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付与術師の領地経営記  作者: 八咫烏
第1章 僕と異世界と
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7、領主会合と領主会議と

 領主会合の日がやってきた。今日は、ミアに朝5時に起こされ、朝食を食べてから着替えをしていた。領主会合は8時から、リンクス公爵の屋敷で行われるので、余裕を持って7時に宿を出た。シアとミアは留守番である。


「父さん、今日は大丈夫かな?」


「まあ、いつも通りやっていれば問題ないよ。一部を除いて、悪い人はいないし。」


(えっ、それは慰めになってなくない?)


「しっかり、昨日教えてもらった儀礼を覚えているか?」


「うん、ちゃんと覚えてるよ。多分、大丈夫なはず....。」


「父さんがついているから安心して良いぞ。」


(いや、緊張している原因の7割は、父さんなんだけど。)


「あんまり、肩に力を入れていると、挨拶の時に公爵から笑われるから、心配は程々にな。」


(あれ、心の中が読まれた?あ、そういえば、顔に出るんだったな。)


「分かったよ、父さん。」




 僕と父さんは30分くらいで、リンクス公爵の屋敷に着いた。屋敷はうちとは比較にならないほど立派だった。だって、廊下に絨毯(じゅうたん)が引かれているんだよ。うちじゃあ、あり得ないことだよ。


領主会合場は1階だった。案内してきた執事が「マングスター子爵、ご来場っ!」と言ってドアを開けてくれた。まだ開始30分前だったが、部屋に入ると、大きな食卓の周りに何人も座っていた。父さんによると、侯爵が3、伯爵が10、子爵が10人参加しているらしい。


「おはようございます、ラクターン子爵。」


「はい、おはようございます、マングスター子爵。」と、言ったラクターン子爵は、うちの隣に領地を持っている人である。だから、お互いに交流も少しある。


「今日はお早いですね。」


「いえいえ、私もさっき来たばかりですから。ところで、今日はご子息を連れて来られたのですね。」


「早いうちに顔合わせをしようと思いまして。レオ、挨拶をしなさい。」


「はい、父上。お初にお目にかかります、ラクターン子爵。マングスター子爵の息子のレオ・マングスターです。」


(うーん、長くてかみそうだ。やはり、貴族ってものは大変だ。)


「これはご丁寧に。私はラルク・ラクターンです。今おいくつですかな?」


「私はほとんど2歳です。」


「そうですか、2歳でしたか。うちの息子も2歳なので、会った時には仲良くしてあげてくださいね。」


「はい、分かりました。」


(ふぅー、疲れた。これで、ひと段落かな。)


「マングスター子爵。」


「どうしましたか?」


「ご子息はスゴいですね。2歳でここまでとは。あなたに似て、将来が楽しみですな。」


「私よりも、ずっと上を行きそうですがな。」


「いえいえ、あなたもまだまだ負けていませんよ。」




 その時、「リンクス公爵のご入場!」という声が響き渡った。それと同時に、さっきまで聞こえていた話し声が突然止んだ。部屋のドアが開き、40代くらいの男の人が入ってきた。この人がリンクス公爵であろう。


「皆の者、今日はよく集まってくれた。皆、健勝そうで安心したぞ。」


「公爵様からの有難い言葉を賜ったところで、挨拶の儀に移らせて頂きます。順番に公爵様の所までいらして下さい。」


(え、順番?まあ、父さんについて行くから大丈夫かな...。)


まずは誰かよく分からないおじさん、その次はお兄さん、その次はおじさん。本当に何も面白くない。ひたすら緊張感を味わうだけの地獄である。その時、「レオ、行くぞ。」と、父さんが小声で言った。やっと僕たちの番である。


「オリヴァー・マングスターです。今日はお目通りが叶い、恐悦至極に存じます。」


(お、父さんがしっかり話してる!こりゃあ、明日は雪かもしれないな...。)


「オリヴァーか、久しいな。それで、その隣のは?」


「お初にお目にかかります、リンクス公爵。マングスター子爵の息子のレオ・マングスターです。」


(よし。今回もかまずに言えた。)


「ほお、息子だったか。それで、いくつだ?」


「今2歳でございます。」


「オリヴァーよ。やはり、変わり者の子は変わり者のようだな。わずか2歳でこれとは将来が末恐ろしいわい。」


「いえ、まだまだです。」


「そうか。今日は顔を見れて嬉しかったぞ、レオ。しっかり研鑽に励めよ。」


「はい。私も、お目にかかれて光栄でした。」


「では、リンクス公爵。これにて、私たちは失礼させて頂きます。」


「うむ。」




 リンクス公爵の席から離れて、父さんと一緒に元の席に戻った。緊張したが、難なく終わって本当に良かった。これで、生きて家まで帰れそうである。次は、リンクス公爵領内に3人いる侯爵(公爵の下、子爵の上)のうち1人との会議である。


リンクス公爵領は主に4つに分けて管理されている。まずリンクス公爵本領、アトラス侯爵領、イングアナ侯爵領、ヴァイパー侯爵領である。さらに、この3つの侯爵領を分けたものを、父さんのような領主が管理している。


「では、これよりヴァイパー侯爵領の領主会議を始めます。始めに、ヴァイパー侯爵よろしくお願いします。」


「このメンバーで揃うのは1年ぶりだな。全員変わりなく来てくれて良かった。リンクス公爵との堅苦しい顔合わせも済んだことだし、例年のように肩の力を抜いて話そう。」


(お、このヴァイパー侯爵は気さくな人みたいで良かったよ。安心、安心と。)


「まずは、それぞれの領内の状況を教えてくれ。」


ヴァイパー侯爵領は、ヴァイパー侯爵本領を除いて、8人の領主で分割されている。その領主のうち、領主歴が長くて実績があると、伯爵。ないと子爵らしい。もちろん、領主になって4年目の父さんは子爵である。


「次は、マングスター子爵の番です。」


(お、父さんの番か。まあ、うちは大した問題が無かったから大丈夫かな。)


「分かりました。まず、今年発生した洪水による被害はありましたが、どうにかなりそうです。次に、洪水への対策済みの橋を、私(・)の(・)息(・)子(・)が(・)、考えました。」


(父さん、協調する所が違うよ!親バカが漏れ出てるよ!)


「最後に、私の息子が━━」


「オリヴァー(父さんの名前)、もう良い。その話は領主会議が終わってから聞く。」


「分かりました。では、後ほど。」


「8人とも元気そうで良かった。個別に話がある者は、後で私の元に来てくれ。あと、オリヴァーは1時間後に来てほしい。」


「分かりました!」


(父さんだけ元気なんだけど。もう、恥ずかしいたら、ありゃしない。)

さて、とりあえず無事に、領主会合と領主会議(ややこしくて、すみません。)が終わりましたね。そして、ついに明かされる父さんと母さんの過去とは?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、評価もお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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