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15話 神を自称する存在

 魔王城を出たらユキ達が集まって俺たちを待っていた。


「ユウト様!おかえりなさい。ご無事ですか?」


「ああ、問題ない。ただちょっと……」


 俺は視線をサキュバスの幼女へと向けた。


「ええー!ユウくん、この子どうしたの?めっちゃかわいい!!」


「なんだこのおんなは? わたしをだきかかえるでない!」


 ミーロンはその言葉を無視してほっぺたをすりすりしている。


「あの、この子はいったい?」


「魔王に利用されてたところを俺が助けて、そのあといろいろあって連れて帰ることになったんだ」


「その、いろいろとは?」


「おーい、王子ー! おいていかないでくれーー!!」


 ユキと話している途中で半分悪魔みたいな見た目をしているストラが近づいてきた。


「ユウト! なんか変なのが来たよ!」


「こ、こっちに近づいてきてます……」


「いや、あれは」


「ユウくん、ここは私に任せて、すぐ撃退してあげる」


 そういってミーロンは戦闘態勢に入り、ストラのみぞおちにめがけて強烈なパンチを繰り出した。


「グアッ……」


 よほどこの攻撃が効いたのか、一撃で気絶してしまった。


 そのあと俺はストラの状態を説明したが、みんなはあまりその事実を受け入れられなかったようだ。







「なあ、王子。なんか俺みんなから距離を置かれてないか?」


「気のせいだと思うぞ」


「嘘ついてないで、早くこの呪いを解除してください!」


「分かったよ。それじゃあ……」


 俺が呪いを解除しようとした瞬間、ミーロンにおんぶされてる幼女に睨まれた。


「やっぱりだめだ。その姿でいてくれ」


「そんな……」


 絶望しているストラの顔を見ていられず、顔を横に向けてしまった。

 

 しばらく横を向いて近くの木を見ていたら、ふとちいさなほこらが目に映った。


「なんでこんなところにほこらがあるんだ?」


 気になった俺はほこらがあるところに向かって歩き出した。






 ほこらがある場所には洞窟があり、誰かが住んでいるような痕跡があった。


「ユウト様、いきなりこちらに向かわれて、いったいどうしたんですか?」


「何かあったの? って洞窟があるだけじゃん!」


「いや、これは……」


 俺らが洞窟の前で話をしていると、中からだれかで出てきた。


「やかましいな。いったいなんだ? ん? ああ、ただの人間どもか……」


 出てきたのは不健康そうなやせ細った体で、目の下に大きなクマをした少年が出てきた。


 右手には体以上の大きさをした大鎌を持っていた。


「君はいったい?」


「ん? 僕のことに興味があるのか? いいだろう。教えてやる!」


「いえ。必要ありません」


「なっ! 最後まで聞け! 我はクロノス。この世界を生成した神の一人だ!」


「……嘘つくのやめてもらっていいですか?」


「嘘じゃないし! なんで信じないんだよ!」


 本当に神かどうかは置いておいて、俺は神にあったら一度聞いてみたいことがあったので聞いてみた。


「本当に神なら、この世界に異世界転生者が送り込まれてることは知ってるよね?」


「ん? ああ、そうだぞ。よく異世界転生者なんて言葉知ってるな」


「それなら、サクマ・マサトのことは知ってるか?」


「この世界に異世界転生してきた男だよな。覚えているぞ。確かちょうど今の君くらいの年にこっちに転生したんだったかな? なんでお前がそいつのことを知っているんだ?」


「そいつが俺の親父だからだ」


「ああ、なるほど。だから知ってたのか。ふーん。そっか」


 全員が俺たちの会話にきょとんとしている中、俺はとんでもない存在を前にして少し驚いた。






 俺の質問が終わった後に、今度はランディアがクロノスに質問した。


「えーと、本当に神様ならなんでこんなところにいるの?」


「神の世界から追放されたんだ。僕が他の神どもに『悪行をやめろ』って言ったら、この世界にほうりこまれたんだ。しかもこんなみすぼらしい容姿にさせられてな」


「悪行ですか?」


「まあ、お前らにはカンケイないし理解すらできないことだ。忘れてくれ」


 クロノスの反応から推測すると、その『悪行』ってのはおそらく『異世界転生』に関する何かなんだろうな……


「ねえねえ、くろのす。くろのすはかえるところがないの?」


「なんだこのちっこいサキュバスは? ……ちっ、そうだよ。この姿じゃ俺はどこに行っても厄介者。だからこうして森の中で一人で暮らしてるんだ」


「じゃあさ、わたしのぺっとにしてあげるから、わたしたちといっしょにおうちにいこう」


 ……この子はホントにとんでもないことばっかり言うな。


「は?冗談じゃない!僕は神だぞ!そんなこと……」



―――ぎゅるるるる



 クロノスの腹の音が、静かな森の中で響き渡った



「おいしいごはんもいっぱいあるよ。たぶん。おなかすいてるでしょ」


「うっ、まあ、下等な人間どもの食事も体験しておいても悪くはないな。よし、俺も連れて行ってくれ。ただし、お前のペットにはならんがな。」


 誰もお前を連れて行くといった覚えはないぞ。


「ユウト、お前の思考は全て読めているぞ。この世界に来てから弱体化しちゃってるけど、僕は神だから何でも分かるし、敵にしないほうがいいと思うよ」


 ……厄介な子供が増えてしまったな。





 こうして二人のクソガキをみやげに、俺たちは街へと帰還した。


※次は明日の10時20分ごろに第16話を投稿します。


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