31話 AICⅡ①
舞踏会から2週間が経過したあと、俺たちのもとに招待状が届いた。
「ユウトさん、私たちまでついていっちゃって本当に良いんでしょうか?」
「いいんじゃないか? お連れの方もどうぞって言ってたし」
今回は舞踏会のメンバーにクロノスとストラを加えた、計9人で訪問する予定だ。
「まあ、許可なんかもらわなくても僕はついていくけどね」
「同感です。それに、アイス国王をユウト様と二人っきりにするわけにはいきませんから」
クロノスはさておき、ユキはいまだにアイスさんを強く警戒しているようだった。
「そんなにアイスさんを警戒しなくてもいいと思うぞ。そんなに悪い人……っていうかロボットじゃなさそうだし」
「そういう問題ではありません!」
なぜか強く否定されてしまった。
いったいどうしたのだろうか?
しばらく考えてみたが、結局原因はわからなかった。
そして迎えた当日、俺たちは門の前でアイスさんが迎えに来るのを待っていた。
「ゆうと、もうまちくたびれた。あるいていこう。わたしをおんぶしながら」
「AICⅡは遠すぎるから歩くのはなしだ。それにおんぶもしないぞ」
「けち」
それにしても少し心配だ。
門の前は平野になっているから、乗り物がきているかどうかすぐにわかるんだが……
集合時間まであと1分となった今、馬車や乗り物が来る気配は全くなかった。
「あれー、これ間に合うのかなー?」
「まったく、神である僕を待たせるようなことがあったとしたら……」
――ゴゴゴゴゴッ
みんなで話をしていると、空から車が騒音を立てながら降りてきた。
……とんでもないものが登場したな。
みんなは目を丸くしてその光景を眺めていた。
車が地上につくと、中からアイスさんが出てきた。
「到着時刻確認。1秒も遅れなし。……予定通りお迎えにあがりました」
当然この状況を受け入れられはずもなく、アンリがまっさきに疑問を口にした。
「えっ、いやちょっと待ってよ、これはいったいなに?」
「質問回答。これは空飛ぶ自動車、通称FCです」
「いや、通称とかはどうでもいいのよ! そういうことじゃなくってさ……」
「疑問。どういうことでしょうか?」
アンリの言いたいことは分かる。
おそらく、どうしてこんなものがあるのかを聞きたいんだろう。
「アイスさんの国では車が飛ぶのは当たり前なのでしょうか?」
「はい。AICⅡで製造されている車にはこの機能が100%搭載されています」
「そ、そうなんですか」
「原因不明。なぜみなさん驚いているのでしょうか?」
「あの、俺たちの国では車は飛ばないんですよ。なのでみんなこれをみて驚いているんですよ」
「解決。そういうことでしたか」
どうやら俺たちが驚いている理由を理解できたようだ。
「それではみなさん、乗車してください。これからAICⅡを案内いたします」
出発から30分ほどでAICⅡが見えてきた。
「ゆうとみてみて、このくにめっちゃすごい!」
「確かに。これはすごい……」
アイスさんが言っていた通り、街にはFCが何台も飛び交っていた。
それ以外にも俺たちの国とは街並みがだいぶ異なっていた。
街中には自然が一切なく、ほとんど建物で埋め尽くされている。
「ユウト様、この国の建造物は少々おかしくありませんか?」
「ああ、確かに。どの建物も異常に高さがあるな」
ざっと見渡す限り、どれも6階以上の高さがある建物だらけだ。
(たぶんこれも日本って国にある建物なんだろうな。たしか高層ビルなんて呼ばれ方をしていた気がする)
このあとも俺たちは街並みを観察し続けた。
しばらくすると、アイスさんからアナウンスがあった。
「そろそろ王宮につきますので、みなさんは降りる準備を開始してください」
「え? この辺りには王宮っぽいものが見当たらないんですが……」
「正面にある超高層ビルが王宮です」
そういわれて正面を見ると、そこには異様に高さがある王宮があった。
「ユウくん、もしかしてワクワクしてる?」
「そうみえるか?」
「うん。目がすっごくキラキラ輝いてるよ! ねぇ、アンリンもそう思うでしょ?」
「そりゃそうでしょ! こんなの見たら誰だってワクワクするよ! ねえねえ、王宮についたら、さっそくみんなでこの街を観光しに行こうよ!」
「いいね。そうしよう!」
「わたしもいきたい。はやくいこう。もうまちきれない」
「フン。まあ、神である僕にはこんな光景みなれたものだが、一応この街を視察しておいてやろう」
どうやら俺だけでなく、みんなもこの街に興味が湧いたようだな。
「みなさん観光をご希望のようですね。それでしたら私が案内いたします」
「え? いいんですか?」
「問題ありません。むしろ、この街は複雑な構造をしているので案内役が必要かと思われます」
「ありがとうございます。それじゃあアイスさん、よろしくお願いします」
「了解しました」
王宮に到着した後、俺たちはすぐに観光を開始した。
※次は明日の12時20分ごろに第32話を投稿します。
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