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アクション映画のヒーローなら、こんなジャンプは屁でもねェんだろうが、スタントマンの居ねぇ一発勝負じゃ、いくらオレだって、キンタ○が縮あがったぜ。
…けど、ステンレスの梯子を掴んじまえば、こっちのモンよ。オレは死んでも放さねぇ覚悟で、荷台点検用の梯子にぶら下がると梯子の下端に足を掛けグイと体を持ち上げた。
それで、運転席の姉ちゃんに、「もっとスピードを上げろ」って怒鳴ったんだが、姉ちゃんは、ギアチェンジを知らねぇのか、アクセルをべた踏みするだけだから、そんなに速度は上がらねぇ。
仕方がねぇ、そのまんまドアを開けて、ダンプの運転席に乗り込もうとしたんだが、突然脇の方から汚ねぇ手が出てきて、梯子を掴んでるオレの左手を引っ張りやがった。
…畜生。どうやって乗ったんだか判らねぇが、ダンプの荷台にゾンビ野郎が居やがった。
そいつは、もの凄い力でオレを引っ張り上げようとしやがるから、腕の骨が折れそうな激痛にこっちも悲鳴を上げちまったが、奴がダンプの荷台から身を乗り出した瞬間、咄嗟に右手で握ってた散弾銃を突き出して引き金を引いたのよ。
野郎の後頭部から、花火が上がったのが、オレにもはっきり見えたなぁ。
…奴は、オレの二の腕に真っ赤な手形を残したまんま、荷台からサヨナラして仲間の方に消えていったが、それで終わりじゃ無ぇのが辛いところ…。
もう一匹、荷台の枠から顔を出しやがったのよ。
さっきユンボの上で、一発ぶっ放してるから、上下二連の散弾銃は、タマ切れのうえ両手が塞がってちゃ、装填も出来やしねぇ。
オレは野郎に掴まらねぇように、なるたけ姿勢を低くしながら、運転席の姉ちゃんに「ダンプの荷台を上げろ」って指示を出したのよ。
最初は姉ちゃんも、訳が判からなかったみてぇだけど、オレが必死で示したレバーを操作した途端、荷台が傾斜し始めて、ちょっとビックリした顔よ。
恐る恐る後ろを振り返った俺の目に、一匹のゾンビ野郎が、固定されてなかった足場用の鉄パイプもとろも、道路に転がり落ちてくのが見えたから、これでなんとか一安心ってモンだろ。
それからオレは、ダンプを運転してる姉ちゃんに指示して、荷台を下げさせると梯子を登って、用心しいしい荷台の中を覗いたぜ。
隠れてる奴は、もう居ねぇ。トラロープで縛って固定してあった、チェーンソーや草刈り機は無事みてぇだ。
ダンプ走らせながら運転席に乗り込んで、姉ちゃんと運転を代わってから、オレもホッとしたが、姉ちゃんも安心したのか「鉄砲撃つ時は、合図ぐらいしろ」って文句を垂れやがる。
…運転席の横で発砲したから、「ビックリして心臓が止まった」って言ってるよの。
あそこで撃たなきゃ、みんなの心臓が止まってたぜ。
ごちゃごちゃ言ってる暇があったら、空の散弾銃にタマでも込めといて貰いてぇモンだ。
…オレはダンプ運転しながら、銃の扱いを姉ちゃんに説明したんだが、人に物を教えたことが無ぇから、こっちもまどろっこしくて、つい怒鳴っちまう。
おかげで、姉ちゃんとは険悪なムードよ。
…けど、まぁ避難所までの道のりだから、気にしたって詰らねぇ。
オレは、そのまんま大通りを突っ走って国道に合流させると、頃合いを見て学者先生の無線に呼びかけてみた。
…ウンともスンとも言わねぇから、たぶん向こうの電気が終わっちまったんだろうなぁ。早いとこ助けに行かねぇと、ホントにヤバイ状況だぜ。
暫くダンプを走らせると、向こうの方に特徴のあるサッカー場の屋根が見えてきた。あそこがここらの避難場所なんだが、ちっと様子がおかしいぜ。
道一杯に車が止めて有りやがるから、残り一キロぐらいが進めねぇ。横道の方まで駐車車両で溢れてるうえに、うろうろ動くゾンビ野郎が、そんな車列の間に何匹も待ちかまえていやがった。
どうやら避難場所目当てに車で逃げてきた連中が、渋滞で身動き取れなくなったところに、ゾンビ野郎のお出ましで奴等の新しい仲間に加わったらしい。
…二車線の道路じゃ、ダンプのUターンなんて出来ねぇ。オレは舌打ちすると、すかさずダンプのギアをバックに入れた。
そんなオレ達を見つけて、ゾンビ野郎がワラワラと集まって来やがった。
オレは路側帯に止まってる乗用車にぶっつけながらも、必死こいてダンプをバックさせたのよ。




