったいどこだ?」


 さっきまでいた場所とは全然違う。あたり一面まっしろで不思議な空間だった。


「ここは雲の上。まあ、もっとわかりやすく言えば天界と呼ばれる場所よ」


 声に反応して振り返ると、そこには白い翼が生えた巨人が5人いた。


「ッ! あんたらは誰だ?」


「俺たちは神だ」


 ……予想外の答えがきたな。


「それじゃあ、俺がここにいるのは……」


「ああ、俺たちがお前をここに呼び出したからだ」


 一体どういうことなんだ? 考えなきゃいけないことが多すぎる。……なんだか頭が痛くなってきた。


「ハハハッ、キミの気持ちはよくわかる! 全く理解できないよな!」


「フフッ、嫌でも理解してもらいますけどね。あなたはとんでもないことをしでかしたんだから」


 ……訳が分からんことだらけだが、一つずつ整理していくしかないな。


「えっと、神様ってのは本当なんだな?」


「ええ、そうよ」


「それで、その神様が俺に何の用だ?」


「おまえ、さっきミツキと戦っていただろ?」


「ああ……」


 ミツキが自傷行為をしだしたので止めようとしたら、なぜか魔法陣がでてきて、気が付いたら俺はここにいた。


 なのでいち早く戻って彼女を止めに行かないと……。


「おっと残念。今戻ってももう間に合わないよ」


「え?」


 それってどういう……


「今ミツキがどうなっているか見てみるか?」


 俺の目の前に映像が流れ始める。


 驚いたことに、そこには大量に血を流して倒れているミツキの姿があった。


「なっ!?」


「あーあ。ちょうどいいおもちゃが壊れちゃった」


「……おもちゃ?」


「ああ、異世界転生者のことだよ」


 ……どういうことだ?


「僕たちの楽しみを奪わないでほしかったんだけどな……」


「楽しみ? なにが楽しみなんだ?」


「え? なにって、異世界転生者たちがバカみたいにはしゃぎまわっている姿を見ることだよ」


「は?」


 一体何を言ってるんだ? 俺が困惑しているのをよそに、神たちがおのおのに異世界転生者について語りだした。


「キミも分かるでしょ。チートスキル。あれをさ、あいつらに渡すとさ、みんなイキリだすでしょ。あのイキリまくってる滑稽な姿を見るのがたまらなく面白いんだよね」


「そうそう、特にマサト君とカズキ君のイキリっぷりは最高だったのに……」


「ユウト君のせいで楽しみが消えちゃったよ」


 何を語りだすかと思ったら……。まさかこんなとんでもない悪趣味を聞かされるとは。……そういえば前にクロノスが神様の悪行だなんだ言ってたけど、もしかしてこれのことだったのか?


 いや、今はそんなことはどうだっていい。それより確認しなくちゃいけないことがある。


「……あんたらは親父たちをバカにするために異世界転生させたのか?」


「大正解。ユウト君は賢いですね」


 ……最悪な神様だな。


 親父たちもまさかこんな理由で異世界転生させられていたとは。


「それで、俺をここに呼び出した理由はなんだ? まさかおもちゃ壊したから説教でもするつもりか?」


「フフッ、違うわ。君にちょっとした天罰を与えようと思ってね」


「天罰?」


「お前にはこの世界が崩壊する様子を見てもらう」


 再び俺の目の前に映像が流れ始める。


「なっ!?」


 映像ではミツキ、親父、カズキ国王の3人がゆっくりと立ち上がっていた。そして突然、背中に黒色の翼が生え、どこかへ飛んで行ってしまった。


「いったいどこにいったんだ……」


「龍の国」


「龍の国? なんでそんなところに……、ってまさか!?」


「そう、龍神様をお人形ちゃんにしてこの世界を終わらせようと思ってるの。フフッ、我ながらいい計画だわ」


「いやー、ユウト君が絶望したときの顔が楽しみだな。ユキちゃんとかが死んだらいったいどんな醜態をさらしてくれるんだろうねぇ」


 ……調子に乗りやがって。 しょうもないことをたくらんでいるこいつらに、怒りが込み上げてきた。


「そんなこと俺が許さない!」


「なに? 私たちにケンカをうるんですか? 神様相手に? 笑えますわね」


「せいぜい死なない程度に痛めつけてあげるよ。君には仕事が残っているからね」


 ……さすがにこいつら相手はちょっと厳しいか?


 だが、それでも世界のために戦う必要がある。俺はドラゴンの炎をまとって神に殴りかかった。


「無謀だね、それじゃあ神の一撃を……」






「そこまでだ」






 一瞬の出来事だった。俺が殴りかかる前に、5人の神様の首が一瞬で吹き飛んだ。


 いったい、なにがおこったんだ……。


「ユウトよ。すまなかったな」


「え?」


 誰かが俺を呼んだと思ったら、突然俺の目の前に巨人が現れた。……さっきの神様の比じゃない大きい。


「あ、あなたはいったい……」


「私は最高神、ガイウスだ」


 最高神ってことはあいつらのトップってことか。……こいつもきっとろくでもない神なんじゃないのか? 俺はこいつに警戒心を向けた。


「……警戒されても仕方ないが、どうか話を聞いてもらいたい」


「話ですか?」


「ああ。まず、彼らの悪行についてだ。彼らに代わって謝罪する。本当に申し訳ない。ユウトには多大な迷惑をかけてしまった」


 どうやら多少はまともな神様なのか? 俺は黙って神様の話を聞くことにした。


「本来神が人間たちの世界に手を出すことは禁じられている。だが、彼らは自分の欲望のためにたくさんの人間を傷つけ、あろうことかこの世界を破壊しようとした。よって彼らを処刑させてもらった。もう彼らがこの世界に手を加えることはない」


「そ、そうですか……」


 現実味がない話過ぎてよくわからないな……


「えーと、それってつまり、もう異世界転生者とかがこの世界に来ることはないってことですか?」


「そう捉えてもらって構わない」


 そういうことか。それならよかった。最悪な神様もいなくなって、これでようやく平和な日常が戻ってくる。


「あいつらはいなくなったし、これでもう何も問題はなくなったんですよね?」


「いや、ひとつ問題が残っている」 


「問題ですか?」


 俺が疑問を口にすると、さっきと同じように映像が流れ始めた。


 すると、そこでは龍神様がミツキに呪いをかけていた。


(な!? 龍神様がやられただと……)


 そして呪いをかけ終わった後、ミツキ、親父、カズキ国王が龍神様を囲うようにして魔法陣を描き始めた。






 魔法陣が完成すると、漆黒に輝きだし龍神様とミツキたちが融合しはじめた。……姿がどんどん変化している。そして最終的に、3つの頭を持った漆黒の巨大なドラゴンになった。


「あの邪龍は危険だ。放置していたらこの世界が崩壊してしまうだろうな」


 そ、そんなにやばいドラゴンなのか……


「それじゃああのドラゴンを倒さないと。神様も協力してもらっていいですか?」


「……すまない。どのような事態であれ、神が人間の世界に手を出すことは禁じられている」


「そ、そんな……」


「あの邪龍はユウトが倒してくれ。……この世界の命運はユウトにかかっている」


 ……とんでもないことになった。


 だが、世界の崩壊だけはなんとか防がないと。


「分かりました」


「ありがとう。それでは君を今から元の世界に戻す。……健闘を祈っている」


 魔法陣が現れ、俺は元の世界に戻った。


※次は10時20分ごろに第56話を投稿します。


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