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オレが掴んだ獲物は、ダチの家から持ってきたエンジンチェーンソーよ…。
見た感じ、ゾンビの数が多そうだから、オレが背負ってる上下二連の散弾銃じゃ、弾込めにモタついたら危ねぇだろ。
それで、チェーンソーを選んだんだが、万一のことも考えて、手持ちの日本刀を、ダンプの運転席から飛び降りてきた姉ちゃんに預けると、思い切りプルスターターを引き絞った。
パランパランとツーサイクルの排気音が響き渡って、チェーンソー持ってるオレは、ゾンビ野郎どもの注目の的になっちまった。
次の瞬間、自衛隊のメガネ野郎が、オレの後ろから、小銃を乱射し始めた。
その弾は何匹かのゾンビ野郎に命中したんだが、そいつ等との距離が近すぎたから、体を貫通するだけで致命傷は与えられねぇ。
オレは「頭を狙え」って怒鳴りながら、チェーンソーのアクセルグリップを握りしめて、目の前に来たゾンビ野郎にノコギリの歯を思いっきり叩きつけてやったのよ。
ガガッと言う衝撃で、ひげ面の中年男の首が、胴体から離れて綺麗な円を描くように宙を舞った…。
ダンプの向こう側じゃ、自衛隊の武藤が狙い定めて、一匹ずつを確実に血祭りにあげてるが、ゾンビの数は増える一方で、かなりマズイ状況よ。
オレは、襲い掛かってきた女ゾンビの、張り出した胸にチェーンソーの歯を押し付けながら、武藤の奴を呼んだのよ。
「旦那ぁ…、どうするんだぁ?」って、怒鳴り声で呼びかけたら、武藤は、ある方向をアゴで示しやがった。
武藤が示す三十メートル程先に、首都高の合流路が有ったんだ。
そこはどうやら高速の「上野」の入り口で、「高速を降りろ」って言いてぇらしい。
けど、そこまで行く間にゃ数十匹ものゾンビ野郎が控えてるから、簡単にゃ行かねぇぜ。
それでもオレ達は、女、子供を真ん中に、前と後ろを男共が囲んで、襲い掛かってくる死人の群れを打ちのめしながら、移動を開始したのよ。
武藤や中島の自動小銃、小松の三十八口径、それにオレのチェーンソーが唸りを上げる度に、ゾンビ野郎の破片は増えていったけど、一向に数が減らねぇのは、奴らタフな上にこの騒ぎを聞きつけて、あっちこっちからゾロゾロと集まって来るからさ。
そんなゾンビの姿を見て、娘っ子は恐怖で泣き出しちまうし、ばぁさんは手を合わせたまま、ブツブツと念仏を唱えてる。
真っ青な顔した姉ちゃんだけは、オレ達の邪魔にならねぇように、そんな二人を抱き抱えながら、遅れずについて来た。
いったい何匹の奴らをチェーンソーで、ぶった切ってやったか判らねぇが、奴らの肉片や脂でチェーンソウの切れ味も悪くなってきた頃、何とか首都高上野の入り口にたどり着いた。
オレは、正面を邪魔する最後のゾンビ野郎に脳天からチェーンソウを振り下ろすと、思いっきりエンジンを吹かしてやったんだ。
そいつの頭蓋骨を、丸太みてぇに真っ二つに切り裂くと、無理が祟ったのか、遂にチェーンソウは、ゾンビ野郎のアゴの辺りで動きを止めちまった。
オレは、咄嗟に顔からチェーンソウを生やしたゾンビ野郎を蹴っ飛ばしてから、姉ちゃんに預けた日本刀を引ったくった。
白鞘の日本刀を引き抜きながら、合流路の逃げ道の方を伺ったのよ。
どうやら、高速を降りる斜路に、ゾンビの姿は無ぇらしい。
武藤の奴が、「急げ」って怒鳴って駆け出したから、オレは、怯えて泣いてる娘っ子を抱えると必死こいて走ったのよ。
隣じゃ、武藤に言われた中島の奴が、ふて腐れながら、ばぁさんを背負って走ってる。
お巡りの小松が先頭に立って、拳銃を構えながら高速の斜路を下っていったけど、下から来る奴は、そんなに多くは無かったから、三十八口径を食らって、そいつらみんな動きを止めたみてぇだ。
だけど、こちとら大荷物だから、それほど早くも走れねぇ。
殿の武藤が、後から来るゾンビ野郎を、食い止めてくれなけりゃ、オレや中島は食われてたろうなぁ。
それでも、どうにか下道に降りて、走りながら逃げる方法を考えたのよ。だけど全力疾走したモンで、息が上がって来ちまって、どうしたら良いんだか判らねぇ。
武藤の旦那が、「やたらな所に逃げ込むと、前みてぇに脱出できなくなるから、動きそうな車を探せ」って命令口調で言いやがった。
それで、先頭のお巡りが、通りに止められてる車に走り寄って行った。




