21話 温泉旅行②
祭りをしばらく楽しんだ後、俺たちは旅館に戻った。
「今日は疲れたし、さっさと部屋に戻って寝るとするか」
男子部屋に戻ろうとしたとき、曲がり角でミーロンとばったり出くわした。
「ワワッ、ってユウくんじゃん。曲がり角は危ないからぼっーと歩いてたらだめだよ!」
「悪かった。次から気を付ける」
「うんうん。ところで、ユウくんこの後お暇? 今からみんなで女子会しようと思うんだけど、ユウくんもいっしょにこない?」
女子会か……、やっかいそうだし遠慮しておこう。
「いや、俺はもう寝ようかと……」
「そっか! 暇なんだね! それじゃあ一緒にお部屋に行こ―!」
全然話を聞いてくれないな。
俺はなすすべなく女子部屋に連れていかれた。
「はい、ユウくんは真ん中の席に座ってね」
ここまで来たらもう逃げられないな。観念して女子会に参加するか。
女子の部屋は思ったよりも広く、とても落ち着いた雰囲気のある和室の部屋だった。
(……この和室ってのも日本の部屋の様式なんだよな)
さらに、みんなは旅館に用意されていた灰色の浴衣に着替えていた。
「どうよユウト?この服の私も魅力的でしょ?」
「ああ、そうだな。他のみんなもよく似合ってるぞ」
そういうとみんなは嬉しそうに笑った。
「ところで、クロノスとストラはどうしたんだ? 見た感じ来ていないようだが」
「くろのすはもうねむった。すとらはおさけのみにいくっていってた」
「そ、そうか」
あの2人もよんで少しでも緊張も和らげようと考えたが、どうやらダメそうだ。
「それじゃあ、さっそく女子会をスタートしよー!」
ミーロンの掛け声で女子会がスタートした。
女子会と言われたので多少身構えたが、あんがい普通のことしかしなかった。
他愛もない雑談をしたり、ちょっとしたゲームをして笑いあったり。
こうしたほのぼのした時間はあっという間に過ぎ、そろそろ女子会がお開きになりそうな時だった。
「最後に、今回来てくれたユウくんへの質問タイムを設けたいと思います。何か質問がある人はいますか?」
ミーロンがとんでもない企画をやりだした。
「はいはーい。わたしがしつもんする」
そしてミアが俺に質問をしようとしてきた。
ミアの質問だから、たぶんとんでもないものなんだろうな。
「わたしたちのなかで、だれがいちばんすき? だれをかのじょにしたい?」
やっぱりな。とんでもない質問だった。
祭りの時以上にみんなから強い視線を感じる。
この6人で誰を指名するのが一番いいのか、慎重に考えないといけないな。
今回の質問ばかりはミアと答えるわけにはいかない。
となるとここは……
「あまねちゃんだな」
「え、わ、私ですか!?」
「俺が2度寝しても許してくれるし」
「えー! それってユウくんがただ甘えん坊なだけじゃん!」
ミーロンがおれにツッコミを入れると、みんながいっせいに笑いだした。
……なんとかおんびんにおわってよかった。
女子会が終わったあと、俺は少しだけ散歩をしに外に出た。
しばらく歩いていると、見慣れた女の子の姿が見えたので声をかけてみた。
「あれ、あまねちゃん?」
「え? あ、ユ、ユウト王子!」
「あまねちゃんも散歩しにきたのかな?」
「は、はい。そうです」
さっきの女子会でのこともあって、途中で会話が途切れてしまった。
「あ、あの、さっきはごめんね。あまねちゃんを困らせるようなこと言っちゃって」
「いえ、全然困ってなんかいません。むしろうれしか……」
何か言いかけていたが、あまねちゃんは突然顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
「ま、まあ、気にしてないんだったらよかったよ」
そうしてまた俺たちは黙りこんでしまった。
しばらく二人で歩いていると、今度はあまねちゃんの方から話しかけてくれた。
「あ、あの、ユウト王子、少しお願いしたいことがあって、きいてもらってもいいですか?」
「ん?いいよ。なにかな?」
「えーと、、その、わ、私に剣術の指導をしてほしいんです!」
「剣術?」
「は、はい。あの、私、この前の戦闘でぜんぜんお役に立ててなくて、ずっと後悔してたんです。なので、今からでも努力してユウト王子のお役に立てるよう強くなりたいんです。……ダメでしょうか?」
捨てられた子犬のような悲しそうな目でお願いしてきたので、俺は思わず優しく頭をなでてしまった。
「え!? ユ、ユウト王子?」
「分かった。指導してあげるよ。あと、変に思い悩まなくていいよ。あまねちゃんは十分強いし役に立ってるよ」
「そ、そうですかね……」
「それに、あまねちゃんだけは俺が2度寝することをゆるしてくれるしね」
「ま、またその話ですか。そ、それに私も2度寝は許してませんから!」
そのあと二人で夜の散歩を終えて旅館に戻った。
俺はあまねちゃんと別れて自分の部屋に戻ろうとしていた。
「ずいぶんあまねと仲良くなられたみたいですね」
後ろを振り向くと、ユキが腕を組みながら笑顔で俺に近づいてきていた。
近くでユキを見ると目がまったく笑っていなかった。
「……たまたま散歩しててあっただけだ」
「そうですか。良かったですね。一番好きな子とお散歩出来て」
この様子だと、どうやら俺があまねちゃんと散歩したことに怒っているっぽいな。
「ユキも俺と一緒に散歩したかったのか?」
「ち、ちがいますよ! そういうことでは決してありませんから! と、とにかく、あんまりほかの女の子と仲良くしすぎないでください!」
そういってユキは向こうにいってしまった。
そのあと俺は布団に入ると、今日の疲れが一気にでたのかすぐに眠ってしまった。
※次は明日の18時20分ごろに第22話を投稿します。
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