第四十二話 沢野のあがり
南二局、エリカの親番である。エリカはここで連チャンして逆転したいところだが、はるかが下家だから、都合よく鳴かせてもらえない。仮に上家だとしてもはるかはエリカと連携をする気は無いから、エリカは一人でこの局面をあがりに向かわなければならなかった。
エリカは手牌からいらない牌を切る。はるかはそのまま山に手をやって自摸をして、いらない牌を切る。ここでエリカにとって不運なことに沢野の方がツキが有って、エリカよりも沢野の方が手が良かった。
エリカは鳴けないまでもイーシャンテンまでこぎつけ、手牌から余った六筒を切った。
「ロン、あがれる方」
沢野だった。エリカは沢野の手牌を見て驚く。
「えっと5200か」
「沢野先輩、何故それでリーチをしないのですか?」
エリカは驚き沢野に問い質す。
「アホか!これでリーチをしたらお前出さないだろ」
「だけど九筒の方だと役が無くてあがれませんよ」
沢野の待ちは六九筒待ちの両面で、九筒だとタンヤオにならないからあがれなかった。
「柏木さん、この沢野選手の打ち方をどう思いますか?」
「これは二人のうちのどちらかがリーチを掛けてきたら、追いかけて打ち取る予定だったのが、先に滝川選手が出してしまったとみるのが正しいでしょうか?」
「なるほど、それならダマ聴の理由が納得行きます」
「局を進める理由でリーチを掛けて木下選手から当たっても良かったのですが、沢野選手はこの局で決めようとしたのだと思います」
「だけど今の一撃で何か決まりそうです」
この沢野のあがりで点差は
沢野41600、エリカ18500、はるか28500、木下31400
となった。




